親野先生に聞いた!子どもの乱暴な言葉遣いが気になる!どう受け止めて対応すればよい?

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「馬鹿じゃない?」「キモい」「ムカつく」などの言葉を子どもが発するとドキッとしますよね。「おれ」「おまえ」といった言葉も乱暴に聞こえて気になります。でも、いくら禁止しても、見えないところで言っているかもしれない……。子どもの言葉遣いには多くのおうちのかたが悩んでいます。子どもの言葉が気になったとき、どう受け止めて、対応すればいいのか、教育評論家の親野智可等先生にお聞きしました。

この記事のポイント

なぜその言葉を「言いたい」のか

子ども同士や親子の会話の中で、「こんな言葉遣い、どこで覚えたの?」「この言葉はあまり使ってほしくないな」と思うことがあります。親としてはとまどうものですが、子どもの言葉や口調が変わったと感じるときは、子どもの世界が広がり、新しい人間関係ができてきている場合が多いのです。
中でも大人が乱暴に感じる言葉は、子どもにとっては格好良く思えたり、たくましさや強さを感じたりするので、伝染しやすくなります。自分がその言葉を使うことで、自分も強くなった気がするのです。

また、友達と近い関係になりつつあるとき、同じ言葉を使おうとすることがあります。これは、乱暴な言葉だけでなく、グループでしか通じないような特別な言葉、ある年齢層で流行する言葉なども同様です。共通の言葉遣いには、仲間意識を高める力があり、お互いに言い合っているので少々乱暴でも深刻に受け止めず、からかいやツッコミの言葉が潤滑油になっている場合もあります。

このように、多くの場合、子ども自身が「『悪い言葉』を使おう」と思っていたり相手の気持ちまで考慮したりしているわけではないのです。もちろん、言葉は言われた相手の受け止め方で非常に攻撃的なものにもなり、そうした言葉の危険については教えていくべきです。しかし、すべてを頭ごなしに禁止し、押さえ込もうとすれば「自分の気持ちをわかってくれない」という反発心が生まれる可能性があります。まず子どもの気持ちや背景に目を向けて、ややおおらかな気持ちで受け止めてみてください。

禁止や否定より「想像させる」

もし、子どもが使う言葉が人を傷つける可能性があるときや、度を越して不快感を与えるようなときは、禁止や否定よりも、言われた相手がどんな気持ちになるかを想像させましょう。たとえば、子どもは悪意なく「死んだほうがいいよ」「キモい」などのきつい言葉を使うこともあります。その言葉を自分が言われたらどんな気持ちになるか、たずねてみてください。また、グループ内では当たり前の気軽な言葉でも、相手によって受け止め方が異なることも伝えてください。親しい友達から言われたときと、そうではない相手から言われたときの違いを想像させるのもいいでしょう。

おうちのかたが「私はそう言われたら悲しくなるな」「その言い方は怖いよ」など、その言葉を耳にしたときの気持ちを伝えることも子どもの気付きにつながります。このとき注意してほしいのが「こんな言い方をする子は好きじゃない」という言い方をしないことです。「この言葉は好きではない」と「この言葉を使う子は好きではない」、微妙な違いですが、後者では子どもは「そんな子(あなた)は好きじゃない」と自分を否定する言葉として受け取ってしまうことがあります。あくまでも「『言葉が』好きではない」という言い方をしましょう。

言われた相手の気持ちや印象を想像して言葉を使うことは、コミュニケーションのうえでとても重要な力です。一方的に禁止しても、こうした力は育ちません。悪意がないとしても、言葉遣いに無自覚だと子ども自身が人間関係で損をすることになります。気になる言葉遣いは、相手の気持ちを思いやる力や社会的な視点を養う、よいきっかけにもなるのです。

心地よい言葉は家庭で育つ

子どもの言葉遣いは、環境の影響を受けます。当然、友達関係だけでなく家族の言葉遣いも子どもは身に付けていきます。乱暴な言葉に注意が向きがちですが、嫌味のある言い方やトゲのある言い方なども、まず大人がしないように気をつけましょう。こうした言い方が身についてしまうと、人間関係に悪影響が出る可能性があります。

「なんで片付けないの?」「同じことばっかり言わせて」などの否定的な言い方や命令口調になっていませんか? 「勉強しないと、おやつなしだよ」と罰則を与えるような言い方も控えましょう。こうした言い方が日常的になると、子どもが友達に対して「なんでできないの?」「〇〇しないと遊んであげないよ」などの言い方をするようになってしまいます。

家族間の言葉はときに遠慮がなくなり、感情的になることもありますが、なるべく相手の気持ちを考えた言葉遣いを意識しましょう。そして、子どもが発する言葉遣いが「いいな」と感じたら、どんどんほめてください。「その言葉、いいね!」「優しいこと言ってくれるのね」「うれしくなっちゃうな」と率直な気持ちを伝え、言葉でお互いが良い気持ちになり、良好な関係が築けることを、たっぷり感じさせてあげてください。

まとめ & 実践 TIPS

言葉遣いはコミュニケーションに大きな影響を与えます。気になる言葉を耳にしたときは、そのような言葉を使いたがる気持ちを理解した上で、子どもの成長につながる対応ができるといいですね。言われた相手の気持ちを想像させる、その言葉を聞いたときの自分の感想を伝える、そして子どもへの言葉遣いを見直す。できることは、いろいろありそうです。大人も子どもも、ポジティブで心地よい言葉遣いを目指しましょう!

プロフィール


親野智可等
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・『子育て365日』(ダイヤモンド社)
・『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社)


長年の教師経験をもとに勉強法・家庭教育・親子関係などについて具体的に提案。
Instagram、Threads、X、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」などでも発信中。ドラゴン桜の指南役としても著名。『子育て365日』『親の言葉100』などベストセラー多数。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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