いじめ、ネット炎上、起きやすい子どものスマホトラブル注意点【コミュニケーション編】
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スマホを持つ年齢は少しずつ早まっていますが、子どものスマホデビューにあたって、気を付けるポイントは何でしょうか? 『しくじりから学ぶ 13歳からのスマホルール』の著者であり、スマートフォンアドバイザーの「モバイルプリンス」こと島袋コウさんに、子どものトラブル例と対策を解説していただきます。メディアリテラシー編の前回に続いて、今回は主にコミュニケーションに関わるトラブルを伺いました。
コミュニケーションにまつわるトラブル
【実例①】メッセージをやり取りしていたら、友達が怒ってしまった。
【実例②】グループLINEで悪口を言われ、仲間外れに……。これってLINEいじめ?
【実例③】ちょっとした悪ふざけ動画を投稿したら、まさかの炎上!
実例①は、「あるある」な例です。今はLINEなどのメッセージアプリが多いと思いますが、ちょっとした誤解から、気まずくなったり、仲が悪くなったり……。そこから実例②のように、仲間外れやいじめにつながることもあります。
実例③も、よく起こっています。大学生が悪ふざけ写真でバイト先をクビになる、あるYouTuberが失言から契約解除になる、政治家が退陣に追い込まれる、など、大人の世界でもいくらでも例があります。
対策:スマホのコミュニケーションの特徴を知る
テキストコミュニケーションは「伝わりにくい」
テキストコミュニケーション、つまり文字だけのコミュニケーションは、非常に伝わりにくいです。対面だと、表情や身振り手振り、声のトーンなどで、本気なのか冗談なのかといったニュアンスが判断しやすいのですが、文字だけだと感情が伝わりにくく難しいことを、まずは認識しましょう。
またテキストメッセージでは、誤字脱字や主語が抜けていることで、意味が180°変わってしまうことも。たとえば「あの人、面白くない?」と「?」が付いていればほめ言葉になりますが、「?」が抜けていると、否定する文脈になりますよね。そして子どもたちの文章では、主語が抜けることが多く見られます。
スマホを介したやりとりの特徴として、正確さよりもスピードを重視することが挙げられます。また、何か別のことをしながらメッセージを入力する「ながら返信」が多く、誤字脱字や主語抜けが増えがちです。
さらにグループトークで複数の話題が同時に展開されていると、何に対する返信や意見かわからなくなることもよくあります。ある程度信頼関係ができあがっていればくみ取ってもらえますが、まだその関係に至っていなかったり、イライラして余裕がなかったりすると、どんどん悪いほうに、悪いほうに受け止めてしまいます。
対策として、大事な話はひと呼吸おいて、しっかり考え、ゆっくり文字を打ち込むこと。ときには、対面や通話で丁寧に伝えることも大事です。
特に、ネガティブな話を文字にするのはかなりリスクが高いです。友人に愚痴をこぼしたいときもあるでしょうが、文字で残すとスクリーンショットなどで外部に送られる可能性もあるので、用心したほうがいいでしょう。
こうしたトラブルを避けるためには、読書することが大事だと考えています。遠回りのように感じるかもしれませんが、どういう言葉遣いだと伝わるのか、日本語力と読解力を身に付けていくと、テキストコミュニケーションの力も相対的に上がっていくでしょう。
いじめ対策「スイッチャー」「シェルター」とは
ネットいじめ・LINEいじめにはいろいろなパターンがあり、一概に言えませんが、子どもの目の前で発生した時の対応策として、いくつか有効なテクニックがあります。
たとえば誰かの悪口が流れてきて、それはよくないと言いにくい時、「それ侮辱罪になるかも?」とやんわり指摘をするのです。「気持ちはわかるが、法律的に問題になるとあなたのためにならない」という姿勢を示すことで相手の全否定を避け、角が立ちにくい伝え方になります。
また、いじめの構造において「スイッチャー」という役割があります。空気を変える人、という意味ですが、誰かの悪口が出てきた時、「うちの猫かわいくない?」など別の話題に変えるのです。他にも「シェルター」といって、いじめられたり、ひどいことを言われたりしている人に対し、私は共感していて話を聞くよ、という態度を示してひとりっきりにさせないための役回りもあります。
直接止めることが難しくても、そういう役割があることは、知っておいてよいでしょう。
ネット空間で増幅する「エコーチェンバー現象」
悪ふざけや失言が、特にネット上で起こる原因として、「エコーチェンバー現象」というものがあります。SNSなどでは、自分に近い価値観や考え方・属性の人が集まりやすく、発信した自分の意見と似た意見が返ってきやすいことを指します。
閉じたコミュニティーで会話し、仲間しか見ていない感覚になると、つい大きい話をしたり、インパクトのある言葉を使ったりしがちです。それをお互い繰り返しているうちにどんどん過激になり、軽い気持ちで投稿したら外の人に見つかって批判される、というのが、悪ふざけや失言が炎上する例の構図です。
これを防ぐのは難しいですが、まず、ネット上では常に人に見られているという意識を持つこと。ネットでは流出も拡散もしやすく、いったん拡散したら止めることはできません。
また、情報をバランスよく取り、いろいろな人と交流することも重要です。閉じたコミュニティーの中にだけいると、価値観がおかしくなりがちだからです。そして何かあった時に「あれはマズいんじゃない?」ときちんと指摘してくれる、リアルな人間関係を築くことも、歯止めになるでしょう。
まとめ & 実践 TIPS
スマホならではのコミュニケーション特性は、子どもだけでなく大人も押さえておきたい内容です。
次回は、保護者として一番避けたい、子どもが犯罪に巻き込まれるリスクのあるトラブル例について解説していただきます。
(取材・文/荻原幸恵)
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