「勉強しない高校生」にならないために、今、保護者ができること

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もうすぐ4月。
この春から新たに高校生になったり、学年が一つ上がったりすることを前に、中高生がさまざまな思いを抱きながらも、春休みを楽しんでいる時期です。

一方で、そんなお子さまがまったく机に向かわず、「このまま4月を迎えて大丈夫?」とヤキモキしている保護者のかたも少なくないのではないでしょうか?

今回は、お子さまが「勉強しない高校生」にならないよう、今、保護者にできることを解説します。

この記事のポイント

「勉強しなさい!」では、勉強しない

いつまでも勉強しない子どもに「勉強しなさい!」と注意した経験は、多くの保護者にあるでしょう。

しかし、それで「はい、わかりました!」と机に向かうことができる子どもは少数派。
多くは無視するか、「はあい」と返事するばかりで動こうとしない。
机に向かったとしても、「無理やりやらされている」といった表情で、とても熱心に勉強しているようには見えない……。

保護者の皆さまが実感されているとおり、「勉強しなさい!」という声かけは、残念ながら効果は薄いのです。

では、何をすべきか。
まずは、「生活のリズムを整えること」から始めてみてください。
起床時間、勉強開始時間、就寝時間を一定にする「3点固定」を意識するとよいでしょう

そのなかで固定させるのが一番難しいのは「勉強開始時間」です。
しかし、「勉強しなさい!」と言ったところで効果は期待できないので、「(開始時間と決めた)●●時になったよ」と声をかけるまででとどめましょう。

もし保護者がその開始時間に子どもと一緒にいられる環境にあり、余裕があるようであれば、同じ時間にご自身も何かの勉強や、読書などを始めるようにしてみるのも効果的です。
最初のうちは反応がないかもしれませんが、何回か保護者も学んでいる姿を見ていると、「自分もそろそろ……」と自覚してくれるはずです。

特に新高1生の場合、中学時代とは学習スタイルを切り替える必要があります。
授業のスピードが格段に上がり、内容もかなり深くなるので、最初のうちは「学校で出された課題をやること」で手一杯になることでしょう。

しかし、そういった学習を通じて「なぜ」という疑問を持ったり、「どうやったらもっとできるようになるだろう」という課題意識を持ったりする、つまり「主体性」をもって勉強に臨む姿勢が必要になっていきます。

そのような学習スタイルを身に付けるには、どうしても時間がかかります。
本人が自分なりの学習ペースを身に付けるまで、保護者は生活リズムを整えながら、伴走するイメージを持ってください。

見守ることで「主体性」を芽吹かせる

とはいえ、しばらくはなかなかうまくいかないでしょう。
ひょっとすると、「授業が早すぎてついていけない」「テストで思ったように点が取れない」など、学習面で失敗することがあるかもしれません。

しかし、そういった失敗や体験を通じて、自ら学ぶことの必要性に本人が気付くことこそが重要です。

恐らく多くの高校生が、生活面も含めて、これからさまざまな壁にぶつかるはずです。
その時に、保護者はしばらく見守るようにしてください。
お子さまが自分なりに努力し、自分なりの答えを見つけていくことが、「主体性」の芽になるからです。手をかけすぎないことも一つの成長支援になるのが、高校生という学齢です。

ただ、何か月過ぎても出口が見えない状況であったり、高校生活そのものに苦しんだりしている場合は別。担任の先生に相談し、学校とも連携を取りながら、手助けしてあげてください。

そして、お子さまが主体的に「学ぼう!」と思えた時に、すぐに効果的な勉強に取り組めるよう、今から「3点固定」で生活のリズムを整えてあげることが、この時期に保護者にできることです。

体験の積み重ねで「主体性のある学習者」へ

見守ることで芽吹いた「主体性」を、さらに大きく成長させるために、もう一つ保護者に心がけていただきたいのは、「初めてのことへの出合い」を積極的に後押ししていただくことです。

高校では、授業や部活動に加えて、探究活動や地域ボランティアなど、さまざまな体験の機会が提供されています。そして、学ぶ意欲はこういったさまざまな体験の積み重ねから生まれてきます。

しかし、教科の授業以外の活動は、勉強とは一見関係なく見えるので、「やったことがないから、わからない」「面倒くさい」とお子さまが参加を渋ることも多いと思います。

そんな時こそ、保護者が参加を促してあげてください。
新しいこととの出会いを楽しめるようになることが、学びを楽しめることにも直結します。学びを楽しめるようになれば、もう保護者が「勉強しなさい」と声をかけなくても、自分から勉強に向かう、「主体性のある学習者」になっていることでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

最近の大学入試問題を見ると、単に知識量だけを問うようなものは減っています。
増えているのは「この問題で問われていることは何か」を正確に把握したうえで、複数の教科で身に付けた力も総合させながら答えることが求められる問題です。

そのような問題に対応するには、やはり「なぜ学ぶのか」「何を学ぶのか」「学んだ結果、どうなりたいのか」を自覚した、「主体性のある学習者」になることが不可欠です。

保護者がお子さまと二人三脚で挑んだ高校受験までと違い、高校では「3点固定」を意識しながら、ペースメーカーとして伴走するイメージで臨みましょう。そして、新しい体験への出合いを促すことで、「勉強しない」でも「勉強させられている」でもない、「主体性のある学習者」としての高校生になれるよう、応援してあげてください。そのような学習態度は、高校生活や大学入試はもちろん、大学生活、さらには社会に出てからも、お子さまが成長し続ける原動力になるのです。

プロフィール


村山和生

ベネッセでは進研模試等を通した高等学校への進路指導支援、大学入試分析、進路説明会講師等を担当。2012年からはベネッセ教育総合研究所・高等教育研究室のシニアコンサルタントとして大学の教学改革支援や入試動向分析、「VIEW21大学版(現:Between)」編集長等を担当。16年からは「ベネッセ i-キャリア」にて大学生向けアセスメント分析や大学IRのための統合データベース開発などを担当。17年からは一般財団法人大学IR総研の調査研究部にて、研究員として高等教育全般の調査・研究と教学改革支援、ならびにIRの推進支援に携わる。
ベネッセコーポレーション帰任後は、学校支援事業の経営企画業務に従事。21年からベネッセ文教総研の主任研究員として、高等教育を中心に「学修成果の可視化」「IR」を主なテーマとして調査、研究、情報発信を続けている。

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