【星空浴】子どもにも保護者にもメリットいっぱい!「家族で天体観察」のススメ

家族で天体観測のススメ 星空浴 子どもにも保護者にもメリットいっぱい!

「星座には詳しくないけれど、子どもと一緒に夜空を見たら楽しいかも」
「星や月への興味をきっかけに、理科が好きになってくれたら……」
星や月を観察するアクションは、天体や神話などさまざまな世界を開いてくれます。

でも、家族で天体観察を楽しむメリットはそれだけではありません。

この記事では、国立天文台天文情報センター長の渡部潤一さんにご協力いただき、天体観察の多様な楽しみ方についてまとめています。
一度お子さまを誘って、のんびり夜空を眺める時間をつくってみませんか?

「家族で天体観察」のメリット1 家族の思い出を増やせる

「家族で天体観察」のメリット1 家族の思い出を増やせる

保護者のかたもお子さまも、普段は家事や仕事、勉強、習い事などで忙しく過ごしていることでしょう。

もちろん夜も、保護者のかたからお子さまに「明日も早いから、もう寝ようね」と声をかけるなど、早寝早起きの規則正しい生活を促すことが多いのではないでしょうか。
でも天体観察をする時は、基本的には夜に外出し、街灯の少ない場所や自然に囲まれたシチュエーションで夜空を見ることになります。

星や月の美しさはもちろん、「普段は家にいる時間帯に家族で出かけて、一緒に天体観察を楽しむ」という非日常の体験は、お子さまにとって新鮮なはず。

あとになって、「あの時はオリオン座がきれいに見えたね」「すごく寒かったけれど、温かいお茶がおいしかった」などと家族で語れる思い出がつくれるのではないでしょうか。
流星群などの天体イベントはよいきっかけになるので、インターネットなどで情報を集めて、「家族で天体観察」の予定を立ててみるのもよいですね。

また、家族旅行で自然豊かな場所に出かけた時などに、短時間だけでも星を眺めてみるのもオススメです。
灯りが少ない場所なら目が暗闇に慣れて、だんだん星が見えるようになるはず。
楽しい旅行に、さらに素敵な記憶が加わるのではないでしょうか。

■天体観察の楽しみ方:実践TIPS

月食や日食、流星などの天体イベントは、日々起こっています。
たとえば、毎年ほぼ安定して多くの流星が見られる「三大流星群」(しぶんぎ座流星群、ペルセウス座流星群、ふたご座流星群)は、日本でも楽しむことができます。
国立天文台のサイトには年間の天文現象がまとめて掲載されており、大きなイベントの数日前にはニュースでも取り上げられます。

「肉眼でも見られそう」「比較的短い時間で変化がわかりやすい」「家族にとっても観察しやすい時間帯」などの観点で、お子さまと一緒に見に行けそうなものをまずはピックアップしてみてはいかがでしょうか。
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2025/

「家族で天体観察」のメリット2 「星空浴」で大人も子どもも心が落ち着く

「家族で天体観察」のメリット2 「星空浴」で大人も子どもも心が落ち着く

天体観察の大きなメリットは、ゆったりとした時間を持てること。

というのも、ある程度暗い場所に行って肉眼で夜空を眺め始めてから、実際にたくさんの星を目でとらえられるようになるまでに、少しタイムラグがあるのです。

この時間差は、目が暗闇に慣れる「暗順応」に5~10分間かかることから生じます。
「星がすぐ見えないと、子どもが退屈してしまうのでは?」と感じるかたもいらっしゃるかもしれませんが、少し時間がかかるからこそ落ち着いて星を見る心の準備ができるのも事実です。

見えてくるのを待つ時間に、星座の話題に限らず、普段できない話を家族でするのもよいでしょう。
渡部さんは星空の下で過ごす時を、森林浴などになぞらえて「星空浴」と名付け、大人も子どもも心の落ち着きが得られやすい時間として位置付けています。

■天体観察の楽しみ方:実践TIPS

天体観察では、星座が見えてくるまでに少し時間がかかるので、長い時間を屋外で過ごすことを想定しておく必要があります。
冬の場合はしっかり防寒できる服装、夏は虫除けなど、季節に応じた準備をして臨みましょう。

また、長時間立ったまま空を見上げているのは大変なので、アウトドア用の折り畳みチェアやレジャーシート、アルミシートなどを持っていくと大いに役立ちます。

「家族で天体観察」のメリット3 さまざまな学習・学問に対する興味につなげやすい

「家族で天体観察」のメリット3 さまざまな学習・学問に対する興味につなげやすい

天体観察というと「子どもが天体や宇宙に興味を持つきっかけになるかも」と期待する保護者のかたが多いかもしれません。

しかし星や月への興味は、実際にはさらに多様な学習・学問へとつながっています。
たとえばお子さまが星座に関心を持っているようなら、「星座は、星と星を線で結んでできているよね。どうして昔の人は星座をつくったんだろうね?」と声をかけることで、古代の歴史や文化に興味を持つきっかけになります。

お子さまの志向に合わせて、星や月にまつわる知識を一緒に調べてみるのもよいですね。

■天体観察の楽しみ方:実践TIPS

天体観察をしていると、お子さまの好奇心はどんどん高まって「あれは何ていう星?」などと保護者のかたを質問攻めにしてくるかもしれません。

天文の知識がないとすぐに答えるのはなかなか難しいですが、空にかざせば星座の名前が表示されるスマホのアプリなどを活用すればすぐに答えが出せます。
お子さまの「知りたい!」という気持ちがホットなうちに、「これは〇〇座っていうんだって」と知識を共有して、一緒にどんどん知識を吸収していきましょう。

まとめ & 実践 TIPS

天体観察を家族で楽しむことは、お子さまはもちろん保護者のかたもゆったりとしたひと時を楽しむ絶好の機会。

「お勉強」と思ってしまうと負担を感じるので、「とりあえず一緒に星や月を眺める時間を持ってみよう」くらいの気持ちで準備を始めてみてはいかがでしょうか。
お子さまと一緒に、楽しい思い出をつくれるとよいですね。

プロフィール



国立天文台 天文情報センター長 上席教授。元国際天文学連合会副会長。日本を代表する天文学者の1人として天文学の普及に尽力する。『親子で楽しむ 星空の教科書』(渡部好恵さんとの共著 講談社)など著書多数。

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