小1の夏休みをどう過ごす? 学童保育活用術【基礎編】

子どもたちにとって待ちに待った夏休み。ただ、保護者にとっては、約1か月半も学校がお休みだと、どのように過ごさせたらよいのか不安もありますよね。特に、小学1年生を持つ保護者にとっては、入学後最初の山場となります。そこで、女性のキャリアや学童保育に詳しい松蔭大学経営文化学部准教授の田中聖華先生に、夏休み期間中の学童保育活用について伺いました。



夏休みを迎えた小1生はもうヘトヘト

今年、小学1年生になったばかりの子どもたちは、ついこの前まで保育園や幼稚園に通っていました。そのころは、園バスや保護者が送り迎えし、園では生活も遊びも先生が手厚くサポートしてくださっていました。しかし、小学生になると、自分でランドセルを背負って登校し、朝から昼すぎまで椅子にじっと座って勉強しなければなりません。新しい友達と休み時間に遊ぶのは楽しいですが、気を使うことも多いですから、下校時間にはもうぐったりというお子さまが多いと思います。
特に初めての小学校生活では毎日緊張して小学校に通っていたのですから、1年生の夏休みはちょっとひと休みさせてあげてほしいと思います。ただ、一日中家庭で過ごさせるとなると、保護者のかたにとっては食事作りの回数が増えたり、家事とお子さまと過ごす時間とのバランスを考えたりと苦労が多いと思います。特に、働く保護者はお子さまのお休みに付き合えるのは長くても1週間程度ですよね。
そこで、強い味方となってくれるのが学童保育です。



お子さま&保護者に合った学童保育の選び方

学童保育といっても、放課後子ども教室・放課後児童クラブなど、各市町村で名称や実施内容が異なり、開所時間や費用負担、入所資格なども地域によって違います。運営主体も公立公営・公立民営・民立民営などがあり、民営のものには、地域の保護者が中心となって運営されている所や民間企業によって運営されているものもあります。
このように地域によっては、多種多様な学童保育が実施されており、夏休みだけ入所ができる施設もあります。上手に活用するには、ご家庭の状況に合った学童保育を選ぶことが重要です。もし、これから選ばれるならば、下記のポイントをチェックするとよいと思います。



学童保育の選び方のポイント
・開所時間帯をチェック
どのような運営主体が、何の目的で運営しているかによって、開所時間も異なります。おおむね、公立公営では開所時間が短く、NPO法人や民間企業が運営している施設は開所時間が長めです。公立公営の学童は、費用負担が少ない分だけ、開所時刻が遅くてお子さまが自分でカギをかけて家を出なければならなかったり、保護者が帰ってくるより2、3時間も前に閉所時刻になってしまったりして、結局一人の留守番時間は解消できないということがよくあるようです。施設の開所時間帯が、保護者やその他の年長の家族の生活パターンに合っているかどうかは、学童保育を選ぶときの最も重要なチェックポイントの一つといえます。

・施設の設備をチェック
学童保育は学ぶだけの場や遊ぶための場ではなく、生活の場でもあります。子どもたちが生活するのにふさわしい空間であるか設備をチェックしましょう。学童保育専用のトイレが確保できずにプールのトイレを使わざるを得ない例や、余った教室を使っているためにおやつや軽食を作る台所設備を備えることができない例もあるようです。トイレ・手洗い場・台所設備・静養室(少し横になれる部屋)などがあるかどうかチェックしましょう。また、定員に対して、広さは適当かどうかもチェックしましょう。

・お子さまに体験してもらう
お子さまに一定時間をその施設で過ごしてもらいましょう。見学会や説明会など、保護者がいる場合はスタッフもよいところを見せようとがんばります。ただ、お子さまがどう感じるかは別です。お子さまが実際に過ごして「嫌だ」と言う場合には、スタッフと合わない、ケンカが絶えない、落ち着いて過ごせないなど、たいてい理由があります。保護者のかたの気持ちだけでなく、お子さまの気持ちも重視してあげましょう。

・普段の様子も見にいく
日頃の子どもたちの過ごし方やスタッフの様子をうかがうには、散歩や外遊びの時間を見てみましょう。学童保育では午後4時~6時くらいが多いです。お子さまの散歩中などに、さりげなく見学してみるとよいと思います。

・ママ友にも様子を聞いてみる
実際にその学童に通われているお母さまに普段の様子を聞いてみましょう。そうすると、規約やパンフレットに書かれていないことがわかることがあります。たとえば、小学6年生まで通える施設でも、「夏休みだけは、4年生以上は通わせない」ということが暗黙の了解になっている場合もあるそうです。

・保護者の気持ちを理解してくれそうか確かめる
学童保育は閉所時刻が保育園に比べ、早いところが多いです。夏休みでも延長が可能なのか、急な残業にも対応してくれそうなのかということをチェックするだけでなく、やむを得ない時間外の対応について保護者の気持ちをくんでくれる気持ちがあるかどうか、が大きなチェックポイントです。「遅くなって申し訳ない」と思いながらお迎えに行く保護者の気持ちをいっそう責め立てるような態度をされてしまうと、子どもを預けることについて、保護者のほうが疲れてしまい、気持ちがくじけてしまいます。選択肢があるなら、子どもの保育支援に加え、働く保護者を応援してくれる学童保育を選択するとよいと思います。


リクエストがあればとりあえず言ってみる!

現状の学童保育では100%満足できないというかたも多いと思いますが、不満に思っている点があるならば、施設側に要望を言ってほしいと思います。多くのかたが、言う前から無理だろうと諦めていると思います。しかし、とりあえずリクエストしてみると、意外に「それだったらできるかもしれない」「うちでは難しいけれどあそこならできるわよ」と言ってくれる場合もあるかもしれません。私自身も施設に相談したことで、何度も救われたことがありました。
そうしたリクエストがあるからこそ、施設のサービスも充実していきますし、お子さまも保護者もいきいき過ごせると思っています。勇気をもって相談してみてください。きっと突破口が見つかるはずです。

次回は、夏休み期間中の学童保育活用に関する疑問について、田中先生にお答えいただきます。


『だれも教えてくれなかったほんとうは楽しい仕事&子育て両立ガイド』『だれも教えてくれなかったほんとうは楽しい仕事&子育て両立ガイド』
<ディスカヴァー・トゥエンティワン/小栗ショウコ(著)、田中聖華(著)/1,404円=税込>

プロフィール


田中聖華

松蔭大学経営文化学部准教授。女性のキャリア開発やキャリア継続を応援するセミナー等の活動を実施。共著書に『だれも教えてくれなかったほんとうは楽しい仕事&子育て両立ガイド』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

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