小学生のお子さまが勉強しても成績が伸びない原因はこれだった!【後編】
勉強しているのに成績が伸びない場合、明確な原因があるケースが大半だといいます。原因を特定して取り除くことで、学力だけではなく、お子さまの自信や自己有用感なども伸ばすことができるはずです。引き続き、清瀬第八小学校教諭の杉渕鐵良先生にお話をうかがいます。
【成績が伸びない原因3】基礎学力が不足している
基礎学力が不足していたり、つまずいている箇所があったりして、どれだけ勉強しても理解できないケースもあります。例えば、1けたの計算がスムーズにできないのに、3けたの計算ができないのは当たり前です。
こうした原因の場合、解決がやや難しいのは、子どもは自分がどこがわからないのかを自覚しにくいことです。しかし放置すると、どんどんわからないことが増え、ばん回が困難になってしまいます。ほんの小さなつまずきが原因にもかかわらず、子どもが「算数は嫌いだ」「自分は勉強が苦手だ」などと思い込んでしまうのは、とてももったいないことです。保護者からも、「うちの子は算数ができない」といった相談を受けることがよくありますが、実際は「算数」ができないのではなく、ある特定の箇所が理解できないケースがほとんどです。子どもがつまずいている箇所を見つけるためには、テストなどで間違えた問題をもう一度解かせて、どこからわからなくなったかを指摘してあげましょう。また、問題を解く過程を言葉で説明させることでも特定できます。
弱点が見つかったら、前の学年の教科書や問題集などで復習しましょう。「カッコ悪い」などと感じて抵抗するお子さまもいるかもしれませんが、わからないことを放置するほうが問題であることを伝えてください。
【成績が伸びない原因4】集中力が散漫になっている
「1時間も勉強した」とがんばった気になっていても、きちんと集中できていなければ、あまり意味はありません。勉強は、「時間」よりも「密度」が大切です。テレビが気になってダラダラと1時間勉強するのなら、10分間本気で集中したほうが実になるものは大きいでしょう。
集中力が途切れがちなお子さまにオススメするのは、タイマーをセットして勉強に取り組む方法です。私は授業でも取り入れていますが、「5分でやってみよう」などと時間を設定すると、集中力は格段にアップします。子どもにとって30分や1時間はとても長い時間に感じられて、なかなか集中が続かないのです。
家庭では、例えば、事前に3種類の勉強を用意しておいて、「5分×3」などと決めて取り組むといいでしょう。時間ではなく、あらかじめ「成果」を決めるのも集中力を高めるにはよい方法です。勉強のゴールを見せておくことで意欲を高めるのです。例えば、「この範囲の勉強が終わったら、お母さんが漢字クイズを出すね」と伝えておけば、「しっかりと覚えよう」という気持ちで勉強に取り組めます。
【成績が伸びない原因5】本を読まない
読書をしないことが足を引っ張って成績が伸びない子どももいます。文章を読むことに慣れていないと、国語の学力が高まらないだけではなく、テストの問題文を読んでも頭の中でパッと理解できず、読み違えたり、いたずらに時間を浪費してしまったりします。逆に読書によって読解力や想像力が鍛えられた子どもの中には、あまり勉強をしないのに成績がそこそこよいというケースも見られます。
語彙を増やすという点では、マンガでもかまいません。わからない言葉が出てきたら、面倒でも辞書で調べることを習慣づけると、語彙力はどんどん増えていきます。
読書によって培われる想像力は、相手の気持ちを読み取る力につながり、コミュニケーション力の支えにもなると考えています。広い意味での学びの基礎になりますから、お子さまにはぜひ読書をすすめてください。
小学校の学習は、正しい勉強のしかたをすれば誰でもできる
「勉強をしているのに成績が伸びない」という状態は、子どもにとって精神的なダメージが大きいものです。小学校の勉強は基礎ですから、理解のスピードに個人差はあるにしろ、基本的には正しい勉強のしかたをすれば、「誰でもできる」と考えて間違いではありません。わからない原因を取り除けばできるようになると信じて、親子でがんばってみてください。課題の克服を通して苦労や喜びを分かち合うことは、親子の信頼関係の向上にもつながるに違いありません。