給食で牛乳を飲めないと「ダメな子」?[教えて!親野先生]

今週の相談

 

小学1年生の息子は給食の牛乳が嫌いで飲めません。匂いがダメです。吐き気をもよおします。全部飲もうとすると気持ち悪くなって吐いてしまいます。日々楽しい学校生活も牛乳があるがため影を落としているように思われます。
給食の時間、先生は、「半分以上残してもいいよ」と言って励ましてもくれています。でもときどき叱咤激励のつもりなのか、「あれー、これだけ」と言われることもあるそうです。給食を食べ終わるのもいつも一番最後です。クラスで「ダメな子」とレッテルを貼られそうで、不憫です。(ゆうきママさん)

 

【親野先生のアドバイス】

ゆうきママさん、拝読いたしました。

小学1年生の子が、このようなことで毎日苦しんでいるとは!
学校生活を楽しみにして入学したはずなのに、これではあまりにもつらいと思います。たかが牛乳だけのために、このままではかわいそうすぎます。

このようなご相談に触れるたびに、給食で苦しまされている子が全国にどれだけいるかと心配になります。楽しいはずの食事の時間が苦痛になっている状況を、何とかする必要を強く感じています。食事のように生理的な部分では、子どもの個人差はとても大きいので、一律で強制的な指導は絶対にすべきではないのです。無理な強制をすると、食事そのものに対する苦痛や拒否などのトラウマになることもあり得るのです。

お子さまの場合、牛乳アレルギーということも考えられます。牛乳アレルギーは乳幼児に多いようですが、成人でも該当者はいます。
その場合、牛乳で下痢、喘息、湿疹などの症状が出るそうです。一度、専門家に診てもらう必要があるかもしれません。もし、牛乳アレルギーだということになれば、もう飲む必要はないわけです。

専門家に診てもらって、牛乳アレルギーではないと言われるかもしれません。でも、現在の医学から見たらそうであっても、「匂いがダメです。吐き気をもよおします。全部飲もうとすると気持ち悪くなって吐いてしまいます」という状況では、やはり特別な配慮が必要だと思います。
特別な配慮は絶対に必要です。

もしかしたら、別の何かの理由で生理的に受け付けないのかもしれません。
人間に関わることは未解明な部分のほうが多いのですから、理由がわからなくてもそういうことはあるのです。体内の酵素とか微生物の働きや免疫システムについても、まだ未解明の部分がたくさんあるのです。人間の奥深いところは、そう簡単にはわからないのです。

「先生が励ましてくれています」とのことですが、励ましたほうがいいとは私には思えません。叱咤激励で何とかなる段階とも思えません。「匂いがダメです。吐き気をもよおします。全部飲もうとすると気持ち悪くなって吐いてしまいます」……、こういう状態の子に、無理に飲ませる必要があるのでしょうか?

飲めるけどあまり好きではないというくらいでしたら、「もうひと口飲んでみよう」と言ってみるのもいいかもしれません。それで、もっと飲めるようになることがあるかもしれません。

でも、この子の場合は、そういう段階ではないのは明らかです。それなのに、飲ませようとする必要があるのでしょうか? 飲ませたほうがいいという根拠はどこにあるのでしょうか? 自信をもって飲ませたほうがいいと言えるのでしょうか?
ただ「出された食べ物は残さない」などという固定観念で言っているとしたら、無責任な話だと思います。私は飲ませないほうがいいと思います。それは、人間の奥深いところは誰にもわからないからです。これだけ強い拒否反応があるのですから、慎重にしたほうがいいのです。

しかも、このようなことで学校に行くのも苦痛という状況になるとしたら、とんでもないことです。このようなことが6年間または9年間続くなどというのは、絶対に避けるべきです。

でも、この先生はまだましなほうだと思います。なかには、もっと強硬な先生もいますから。私が今言ったようなことに全く無理解な先生もいますから。先生というより、親も含めた大人全体に無理解な人が多いのです。

というわけで、私は、親が子どもを守ってやる決意をすることが必要だと思います。まず、専門家に診てもらってください。もし、牛乳アレルギーということになれば、それを伝えれば解決です。

そうでない場合も、もう牛乳で苦しむことのないようにしてやらなければなりません。そのための方法をいろいろ考えてみることです。先生に次のように言うといいと思います。そして、毎年新しい担任が決まった時点でできるだけ早く言うことです。

・牛乳のことでこれだけ苦しむのは不憫
・もしかしたら、何か生理的な理由があるのかもしれない
(医者にこう言われたと言えば効き目がある)
・家でも相当悩んでいて、学校に行くのも苦痛になっていて登校拒否も心配
(強調する)
・食事そのものへのトラウマにもなりかねないのが心配(強調する)
・親の決断として、もう牛乳のことは目をつぶることにした(強調する)
・だから、もう給食の牛乳についても何も言わないでほしい
・他の子たちに、アレルギーで飲めない等の説明をしてもらいたい

それでも、足りないようだったら、少し作り話をするという手もあります。
先生も「もう牛乳のことは全く言わないほうがいいな」と思うような話です。

・先日無理に飲ませたら発疹ができた……
・嘔吐が止まらなくなってしまった……
・医者にも無理に飲ませないほうがいいと言われた……
・無理に強制すると食事そのものが嫌いになる可能性がある、と医者に言われた……

親の責任で嘘をつけばいいのです。このような状態から子どもを救い出してやれるのは、親だけなのです。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。ゆうきママさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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