「自分の人生を生きる」秘けつは、子どもの前で立派であろうとしないこと【つるの剛士さん・杉浦太陽さん対談(1)】
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「僕ら2人で、9人の子どもがいるってなんかすごいよね!」
つるの剛士さんは5人、杉浦太陽さんは4人の子育てを経験し、その子育て論に注目が集まるお二人ですが、実はそこまで「父親である」という重圧は感じていない様子。
家庭・仕事・趣味と精力的に活動されているお二人は、どう「自分の人生」を生きているのでしょうか? 対談で語っていただきました。
子育ては、未来を生きていくための軸をつくってくれた
──今日は子育て論から少し離れ、「ご自身の幸せ」についてお聞きしていきたいです。
杉浦太陽(以下、杉浦):僕から見たら、つるちゃんは趣味もたくさんあって、自分磨きをしながら人生を楽しんでいる印象です。
つるの剛士(以下、つるの):僕から太陽を見ても、そうだけどね?(笑)
杉浦:いやいや(笑)。仕事して家庭も大事にして、勉強して趣味をして。これだ! ってなったらとことん突き進むから、その原動力は気になります。
つるの:そもそも父親としての自分と、それ以外の自分とで、分けて考えていないかも。何かしていないと気が済まない性格なのもあるけれど、「自分の人生、『つるの剛士』を生ききれているのか?」ということはいつも頭にあって。
最期に、「やりきった! つるの剛士最高でした! また次も、僕でお願いします!」って笑えるような人生を送りたいなっていうのが、ずっと夢で。
杉浦:へぇ!
つるの:そうやって人生を俯瞰(ふかん)して見ると、子育てをする時間って実はそんなに長くないんだよね。独身時代もあれば、夫婦二人の時間もあって、子育てがひと段落したあとの夫婦の時間のほうがもっと長い。実際、あっという間に過ぎちゃうじゃない? 5人育てたけど、体感として子育ての期間は10年くらいじゃないかなって。
杉浦:すごくわかります! 本当にあっという間ですよね。
つるの:5人の子どもを育てることで僕自身、人として成長させてもらったし、夫婦二人で子育てをすることで、これから先長く続く「二人の柱」をつくってきたような気がしているんだよね。もうすぐ50歳になるけれど、子育てもある程度落ち着いて、これから奥さんと過ごす時間が楽しみだもん。
杉浦:うちも最近、夫婦二人の時間が増えたら何をしようか? って話、よくしますね。本当に、子育ては夫婦二人の土台をつくる時期だったのかもしれない。「これからいっぱいデートできるやん!」って、デート先をリサーチしまくっています。
自分を健やかに保つカギは、「何に満足するか」を知ること
──とはいえ、子育ての真っただ中はご自身にもたくさんの変化があったと思うのですが、お二人はどうやって自分自身を健やかに保っていたのですか?
つるの:趣味のおかげかな。僕の場合は、あえて自分が身を置く環境を増やしていたと思いますね。芸能界だけじゃない、ルールがまるっきり違う環境に自分を置いてみることで、感謝の気持ちをもらう経験ができたり、「思いどおりにならない」場面に直面したりするのが楽しかった。
杉浦:家庭と仕事でいっぱいになってしまいそうだけれど、逆に、増やすんだ!
つるの:たとえば、僕は保育士の資格を取ったから月に何回か地元の幼稚園にボランティアに行っているんだけれど、「ありがとう」って言ってもらえると純粋にうれしいんだよね。「つるの先生—!」って子どもたちが駆け寄ってきてくれる姿を見ると、こっちが助けてもらっている気がする。
子どもたちって何も計算がなくて、自然じゃない? それがすごく楽しい。僕にとっては趣味の山登りとかサーフィンみたいな自然の中にいる時間と、子どもたちと触れ合う時間の幸福度は、すごく似ているんだよね。
杉浦:どういうこと?
つるの:自然を相手にすると、何が起きるかわからないじゃない。急に天気が変わったり雨が降ったり風が強くなったり匂いが変わったり。子どもたちの世界も同じで、子どもたちも自然だから、次に何が起こるかわからなくて面白い。太陽は、どう?
杉浦:僕の趣味は、妻といることですね。
つるの:すごいな(笑)。
杉浦:妻の気配を感じながら妻と何かを一緒にやることが趣味で、そこに幸せを感じるから、とりあえず時間を見つけて家に帰っています(笑)。困った時に「たぁーくん」(注:杉浦さんの呼び名)って呼ばれたらそれに応えたいし、妻にほめられることがメンタルを保つ秘けつかも。なので、家では自分の役割を自分でつくって、自分がいなきゃダメだという状況をつくっておくことは意識していますね。家族の中で、自分が必要とされるシーンをきちんとつくっておく。
つるの:なるほど、それもいいね。そういう意味で言うと、僕もどんどん新しい環境に飛び込んで挑戦するモチベーションは、妻にほめてもらいたいからだなぁ。
「父親として」を気負いすぎずに、共に生きたい
──お二人のお話を聞いていると、「父親だから」という肩書きに縛られずに生きられている感じがしますね。
つるの:親として、という意識はほとんどないです。悩むし泣くし怒るし、うれしければ大喜びするし。だって、数十年早く生まれてきただけですからね。時代が変われば、僕たちのほうが教わることは多いわけで。
杉浦:親が偉いんじゃなくて、親をさせてもらっているからね。
つるの:「教育」というより「共に育つ」で「共育」という意識で、お互いが育っていければいいんじゃないかな。せめて一生懸命生きている姿を見せることが、子どもたちにとっていい影響になったらいいなと思う。
杉浦:「父親として子どもにこんな背中を見せたい!」という意識ではなくて、僕自身が充実しながら、それを子どもと共有できたらいいですね。一緒に並んで歩きたいな。
(聞き手/文:飯室佐世子 写真:テラケイコ)
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