子どもの強みをとことん伸ばすと短所も改善される?![やる気を引き出すコーチング]

お子さんに対して、「何度言い聞かせても改善しない」、「苦手なことには手をつけず、好きなことばかりやっている」と嘆く保護者の方のお声をよく耳にします。どうしても、短所やできないことのほうに意識がいってしまい、これでいいのかと心配されます。なんとか改善させたいと思う気持ちはわかりますが、短所を改善しようとすると、親子共にエネルギーやストレスがかかる割には成果があがりにくく、かえって非効率のように感じることがあります。
私が行っているコーチング講座で実際にあった事例の中から、案外、短所改善は後回しのほうが良いのではないかと感じたものをいくつかご紹介します。

子どもの強みに焦点をあてることで短所が改善された!

これは、人とコミュニケーションをとることや人前で話すことが苦手だったお子さんの事例です。うまく自己表現ができないことが、自他ともに認めるこの子の短所でした。小学校3年生までの担任の先生は、短所を克服させようとしましたが、うまくいかず、かえって自信を奪っていくばかりでした。

ところが、4年生から担任になった先生は、短所に焦点をあてるのではなく、この子の強みに焦点をあててくれました。この子は、生き物を観察したり調べたりすることが大好きで、いつも一人で昆虫を観察したり、生物の本を読んだりしていました。自分が好きなことについてはとことんのめり込み、知識も豊富でした。

先生はその強みを承認し、この子に知っていることを教えてほしいとどんどん質問するようにしました。自分が好きなことに興味を持ってもらえたことは、その子の自信になったようです。「できたら、その知識をクラスの皆にも教えてあげてほしいな」と先生が促し、少しずつクラスメイトとも話ができるようになりました。
6年生になると、学習発表会で自分の研究テーマについて発表できるまでになりました。人前で話せなかった子どもが人前でも話すことができるようになったのです。

得意なこと、好きなことにはやる気も努力も要らない

また、得意科目の英語は、いくらでも勉強する中学2年生のお子さんがいました。テストでもいつも満点近く取るのですが、一方、数学は苦手で極端に点数が取れませんでした。「英語はもういいから、数学もそれぐらい勉強してみたら」とお母さんは声をかけていましたが、どうにもやる気になれないらしく、いつまでも苦手なままでした。

「それならもういいわ!英語をとことんやりなさい」と、お母さんもあきらめ、お子さんがやってみたいと言うオンライン英会話のレッスンも受けさせてみることにしました。そうしているうちに、レッスンで何か課題が出たのでしょうか。簡単な算数の問題を「英語で説明したい!どう言えばいいんだろう?」と調べ始めました。しだいに、数学への抵抗がなくなったのか、数学もがんばってみようと取り組むようになりました。

こんな小学生もいます。早起きすることが苦手で、どんなに起こしてもなかなか起きられませんでした。朝から叱られて起き、学校に行かされるので、元気がないことが多かったのですが、サッカーをやっている時はイキイキしていると気づいたお父さんが、地元のサッカーチームに入ることをすすめました。

こうして、好きなサッカーに取り組んでいるうちに、「もっとうまくなりたい!」と朝練をするようになり、一人で起きられるようになったということです。
そんなにがんばらなくてもうまくできることや楽しくできることには、努力ややる気など関係なく取り組めるものです。自然と子どもの中からエネルギーや自信が湧いてきます。そのエネルギーと自信が、苦手なことへのチャレンジ意欲をも引き出すのです。

まとめ & 実践 TIPS

できないこと、苦手なことを克服してほしいという気持ちはいったん脇に置き、ぜひ、お子さんの強みや興味のほうに意識を向けてみてください。そして、それを承認し、一度とことんやらせてあげてはどうでしょうか。短所や苦手なことから改善しようとすると、逆にエネルギーと自信が失われ、本来、持っていた強みも発揮されません。これはとてももったいないことです。強みや好きなことを伸ばすことから始めると、自然と苦手だったこともできるようになっていたり、短所だと思っていたことが改善されたりということが起きてきます。コーチングはまさに長所進展型のアプローチと言えます。

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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