「話し合う力は社会で不可欠」自分で考え判断する力を育む、授業の達人

「話し合う力は社会で不可欠」自分で考え判断する力を育む、授業の達人NHK Eテレの教育番組を担当する、NHK制作局第一制作センターチーフ・プロデューサーの桑山裕明氏。番組制作のため毎週のように学校を訪ね、多くの授業を見る中で、「こんな先生に教えてほしい」と思うことがあるという。今回は、小学2年生の話し合いの授業を指導する、新潟県のAK先生を紹介してもらった。

 

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クラス全員が納得するまで話し合うという、小学2年生の特別活動を取材しました。AK先生は、話し合いの授業方法をずっと研究されてきた校長先生。相手の話に耳を傾け、自分の意見を言い、お互い本音をぶつけ、それぞれの考えをすりあわせる……。話し合いをとおして、自分で考え、判断する力を育てるのが授業の狙いです。先生は「プロセスを身に付けること」や「みんなの意見を大事にすること」が、社会に出た時に欠かせない力と考えています。

 

先生の授業にはいろいろな工夫がありました。

 

●話し合いのテーマは、子どもたちの身近な問題にする
●自分の意見をはっきり持たせるために、選択肢を2つか3つに絞り込む
●事前に「話し合いカード」を渡し、なぜその意見に賛成なのか、違う意見にはどうして反対なのか、理由を文章にさせておく
●話し合いは、賛成・反対の意見がひと通り出尽くすまで行う
●意見はすべて黒板に書き出す
●どうしたら相手を説得できるのかを同じ意見の仲間と相談する
●あいまいな表現が出た時は、司会役は、「代わりに説明できる人はいませんか」と代役を立て、わかりやすい情報伝達のモデルを示す
●多数決などにも「ノー」と言える雰囲気をつくる

 

対立する二つの提案に対し、子どもたちは全員、自分の意見と理由を話し、納得の上で一つの結論を導き出しました。「違う意見に対して納得するまでのプロセスで、何が見えて、何がわかったかが大事。相手の意見に耳を傾け、本音をぶつけ合うことが、納得する近道」という言葉には、授業実践を積み重ねてきた先生の実感がこもっていました。

 

出典:違う意見にも耳を傾け、思考力と表現力を身に付ける授業 -ベネッセ教育情報サイト

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