不登校を乗り越えた人たちは、どうして先に進むことができた? 自分について悩みぬく時間を周りが奪わないようにすることも大事 [不登校との付き合い方(18)]

もし、今、子どもが不登校だったとしても、その経験を乗り越えた先の姿が見えたら、保護者としては少し気持ちが落ち着いて、子どもを見守ることができるのではないでしょうか。不登校が、その後の人生に役立つことがあるとしたら? 「不登校新聞」編集長の石井志昂さんにお話を聞きました。

この記事のポイント

つらい思いをしたからこそ、不安な状況に強くなれる

不登校になることは、本人にとっても家族にとってもつらいことですが、あとになってから「よかった」と思えることといえば、今のコロナ禍のような不安な状況に強くなる、ということが言えるでしょう。

メンタルは強く、ブレないことがいいと、よく言われますが、理想と現実は違うものです。人はブレるものだし、そんなに強いわけではないということを、不登校になったことで知るのです。すると、精神的に不安定な状況にさらされても、乗り越えていけるようになるのだと思います。

コロナ禍ではなくても、人生には苦しいことはたくさんあります。介護、離婚、失業、難病になるといったこともあります。順風満帆な人生なんてないんです。「そういうことは誰にでもありうるんだ」と、頭では理解しているかもしれないけれど、いざ自分事となると右往左往するもの。そうした困難の中で学ぶことは多い気がします。

俳優の樹木希林さんは全身癌になったり、ほんとうにたくさんの難があった人だけれど、生前、お話を伺ったときに、「難があってこその人生だ」とおっしゃっていました。「ありがたい」という言葉は、難が有ると書いて「有り難い」です。難があると言うことは成長させてくれることがあるのだ、という風に見方を変えるといいですよね、とおっしゃっていました。

自分に向き合う時間をたっぷりとることで、先に進めるようになる

不登校になると、自分の苦しみの源がどこから来るのか、を知ることになります。フリースクール東京シューレの代表理事のお子さんも不登校でした。その子は学校へ通うと、「僕が僕でなくなってしまう」と言われたそうです。その子にとっては、学校に復帰することは不登校のゴール・解決ではありません。だって登校したら自分ではなくなってしまうのだから。そこで見つけた「僕の人生を歩む」というゴールは、人生の大事な指針になります。

私自身の不登校時代、うらやましいとかくやしいとか他人と比較することがありました。それは、自分の人生を生きていない、他人軸で生きているからだと気づいたのです。自分に軸を持つことが大切だと痛感しました。

不登校がきっかけで、自分軸で生きようとし始めた人にとっては、自分の意思を尊重することからしか問題の解決策は生まれないでしょう。何が何でも学校へ行かせようとしたり、他者からの提案に従わせたりするという方向性の働きかけでは、解決策になりません。

自分はどういう人なのかという大きな悩みにぶつかったときに、意識しているかしていないにかかわらず、学校から遠ざかります。ひとりになって、自分との折り合いをつける時間が必要だからでしょう。自分ととことんまで、向き合う時間なのです。

自分がどう生きたいかがわかったら、そこから先は頑張れる

そうして、自分と折り合いをつけられたら、その先のことは何とでもなります。必要な学力をつけたり、仕事を覚えたりといったことは、あとからいくらでも追いつきます。逆に言えば、自分との折り合いがつけられないままでは、学習も仕事も頑張ることができません。

このコロナ禍で、子どもたちは大人の何倍も不安だし、その不安の中で将来・未来のことを考えています。大人と比べ物にならないくらい逡巡する中で、自分と向き合うことはとても大きな学びとなり、未来への財産になると思います。

学校で苦しまないに越したことはないけれど、もし学校へ行けなくなったとしたら、自分について悩みぬく機会なんだと思ってもいいかもしれません。その大事な時間を、周りがあせって奪わないようにすることも大事です。

まとめ & 実践 TIPS

不登校の中で、苦しくても自分とじっくり向き合い、自分の人生をどうしたいのかと突き詰める時間をもつことで、子どもはほんとうに自分がしたいことに出会います。自分と折り合いをつけたら、その先は学習も仕事も頑張る底力がつくもの、と石井さんは言います。保護者は「学校に行く」と言うことに気を取られるあまり、子どもが自分と向き合う大切な時間を、奪わないようにすることが大切でしょう。

プロフィール

石井志昂

石井志昂

『不登校新聞』編集長。1982年生まれ。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として活動。不登校新聞のスタッフとして創刊号からかかわり、2006年に編集長に就任。現在までに不登校や引きこもりの当事者、親、識者など、400名以上の取材を行っている。

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