祖父母に子どもを預けるときの注意点[教えて!親野先生]

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
仕事の関係で、これから祖父母に子どもたちを預ける機会が増えそうです。何か気をつけることはありますか?心配なのは祖父母に甘やかされて、わがままになるのではないかということです。お菓子の与えすぎなども気になります。

カーソルママさん (2歳児と年少女子)

【親野先生のアドバイス】
拝読しました。

子育てを一人で抱え込むのは、親にとっても子どもにとってもよくありませんから、助っ人として祖父母はありがたい存在ですね。
ただ、預けるとき気をつけるべきこともいくつかあり、その第一は安全面です。

例えば、祖父母が子育てをする時代には、今ほど食品アレルギーについての認識が広まっていませんでした。
ですから、「そんなものは好き嫌いの一種だ。少しずつ食べていれば治る」くらいに思っている人もけっこういます。

でも、これは大変危険なことですから、子どもに食品アレルギーがある場合は、「好き嫌いの問題ではない」ということをしっかり伝えておく必要があります。
口頭で伝えるだけでなく、食べてはいけない物を紙に書いて貼っておくなどの工夫も、必要に応じておこないましょう。

また、小さい子の場合は、うつぶせ寝による窒息や誤飲による窒息の危険性にも配慮が必要です。

祖父母の家は子育て仕様になっていないことが多いので、子どもが口に入れてしまいそうな小さな物があちこちにある可能性があります。
タバコ、薬、ボタン電池、シール、お菓子類などが手の届くところに置いてないかなど、祖父母に任せきるのではなく、子育て中の親の目で常に確認する必要があります。

さらに、外出時に車から降りた瞬間いきなりダッシュ、好きな物を見つけていきなりダッシュ、などの危険もあります。
その対策についても、ハーネスの活用も含めて、相談しておきましょう。

祖父母は若い頃に比べて体力も気力も落ちていますし、機転も利かなくなっています。
それに、子育てについての最新情報にも触れていないことが多いと考えられます。

ですから、1つめとして、とにかく子どもの安全は最優先と考えて、祖父母任せにしないで、子育て中の親が積極的にかかわることが必要です。

2つめとしては、子どもを預けるということを、祖父母の立場になって考えてみることが必要です。
「孫は来て嬉しい。帰って嬉しい」という言葉があるように、孫の面倒を見るのは祖父母にとって嬉しいことである半面、大きな負担でもあります。

それに、祖父母にも自分たちの生活や趣味があるわけで、「孫をみるのは当たり前」「孫を預けられれば嬉しいはずだ」とばかりに、無遠慮な振る舞いをするのはNGです。
常に言葉に出して感謝の気持ちを伝えることが大切です。

ただし、その場合、「すみません」という言葉を多用する人が多いのですが、これは気をつけたほうがいいと思います。
というのも、「すみません」は表現としてネガティブなので、こればかり言われると言われるほうはあまり良い気がしないからです。

それよりも、もっと「ありがとうございます」とか「本当に助かります」などのポジティブな感謝の言葉を増やしましょう。

3つめとして、起こりうる問題について、祖父母とのコミュニケーションを上手に取りながら解決することが必要です。
例えば、見てもらう時間、子どもにかかるお金のこと、与えるお菓子のことなどです。

見てもらう時間は何曜日にするとか、何時から何時までにするなど、基本的な約束は決めておきましょう。

お金については、例えば子どもの外食費は親が全部出すとか、あるいは半分出すなどです。
はじめのうちは祖父母が全部払っていたけど、度重なるうちに負担を感じるようになってきて、それでも「今更言えない」という感じで不満がたまってくる…、などということがよく起こります。
祖父母の方からは言いにくいことが多いので、預ける側から切り出して基本的な約束を決めましょう。

お菓子については、親は必要以上に与えたくないのに、祖父母はどんどん与えてしまうということがよく起こります。
これについても、お菓子は親が用意する、祖父母が1日1個だけ用意する、1日○カロリーまでにする、子どもが1日○個だけ買っていいなど、基本的なことは決めておきましょう。

こういった起こりうる問題については、人によって価値観が違うことが多いです。
それに加えて、昔の子育て常識と今のそれとはかなり違ってきているということもあります。

こういうときに大事なのは、まずは相手の話を共感的に聞くことです。
ですから、まずは祖父母の話をたっぷり共感的に聞いて、親としての考えはその後で伝えましょう。
そうすれば、祖父母も「一応意見は聞いてもらえた」と思えるので、受け入れてくれる可能性が高まります。

それでも無理な場合は、「本にこう書いてありまして…」「保健師さんに言われているもので…」「医者が言うには…」「先生に言われたので…」「ネットの子育てサイトで専門家が○○と書いていまして…」「テレビの子育て番組で見たのですが…」など、権威が感じられる情報元を出すと聞いてもらえる可能性が高まります。

4つめとして、子どものこと以外でも、日頃から祖父母とよい関係を築くように努めることも大切です。
そのコツは、相手の話を共感的に聞くこと、相手をほめること、自分の悩みを打ち明けてアドバイスしてもらうこと、などです。
日頃から仲良くなっておけば、問題が生じたときも解決しやすくなります。

5つめとして、あまり神経質になりすぎないことも大切です。
もちろん、譲れないことについては粘り強く臨むことも必要ですが、多少のことには目をつむることもまた必要です。

子どもは、祖父母にたっぷり甘えることで気持ちが満たされます。
それによって、子どもは癒やされて元気が出ますし、自己肯定感が高まったり他者信頼感が育ったりすることも多いのです。

私は、祖父母は「ちびまる子ちゃん」に出てくる友蔵おじいちゃんのような存在でいいと思います。

友蔵おじいちゃんは、まる子を100%受け入れてくれる安全基地です。
おじいちゃんのおかげで、まる子は子どもらしく明るく元気に生活できるのです。
おじいちゃんがいなかったら、まる子はもっと嫌みでいじけた性格になっていたかもしれません。

子育てを一人で抱え込まないために、最後に1つ付け足しです。
夫婦の協力はもちろんですが、祖父母に頼めないときは、それ以外にも、自治体や保育園の預かりサービス、民間の各種サービス、ママ友同士の協力なども活用しましょう。

私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

おすすめトピックス

子育て・教育Q&A