思いついた時にアドバイスすると、失敗する。子どもの気持ちを聞き出すために大人が必要なのは?[不登校との付き合い方(4)]

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子どもが困っていることを相談してくれたとき、大人は適切なアドバイスをしたいと思うものです。人生経験も違うし、子どもの状況を客観視できるのが大人です。ただ、いくら正しいことでも、アドバイスのしかたによっては子どもが聞いてくれないということも起こります。そうならないようするためには、どうしたらよいかについて、「不登校新聞」編集長の石井志昂さんに聞きました。

オンラインでインタビューに対応してくださった石井志昂さん

子どもの気持ちを聞くことが最優先

子どもが困っていることへのアドバイスで、難しいのはタイミングです。大人が思いついたときにそのまま伝えると、たいていの場合は失敗します。子どものことが心配な時は、まずは率直に「心配している」という気持ちを伝えて、今現在、本人がどんな気持ちでいるかを聞いてあげてください。つらく、苦しい気持ちを、まずは十分に話させてあげましょう。

たとえば、不登校があったけれど、その子の気持ちをよく聞いてみたら、いじめがあって対人関係がつらかったという場合もあります。何かトラブルがあったときには、原因がわかったうえでの提案が大切ですよね。子どもの気持ちを聞く前に、不登校という事実だけをどうにかしようと考えても、気持ちに沿ったアドバイスにはならないのではと思います。

学校側は、「登校しなければ、進級できないよ」などと言う場合もあります。そうして圧力をかければ子どもはやるものと思っているところがあるのかもしれません。もちろん、そこで奮起する子どもも一定数います。だけど、それはずるいと私は思うのです。

子ども本人は、やれるかどうかは別としても、本当は勉強をがんばりたいと思っているかもしれません。けれど、いじめがあるから授業を受けるために学校へ行くことができないという場合もあります。もしかしたら、いじめの発端が先生の言動にあるから行けないということもあるかもしれません。だから、まずは子どもの話をじっくり聞いてあげることが優先となるのです。

子どもの話を聞くときは、話を途中で遮らないで

子どもの話を聞くときに気をつけたいのは、「子どもの話を途中で遮らないで」ということです。「宿題をやっていないから、学校に行きたくない」と子どもが話したときに、保護者はどうしても「ほら言ったでしょ、宿題やりなさいって」など、追い打ちをかけるようなことを、つい言いたくなるものですが、そこはぐっとがまんしてください。「うんうん、そうか」と、今の本人の気持ちを聞いてあげると、その奥にある気持ちや、別の情報がどんどん出てくるものです。

これはカウンセリングの王道ですが、「オウム返し」は効くと思います。「宿題、できなかったんだよ」「そう、宿題できなかったのね」「だから、学校行きたくなくて」「学校、行きたくないんだね」と、子どもの話をそのまま繰り返す。忍耐は要りますが、これは芝居だと割り切って演じてください。そして、提案したいことがあったら、翌日にしましょう。

その人に寄り添って話を聞く、「傾聴(けいちょう)」が大事です。でも、聞いているとイライラすることもあるでしょう。難しいです。聞いている大人の心が荒れるということを覚悟しながら、それでも今日は「傾聴役」という芝居を打つと心に決めてください。

でも、本心までコントロールしなくてもいいんです。素晴らしく理解のある親、子の苦しみをまるごと受け止める親になんて、誰もなれないんですから。それはできなくてかまいません。

とにかく、まずは本人が言っていることを聞いて、整理して、それからどんなことを提案できるか、あとから考えましょう。

まとめ & 実践 TIPS

子どもが困っている話を聞き出すときは、「話を途中で遮らないこと」が大切。「素晴らしく理解のある傾聴役」という役柄を演じましょう。子どもの表面に見えている行動の奥にある気持ちをじっくりと聞き出すことで、解決に結びつくアドバイスが生まれるからです。

プロフィール


石井志昂

『不登校新聞』編集長。1982年生まれ。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として活動。不登校新聞のスタッフとして創刊号からかかわり、2006年に編集長に就任。現在までに不登校や引きこもりの当事者、親、識者など、400名以上の取材を行っている。

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