親としての自分に自信が持てない[教えて!親野先生]
- 育児・子育て
よい親になりたいと思いつつも、子育てがなかなか思い通りにいかず、自信をなくしてしまうこともあるのではないでしょうか。しっかり子育てしたいと願いながらも、自信を持てない自分にどう向き合っていけばいいのでしょうか。教育評論家の親野智可等先生に伺いました。
【質問】子育てがうまくいかず、自分はダメ親なのではと自信を持てずにいます。
子育てが思うようにいかず、しつけもできず、親としての自分に自信が持てません。ママ友の中にはすごいママがいっぱいいて、「自分はダメ親ではないか?他の親ならもっと子どもを伸ばせるのではないか?もっとがんばらなくては」と感じてしまいます。
トマトさん(小3 女子)
親野先生からのアドバイス
拝読しました。
トマトさんは、「子どものためによい親になりたい。しっかり子育てしたい」という気持ちでいらっしゃるのだと思います。
でも、なかなか思うようにいかないんですね。
とはいえ、もともと子育てというものは誰がやってもうまくいかないものだと思います。
外から見るとうまくいっているように見える人も、実は内心ではいっぱいいっぱいで、何とかやっと回しているということが多いと思います。
みんな、他者にはよいところしか見せませんからね。
十分に頑張っている自分を自分でほめよう
苦しいときは、「子どもを産んだだけでも大したものだ」と思い直してみるとよいと思います。
実際、少子化が日本の最大課題である昨今では、子どもを産んだだけでも大したものです。
そして、今日まで育ててきたのです。
立派なものですよ。
トマトさんは十分がんばっています。
ですから、自分で自分をほめましょう。
親という存在は、人にほめられることが少ないですよね。
実はすごい難事業なのに、「しっかり育てて当たり前」という感じになってしまっています。
ですから、せめて自分で自分をほめましょう。
自画自賛こそ幸せへの近道。「自分ほめ日記」で自己肯定感を高めて
そのためには「自分ほめ日記」を書くと効果があると思います。
例えば、「キレそうなところで深呼吸できた。これは進歩だ」「朝の家事がテキパキできた。私はえらい」「手抜き掃除がうまくなって時短ができた。すごい」など、自分をほめる内容を書いていくのです。
これによって、親としての自己肯定感を自分で高めることが可能になります。
実際のところ、他人はなかなかほめてくれないものです。
ですから、もっと自分で自分をほめましょう。
自分のことがわかるのは自分しかいません。
自画自賛で自己満足して幸せになればいいじゃないですか。
自画自賛こそ幸せへの近道です。
子育てのよい思い出を切り取った写真「ほめ写」で自己肯定感を高めて
もう一つお薦めしたいのが、写真を使ってほめる「ほめ写」です。
過去のよい写真をプリントアウトして、リビング、トイレ、玄関など、目につくところに貼っておくのです。
例えば、次のような写真です。
生まれたわが子を抱いて、愛しげに見つめている写真。
泣くわが子をあやしている写真。
子どもと自分が満面の笑みで写っている写真。
子どもが無心で遊んでいるとか、何かをがんばっているなどの写真。
乳幼児検診に連れて行ったときの写真。
七五三、入園式、卒園式、入学式などの写真。
「ほめ写」はもともと子どもの自己肯定感を高めるために私が発案したものですが、ほめ写プロジェクトのセミナーにおいて多くの方々の実践報告を聞く中で、実は親の自己肯定感を高めるのにも大きな効果があることがわかってきました。
上記のような写真を繰り返し見ているうちに、親の内面にいろいろなよい変化が起こります。例えば、次のようなことです。
・「本当に子どもはかわいいな」とあたらめて感じて、さらに愛情が強くなる。
・入園式、卒園式、入学式などの感動を思い出し、喜びの感情を反芻する。
・「あんなに小さかった子がこんなに大きくなったんだなあ」と子どもの成長を実感することで、親としての達成感が持てる。
・「この子の夜泣きは大変だった。あの頃は寝不足が続いたなあ」「慣れない裁縫で手作りしたっけなあ」などいろいろ思い出して、「けっこう自分もがんばって子育てしてきたなあ」と自分のがんばりに気づく。
自画自賛力を上げる方法を工夫しよう
ということで、ぜひ、「自分ほめ日記」と「ほめ写」をやってみてください。
とにかく、自分で自分をほめるための具体的な方法を工夫することが大事です。
言い換えると、自画自賛力を上げるということです。
人に期待すると欲求不満になるだけですから。
私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。
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