[調査]「勉強よりもいまの生活が大切」な日本の高校生

日本青少年研究所が、日米中韓の高校生を対象に行った生活意識に関する調査結果を発表しました。それによると、4カ国が共通して高かった高校生の関心事は「将来の希望」や「友人関係」でした。一方、「できるだけいい大学に入れるようにがんばりたい」と考えている高校生は、中国、韓国はともに90%以上(「全く」+「まあそう思う」の合計)、米国は75.7%でした。一方日本は61.7%と、他の3カ国と比べてかなり低くなっています。全体的に、日本の高校生は「やる気」や「希望」が少ない傾向があるようです。


日・米・中・韓の高校生、意識にも「お国柄」

高校生の国際比較調査などを行っている財団法人日本青少年研究所は、2006年3月に「高校生の友人関係と生活意識」調査の結果を発表しました。この調査は、日本、米国、中国、韓国の高校生の意識を比較した報告書で、お国柄が出ている興味深い結果となっています。

例えば日本の高校生は、「食べていける収入があれば、のんびり暮らしたい」という割合が中国のおよそ2倍のスコアを示すなど4カ国で最も高く、やや享楽的な一面がうかがえます。また、流行や携帯電話などには大きな関心がありますが、勉強や家族には関心が低いという傾向が見られます。米国は、勉強よりも地域社会や余暇生活への関心が高く、中国は流行を追わないで勉強に集中する傾向があります。韓国は日本と同じように流行や携帯電話に大きな関心をもっていますが、IT機器にも関心が高く、さらに勉強にも熱心な様子がうかがえます。日本の高校生が「非常に関心がある」と答えた項目の第1位は「大衆文化(漫画、雑誌、ドラマ、映画、音楽)」で62.1%、他国(米国:22.1%、中国:35.2%、韓国:43.4%)と比較すると群を抜いて高い結果でした。また、4カ国とも「非常に関心がある」と答えた割合が5割を超えた項目は、「友人関係」と「進学」についてでした。

周りから好かれたい日本の高校生

高校生にとって重要なのは「学びへの興味・関心」ですが、「勉強や成績」に関心がある高校生の割合(「非常に関心がある」+「まあ関心がある」の合計)は、日本以外の3カ国はみな8割~9割であるのに対して、日本は7割強にとどまっています。

「どのタイプの生徒になりたいか」では、日本は「クラスのみんなに好かれる生徒」がトップで48.4%、次いで「友だちを積極的に助ける生徒」です。米国と中国は「勉強がよくできる生徒」がトップでそれぞれ83.3%、79.5%ですが、日本はその約半数でした。米国は2位が「自分に課されたことを確実にこなす生徒」です。中国の2位は「失敗を恐れず、未知なものに挑戦する生徒」です。韓国の1位は「自分に課されたことを確実にこなす生徒」で70.0%、2位は「勉強がよくできる生徒」67.4%となっています。「勉強がよくできる」タイプになりたい項目は日本の場合6位で40.5%でした。日本が「友だちとの関係性」に重きをおいているのに対して、他国では「確実に成果を示す」「挑戦する」ことを強く意識しているように思えます。

【どのタイプの生徒になりたいか~各国で第1位となった項目~】
                (複数回答、数値は%、赤字は各国で第1位の項目)


         (財)日本青少年研究所 「高校生の友人関係と生活意識」より


進学志向が低い日本の高校生

「希望する学歴」については、日本の場合「4年制大学まで」が44.0%と半数近くを占めました。しかし、他の3カ国と比べて「修士・博士まで」の割合は7.2%と、他の3カ国と比べて低い(米国:46.5%、中国:45.3%、韓国:14.7%)ことがわかりました。また、現在の悩みとして「勉強や成績」、「進路」を挙げる生徒が多い一方、「成績がよくなる」「希望の大学に入る」ことを重視する割合が小さい傾向も見られます。将来の進路先へのこだわりや希望が、他の3カ国と比べて少なく、学歴志向(成績志向)も高くない日本の高校生をうかがい見ることができます。
情報が氾濫し、就業構造や社会そのものが変化しつつあるなか、自分のいまの生活やこれからの将来に対する具体像が、描けていないせいかもしれません。

しかし、自分らしさを出すことに対しては積極的な面も見られます。規律意識に関する調査項目では「自分が間違っていないと思えば、はっきり主張すべきだ」という考えを持ってる割合は84.3%でした。これは、中国に次いで高く、韓国、米国を上回っています。
また、「周りの人と違うことをしないほうがいい」とは思わない、つまり「周りの人とは違うことをしてもいいと思う」高校生は73.2%と4カ国中トップでした。こうした傾向は、時には自己中心的で自分勝手な振る舞いしかできないというマイナス面もありますが、他人とは違う自分を認めて、自分の良いところを自分や周囲が伸ばしていける可能性を秘めていると言えるかもしれません。

学校現場では、こうした高校生の意識変化は近年確実に顕在化してきたと言われていますが、「時代の変化」と安易に決めつけず、家庭と学校で真剣にその課題と影響を話し合う時代にきていると思われます。

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