もっと褒めてあげたいのに、短所ばかりが気になり、つい叱ってしまう[教えて!親野先生]
- 育児・子育て
教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。
今回は、小3(男子)と幼稚園年中(女子)の2人のお子さまの短所が気になってしまうという保護者のかたからの質問です。
質問
子どもは2人です。もっと褒めてあげたいのですが、実際には短所ばかりが気になって叱ることが多いです。夫は子どもの短所が気にならないみたいです。どうしたら短所が気にならなくなるのでしょう?(小学3年生 男子・幼稚園年中 女子 海苔巻き さん)
親野智可等先生からの回答
拝読しました。
海苔巻きさんのように感じている親御さんは多いと思います。
そういう人にお薦めしたいのがリフレーミングという手法です。
私たちは常に、自分のフレーム・つまり一定の枠組みを通して物事や人を見ています。
リフレーミングとは、そのフレームを一度外して、別のフレームで見なおしてみるということです。
すると、ずっと短所と思っていたことも、長所に見えてくることがあります。
例えば、宿題やお手伝いなど、やるべきことをやらないまま遊んでしまう子がいたとします。
こういったことは親にとっては都合が悪く不快なことなので、短所にしか見えません。
でも、リフレーミングして見方を変えれば、図太い神経の持ち主であり度胸がいいということかも知れません。
大人になって仕事を始めたとき、ちょっとくらいのストレスに負けることなく大きな仕事を成し遂げる原動力になる可能性もあるわけです。
その反対で、宿題でも何でも、やるべきことを先にやらないと気がすまない子がいたとします。
それは親にとっては育てやすく都合のいいことなので、長所に見えます。
でも、もしかしたら、生真面目で神経質すぎるとか、完璧主義で適度に手が抜けないなどという短所でもあり得ます。
大人になって仕事を始めたとき、上司に言われたことを真に受けすぎて自らを追い込んでしまうなどということになる可能性もあるわけです。
親も先生もそうですが、大人は自分たちにとって都合のいい面を子どもの長所とみなしてほめます。
そして、その逆を短所とみなして叱ります。
でも、本人が長い人生を生きていく上では、短所に見えたことが実は長所だったということがよくあるのです。
このようなわけで、リフレーミングによって、子どもに対するいつもの見方を少し変えてみることをお薦めします。
「この子はこういうところが困る」と感じていたことが、その子の生きる力に思えてくるかも知れません。
例えばマイペースな子です。
親としては、「何でも遅くて困る。もっとてきぱきできなければ困る」と感じてしまうことが多いと思います。
でも、マイペースというのは、他人のペースに左右されることなく、ゆったり着実に自分らしく生きられるということでもあります。
これは、長い人生を生きていく上でとても大事な資質だと思います。
それに、マイペースな子は他の子がマイペースでのんびりしているのも許せるので、けっこう癒し系の人であることが多いのです。
ですから、友達への対応もソフトであり、トラブルを起こしたりもめたりすることも少ないです。
また、授業参観のときに「うちの子は全然発表しない。消極的で困る」と思ったら、それで終わらずに、リフレーミングで「でも、これは慎重で軽々しい言動はしないということかも」と考え直してみましょう。
そういう子は、大人になってからも軽挙妄動に走らず安定感のある生活を送れることでしょう。
他にもいくつか例示します。
落ち着きがないというのは、エネルギーに溢れていて活動的ということでもあります。
大人になってからも、仕事や遊びでエネルギッシュに活動していくことでしょう。
飽きっぽいというのは、好奇心が旺盛でやる気がいっぱいということでもあります。
将来、いろいろなことに積極的にチャレンジして、アクティブに生きていけることでしょう。
文句や愚痴が多いというのは、嫌なことを一人で抱え込んで溜め込まないということでもあります。
これも、長い人生を生きていく上では必要なことでしょう。
ふざけてばかりというのは、元気でテンションが高いとかユーモアがあって盛り上げ上手などということでもあります。
職場のムードメーカーになれるのはこういう人でしょう。
マイナス思考でネガティブなことばかり言うというのは、性格が慎重かつ入念ということでもあります。
これは、事前の準備をしっかりするとか、ミスが少ないなどの長所に直結しますので、自分お仕事を責任もってきちんとやれる人が多いです。
遊びに夢中で宿題やお手伝いは適当という子は、自主的に優先順位をつけられるということでもあります。
大人になって仕事をしていく上で、これはとても大切な能力です。
というのも、何でも全てがんばっていると消耗するだけだからです。
ある部分は適当に済ませ、大事なところに注力することが必要であり、その子は既にそれを実践しているのです。
以上、いろいろ紹介しました。
ぜひ、日頃からリフレーミングに心がけてください。
そうすれば、子どもの短所がそれほど気にならなくなってくると思います。
また、短所は長所でもありますので、今まで気づかずにいた子どもの長所が見えてくることもあると思います。
私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。
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