これだけ知っておけば大丈夫!天体の基本知識を押さえて家族で楽しく星空観察
お子さまが星や月に興味を持ち始めたら、服装や持ち物などの準備を整えて、家族で天体観察へ出かける絶好のタイミング。
普段は家でくつろいでいる時間に外出し、夜空の下でゆったり過ごす時間は、すばらしい家族の思い出になるのではないでしょうか。
ただ星空を眺めるだけでも素敵ですが、少しだけでも天体の知識を知っておけば、もっと夜空を見るのが楽しくなるはず。
そこでこの記事では、国立天文台 天文情報センター長の渡部潤一さんにご協力いただき、天体観察に役立つ基礎知識をまとめました。
ポイントを押さえて、お子さまと夜空を見るときの声かけなどにご活用ください。
この記事のポイント
子どもに質問されたときのために最低限知っておくと役立つ天体知識
天体観察をしていると、お子さまは好奇心をフル稼働させていろいろな質問をしてくるかもしれません。
わからないことを聞かれると、一瞬、言葉に詰まってしまいますよね。
ポピュラーな質問と答え方を押さえておけば、だいぶ心の余裕が持てるはずです。
ここでは、お子さまが投げかけてきそうな質問と回答例をいくつかご紹介します。ただ、思いがけないことを聞かれることもあるので、「一緒に調べてみない?」と持ちかけてもよいですね。
■よくある質問と回答例
Q.「星の位置が夕方と夜で違うのはどうして?」
A.「星が動いているように見えるけれど、実際には地球が動いているんだよ。地球は、1日かけて西から東へ1回転、自転をするから、星は逆に東から西へ動いていくように見えるよ」
Q.「夏と冬でどうして違う星座が見えるの?」
A.「地球は1日かけて自転しながら、1年かけて太陽の周りを1周する公転もしているからだよ。たとえば春にも秋の星座は空にあるけど、太陽の光に隠れて見えないんだよ」
Q.「どうして星の色はいろいろあるの?」
A.「星の温度によって色が変わるんだよ。青白い星は温度が高くて、赤っぽくなるほど低いと言われているよ」
Q.「星座ってなに?」
A.「昔の人は、星と星を結んでいろいろな動物や道具に見立てて名前を付けていたんだって。それがあとになって《星座》と呼ばれるようになったんだよ」
その他、下記の国立天文台のウェブサイトにも、星や太陽、月、惑星などに関するよくある質問が掲載されています。
お子さまに難しい質問をされて「困ったな……」というときに、参考にしてくださいね。
まずは押さえたい、春夏秋冬の基本的な星
夜空を見上げ始めてから10分ほど暗闇に目を慣らすと、晴れた日なら実にさまざまな星が見えてくるはず。
すべての星や星座を覚えておくことはできないけれど、目印になる星だけでも知っておくと、そこから他の星座も探しやすくなります。
ここでは季節ごとの観察ポイントをご紹介するので、お子さまに「一緒に見つけない?」と声をかけて探してみてはいかがでしょうか。
春
北斗七星の柄のカーブを伸ばした先にある「アークトゥルス」、さらに「スピカ」をつないだ曲線は、「春の大曲線」と呼ばれています。アークトゥルスはうしかい座、スピカはおとめ座の一部です。北斗七星をたどると、北の方角の目印である北極星がすぐ見つかるはずです。
2025年5月中旬 21時頃 東京の星空
提供:国立天文台
夏
1等星の「ベガ」と「デネブ」「アルタイル」をつないだ三角形は、「夏の大三角」と呼ばれる夏の夜空のランドマークとして知られています。
「ベガ」はこと座、デネブははくちょう座、アルタイルはわし座の一部。なお日本では、ベガは七夕のおりひめ星、アルタイルはひこ星としても有名です。
2025年8月中旬 21時頃 東京の星空
提供:国立天文台
秋
ペガスス座の胴体の部分を形づくる「秋の四辺形」を見つけられればベストですが、2等星なのでわかりにくいかもしれません。
逆に、ペガススの頭の部分にあるアンドロメダ座の北にあるカシオペヤ座は、5個の星が並んでいて見つけやすいです。
2025年11月中旬 21時頃 東京の星空
提供:国立天文台
冬
冬の空では、オリオン座の一部である「ベテルギウス」、おおいぬ座の「シリウス」、こいぬ座の「プロキオン」をつないだ「冬の大三角」を目印にするとよいでしょう。
2025年2月中旬 21時頃 東京の星空
提供:国立天文台
なお、星座の見える向きや高さは、時期や場所によって少しずつ異なります。国立天文台ウェブサイト「今日のほしぞら」では、代表的な都市や好みの時期・時間帯を設定して星空の様子(惑星や星座の見え方)を簡単に調べることができます。
天体観察が楽しくなるお役立ちアイテムは?
■星座アプリ
お子さまに「あの星は何かの星座の一部かなあ?」と聞かれたとき、かなり星座に詳しくないと答えられないですよね。
こんなときは、スマートフォンの星座アプリを活用するとよいでしょう。
空にかざすだけで星座の名前がパッとわかるので、お子さまの好奇心をその場で満たすことができ、次の「知りたい!」へとつなげられます。
無料のアプリでも機能が充実したものが多く、過去や未来の星の動きを追うことができたり、気になる星にズームしたりできるものもあります。
ただ、アプリを起動させると画面が光って星を見る邪魔になりやすいので、画面の照度をできるだけ下げて使ったほうがよいでしょう。
■星座早見盤
スマホアプリの普及前から、天文ファンの間で愛用されているのが「星座早見盤」。
星座早見盤は、日付と時刻を合わせれば、そのタイミングで見える星と星座がわかる道具で、1,000円未満のリーズナブルなものもあります。
「観察時にだいたいどんな星座が見えそうか」を知っておきたいなら、この道具を使うとよいでしょう。
ただ、渡部さんによれば「惑星が載っていない」「天体を平面で表すため、実際の星座の形と少し違うところもある」といった弱点もあるそうです。
天体観察の進め方としては、「星座早見盤で全体像を知る→実際に空を見て知りたい星座があればアプリで確認」という手順で楽しむのがよさそうです。
まとめ & 実践 TIPS
実際にお子さまと天体観察をしてみると、わからないことが新たに出てきたり、なかなか星がきれいに見えなかったり、想定外のことも出てくるかもしれません。
それも含めて、「うちに帰ったらもう少し調べてみる?」と声をかけ、一緒に知っていくプロセスを楽しむのも、ご家族にとって大切な時間になるのではないでしょうか。
保護者のかたもお子さまと一緒に楽しむつもりで、素敵な天体観察の時間をお過ごしください。

