お父さんたち、気負いすぎてない? ガチガチの完璧主義は、ちょっと待って【つるの剛士さん・杉浦太陽さん対談(2)】

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5人の子どもを育てるつるの剛士さんと、4人の子どもを育てる杉浦太陽さん。その子育て論を聞きたい! という声は絶えません。

今まさに子育てをされているお父さまから、将来子どもを持ちたいと考えているかたまでさまざまな相談が寄せられる中、お二人が心配されていることは、「皆さん、完璧な父親になることを求めすぎていない?」ということ。

自ら試行錯誤を続けてきたお二人に、子育てに関する心持ちをお聞きします。

プロフィール

つるの剛士さん(トップ写真右)

1975年生まれ。福岡県出身。1997年に『ウルトラマンダイナ』で主人公のアスカ・シン役を務め、その後『クイズ!ヘキサゴン2』でブレーク。番組内ユニット『羞恥心』でも人気を集めた。2003年に結婚し、現在は2男3女の父。2022年3月に短大を卒業し、幼稚園教諭二種免許を取得。同年、保育士試験にも合格。幼児心理学を学ぶために大学に在学中。趣味は、将棋(3段)、釣り、波乗り、キャンプ、バイク。

プロフィール

杉浦太陽さん(トップ写真左)

1981年生まれ。大阪府出身。1998年『おそるべしっっ!!音無可憐さん』で俳優デビュー。2001年『ウルトラマンコスモス』で主演を務め一躍注目を浴びる。2007年に元『モーニング娘。』でタレントの辻希美さんと結婚し、現在は1女3男の父。現在、NHK Eテレ『趣味の園芸 やさいの時間』、TBS『ひるおび』、TOKYO FM『杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより』、TOKYO FM『TOKYOこどもTIMES』、KBS京都『SUNNY TIME』、MBS『7Chefs』などにレギュラー出演中。

お父さんのがんばりすぎが心配

──お二人のもとには、子育てに関するお悩みを寄せられる機会が多いかと思いますが、何か感じることはありますか?

つるの剛士(以下、つるの):今のお父さんたちは、自分も育児を担っていくんだという意識を持ったかたがすごく多いよね!

杉浦太陽(以下、杉浦):そうですね。そもそも社会が大きく変わったと思っていて、昔は保育園に迎えにいってもお父さんは自分だけって状況だったけれど、今はそんなことないもんね。つるちゃんは「『イクママ』がないのに『イクメン』という言葉を使うのはあまり好きではない」とよく言っていたけれど、最近はだんだん『イクメン』も使われなくなっているように感じます。

つるの:いい社会に向かっているよね。でもその一方で、お父さんのがんばりすぎがちょっと心配で。

杉浦:心配?

つるの:子育て関係の勉強会に登壇すると「まだ子どもはいないけれど勉強しにきています」ってかたも意外と多いんだよね。

杉浦:それはすごい!

つるの:すごいよね。一方で、「父親として完璧な状態で子どもを迎えよう!」という目標が、逆にストレスにならないといいなと思って。もし共に育てるパートナーがいるのであれば、お互い勉強してつくり上げていくのもいいと思っていて。

杉浦:確かに、子育ては共同作業ですもんね。僕も育児書を読んで勉強したけれど、結局は妻とどう連携を取れるかが大事だなと思う。子どもたちの状況を随時共有し合って、家にいる時には妻が何をしてほしいかにアンテナを立てることで、自分の立ち回りがわかってくることがあるかも。

つるの:そうだよね。「自分たちにとっての正解」を探すのはいいと思うな。

杉浦:うんうん。

つるの:たまに、勉強会とかでママたちから「つるのさんみたいな人を、どう探せばいいですか?」って聞かれることがあって。その時は「突然イクメンが出てくることはないよ」って伝えているんだよね。今の自分になるまでに、どれだけ妻とケンカしてきたか(笑)。ケンカを経て、経て、経て、今の僕がここにいるわけだから。

杉浦:今は情報にたくさん触れられるからこそ、不安になってしまうのかもね。

つるの:何でも検索できるのは便利だけれど、それでヒットするのはあくまで「人が出した答え」だからね。自分たちで出した答えがすべてだよって、探索世代を生きてきた僕は感じているかな。

「父親としてこうあらねばって、最初はもちろんあったよね」

──そういった行動も、「良い父親でありたい」という前向きな姿勢ゆえと思うのですが、お二人もそのような時期はありましたか?

つるの:もちろん、最初はありましたよ! そもそも、役で子どもたちのヒーローを演じていたわけだから、良い父親でありたいと思っていたよね。でも、実際子どもが生まれてみたら全然ダメで、ダメすぎて妻にフラれると思って育休を取ったんだから(笑)。

杉浦:僕も、すごく気負っていましたよ! トップアイドルだった妻が育児に専念すると言っているんだから、自分も良いパパにならなきゃって。

つるの:太陽の家庭は、また特殊だよね。

杉浦:でも、そのプレッシャーに押し潰されて子どものことしか考えられなくなったら、今度は妻とぶつかることが増えたんですよね。結婚3年目まではバチバチにケンカしていましたよ。これじゃだめだと思って、「玄関にプライドを置く」ようにしてからは関係が良くなりました。

つるの:どういうこと?

杉浦:仕事にプライドは要りますけれど、家庭に「父はこうだから」みたいな概念はいらないから、そのプライドを玄関に置いてから、家に入るようにしたんです。それをすることで、包容力を広げることを自分に課していましたね。

つるの:へぇ〜!

杉浦:でも、仕事と育児のバランスは、まだまだ悩みまくりですよ。妻が本格的に仕事復帰したらまた変化するだろうし、でもそもそも変化するものとして、その時々に向き合っていったらいいのかなって思っています。

変化して当たり前。「想像できないこと」を楽しんでいきたい

──順風満帆に見えるお二人ですが、いろいろと試行錯誤されてきたんですね。

つるの:そうですよ、子育てに関して、計算どおりになったことなんてほとんどない(笑)。でも、だから今の自分があるのかなって思います。独身のままだったら、「俺はこういうキャラだから、これはやめておこう」ってもっと頑固だった気がするもん。
もちろん、子どもを育てていくためにいろんな働き方をしなきゃいけなかったということもあるけれど、だからこそ「こっちもいいな」と可能性がどんどん広がっていった。今は、何が起きるかわからないことに、ワクワクするもんね。

杉浦:大変なことも多いけれど、「いつでも変われる」っていいですよね。僕の場合は、妻が子育てする中でどんどん変化していった姿を見られたから、自分も変化していこうって思えたのかも。最初こそ同級生のママたちとどう接していいか迷ったみたいだけれど、今はママ友も多いし、地元のお祭りにも行くし、子どもの学校の空き缶踏みにも朝早くから行っていますからね(笑)。

つるの:それ、わかるな。僕と結婚したことによって妻のライフスタイルがガラッと変わったわけで、それまで築き上げたものを壊してしまうんじゃないかって申し訳なくなったことがあるんだよね。その時に、「子どもがいるからこそできるキャリアもあると思うんだよね」って話をした。変化していくことはかっこいいなって思えたから、変化が怖くなくなったのかもしれないな。

(聞き手/文:飯室佐世子 写真:テラケイコ)

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