家で過ごす時間が増える中、子どもの目を守るために保護者ができること【前編】

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コロナ禍の影響で、家で過ごす時間が増え、子どもがタブレット端末で動画を見たり、携帯ゲーム機で遊んだりする時間が長くなると、気になるのが視力への影響です。
スマホやタブレットが子どもの目に与えている影響のこと、子どもの目の健康を守るために保護者ができることを、国立成育医療研究センター眼科診療部長 仁科幸子先生にお聞きしました。

この記事のポイント

コロナ禍の自粛生活の影響で、近視の子どもが増えた?

ベネッセコーポレーションは2021年秋、「お子さまの視力の低下」について、小・中学生の保護者を対象としたアンケートを実施しました。

その結果、視力低下を気にしているかたが大変多く、「今まさに、視力が低下してきて気になっている」「以前から視力が低く、気にしていた」「視力は低下していないが気になっている」を合わせると、95%以上にも上ることがわかりました。

加えて、このアンケートで多かったのが、新型コロナウイルスの影響を心配する声でした。

・コロナ禍になり、急激に視力低下しました(小学3年生 保護者)
・コロナ禍で外遊びや友人と遊ぶことができなくなり、休校中も家にいるしかないので動画を見たりすることくらいしかやることがなくなった(中学1年生 保護者)

外出自粛をひとつのきっかけに、遊びも勉強もデジタル化が進んでしまったことが視力低下の原因と考えている人も多いようです。

では、実際にコロナ禍は子どもの視力低下に影響を与えているのでしょうか。小児眼科の専門家である仁科先生に伺いました。

ーコロナ禍の影響は実際に出ています。京都の小学1~6年生を対象にした調査では、2019~2020年に近視の進行速度が速まったという結果が出ました。
この傾向は、特に小学1~3年生で顕著でした。国内に限った話ではなく、中国で行われた大規模な調査でも同じように子どもの近視が増加していることがわかっています。

6~8歳は近視が進みやすい年齢

仁科先生によれば、スマートフォンやタブレットが目に与える影響を考えるとき、6歳までの乳幼児期と、小学生とでは事情が異なると言います。

ー子どもの目は乳幼児期(0〜6歳)に最も発達して、だいたい6歳ごろに眼のさまざまな機能ができあがります。
乳幼児期は目を動かしたり、遠くや近くにピントを合わせたり、両目でモノを立体的に見る機能が発達するので、視覚が完成する前にスクリーンの1点を見つめる時間が長過ぎると、近視になる以前に、そもそも視覚の成長が損なわれてしまいます。 これは近視よりも大きな問題です。

一方で、小学生の場合、視力ができあがっていますから、今度は目が悪くなる、つまり近視になるという問題が出てきます。
近視はメガネをかければ矯正できますが、近視が進めば進むほど、大人になったときに緑内障や網膜剥離など、失明に至る病気のリスクが高まります。

特に6~8歳は近視になりやすい年齢ですから、この時期に保護者が気を付けてあげることが、とても大切です。

子どもの目を守るために保護者ができること

では、子どもの目を守るために保護者は何ができるのでしょう。

ー『スクリーンタイム(デジタル画面を見つめる時間)が増えると、近視が進む』という指摘は、世界のさまざまな研究論文で出されています。

ゲームや動画視聴の時間や内容は、親が管理して声をかけましょう。小学生であれば1日1時間まで。30分、画面を見たら一度休憩を挟むのが基本です。

高学年になると保護者の言うことをあまり聞かないお子さんが増えますから、まだ素直に話を聞く低学年のうちに親子でルールづくりをしておくとよいでしょう。

屋外で活動することも大事です。
部屋の中をいくら明るくしても、屋外の照度にはかないません。部屋で勉強することも大切ですが、外へ出てたくさん運動するほうが、目の健康にもよいですし、体力もつきます。

また、食生活も重要で、偏食だと角膜などの目の組織に悪影響が出ます。
私は『目の調子が悪い』と相談に来るお子さんに、よく『何時に寝て、何時に起きているの?』『食事は好き嫌いなく取れている?』と質問します。
視力の低下は、目だけの問題ではなく、十分な睡眠時間とバランスの良い食事、屋外での適度な運動が結局は大切なのです。

取材・文 / 本間 学(オンソノ)

まとめ & 実践 TIPS

コロナ禍により、子どもの視力低下にも影響が出てきています。お子さまにゲームや動画視聴をさせる場合、視聴時間や内容は、親が管理していきましょう。
視力の低下を防ぐためには、目のことだけではなく、生活リズムを整えることや、バランスのよい食事、運動を取り入れることも大切です。
お子さまの目を守るために、ぜひ意識して実践していきたいものです。

【調査概要】
調査名:ママパパのリアルアンケート「お子さまの視力低下、気になっていますか?」
調査地域:全国
調査対象:小学生・中学生・高校生のお子さまをお持ちの保護者のかた
調査期間:2021年10月25日~2021年11月8日
調査手法:WEBアンケートによるベネッセ調べ
有効回答数:1,793名
https://benesse.jp/qa/nayami/20211026-2.html

プロフィール


仁科幸子

医学博士、国立成育医療研究センター 眼科診療部長。慶應義塾大学医学部卒。専門は小児眼科学、弱視斜視学。日本眼科学会専門医。

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