保護者が学校教育に求めることNo.1は?

2008(平成20)年3月に小・中学生を持つ保護者を対象に行われた「学校教育に対する保護者の意識調査」の中から、保護者の学校教育に対する意見を取り上げます。学校教育で最も重視するもの、教育の地域格差や家庭の経済状況による教育格差について、新しい学習指導要領の受けとめ方など、今どきの保護者が学校教育に対して何を感じているのかお伝えできればと思います。



保護者が学校教育に求めることNo.1は?





保護者が重視するのは、「基礎学力」と「平等さ」

まずは保護者がどんな学校教育を望んでいるか見ていきます。

【図1 学校教育に対する意見】
「ふたつの意見のうち、あなたの考えに近いのはどちらですか」


図1 学校教育に対する意見


(1)基礎学力をつけることが第一。得意科目より、苦手克服を
「教科書レベルは基礎的な内容に重点を」74.7%、「苦手な教科を優先」63.6%、「増やしてほしいのは、基礎的な知識を身につける授業」56.1%という結果に。得意科目を伸ばすことより、まずは基礎学力の定着や苦手克服を望む保護者の要望が見てとれます。

ちなみに、教員を対象とした学習指導基本調査(2007<平成19>年)から、教員も保護者と同様、「基礎基本を重視する」教育観を持っていることがわかっています。

(2)地域格差に否定的。教育の平等を求める
「教育内容は国が決めたほうがよい」71.1%、学習内容の選択に関しては「義務教育ではすべての子どもに共通する内容を」60.8%。地域の特色を生かした教育や、子どもの個性に応じた教育より、教育の平等を求める保護者が多数派と言えます。

(3)学校に競争を持ち込みたくない
学校間の競争については、「学校の中に活気が生まれて教育は良くなる」が31%に対して、「成果を上げるために無理をして教育は悪くなる」が65.4%。
前回までの調査データでもお伝えしたように、多くの小・中学生の保護者が学校を、「基礎学力」をつける場であると同時に、「道徳や思いやり」「社会のマナーやルール」を身につける場として期待しているようです。

また、学校教育を充実させるために税金を増やしたほうがよいか、あるいは現状のままで税金を増やさないほうがよいかは、意見が分かれています。


所得の多い家庭の子どもが、よりよい教育を受けるのは「やむをえない」?

次に、教育の不平等さについてどう考えているのか、家庭の経済状況に別に見てみます。

【図2 教育の不平等(全体・経年変化、経済状況別)】

図2 教育の不平等(全体・経年変化、経済状況別)

注:「経済的にゆとりがある」は、「あなたの生活には経済的にどの程度ゆとりがありますか」という質問に「ゆとりがある」「多少はゆとりがある」と回答した保護者。「経済的にゆとりがない」は、「ゆとりがない」「あまりゆとりがない」と回答した保護者。


●家庭の経済状況によって、教育格差が生まれるのは「問題だ」5割
所得により教育格差が生じることについて、「問題だ」との回答は2004(平成16)年に比べて2008(同20)年で微増、5割を超えています。ただし、約4割の保護者は「やむをえない」と考えています。

●家庭の経済状況による教育格差……ゆとりのある家庭では「やむをえない」。ゆとりのない家庭では「問題」
教育格差への意識は、家庭の経済状況により差が出ています。教育格差を「問題だ」とするのは、経済的にゆとりのある保護者で約4割。これ対してゆとりのない保護者は約6割。この意識の差は2004(平成16)年より2008(平成20)年のほうが大きくなっています。


授業時間や内容増の新学習指導要領に、保護者は賛成!

最後に、2011(平成24)年度から小学校、2012(同24)年度から中学校で全面実施となる新学習指導要領について、保護者のかたがどれぐらい知っているのか、またその改訂に対する意見を聞いてみました。

【図3 学習指導要領改訂の認知】

図3 学習指導要領改訂の認知

注1: 数値は、2008年調査全体の値。
注2: 「改訂される内容の認知」は、「改訂の認知」についての質問で「知っている」と回答した人(1,685名)だけにたずねた。



【図4 学習指導要領改訂に対する意見】

図4 学習指導要領改訂に対する意見

注: 数値は、2008年調査全体の値。


●「学習指導要領の改訂を知っている」は約3割。そのうち「内容まで知っている」のは5割
学習指導要領が変わることを知っている保護者は約3割。その3割の中でも、内容まで知っているかたは約5割となりました。
ただし、小学校での実施が来年度に迫ってきているなか、学校から説明を受けたり、配布資料が配られたりする機会も増えているようです。そう考えると、2008(平成20)年3月の調査時より、現時点の認知度は上がってきていると推測されます。

●保護者は「授業時間の増加」と「総合学習時間の縮減」、ともに賛成
「授業時間の増加」には75%の保護者が賛成で反対を大きく上回りました。さらに「総合的な学習の時間」の縮減に対しては賛成48.7%、反対36.6%という結果に。これも、「学校ではまず、しっかりと基礎学力を身に付けてほしい」という保護者の考えの表れと言えるでしょう。


公立学校に求めるのは「平等に基礎学力」をつけること。新しい学習指導要領も、その方向で一致

「公立学校は平等な教育を行い、基礎学力をしっかりつけさせることに徹してほしい」というのが保護者の本音であり、最も期待していることのようです。その一方で、前回お伝えしたとおり、中学受験を考える家庭では、公立学校に受験力・英語力などを期待していないという調査結果もあります。
授業時数や学習内容増となる新しい学習指導要領は学力向上が一つの狙いでもあるのででも、基礎基本となる授業の充実を目指しているところが、保護者にも受け入れられていると言えそうです。今後、さらに保護者の満足度が上がっていくのか、注目したいところです。


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