わが子の言動をチェック! 子どものSOSサインにはどんなものがある?
不登校や引きこもり、家庭内暴力など、心のトラブルに起因する問題行動は、ある日突然始まるわけではありません。問題が大きくなるまでに何らかの「SOSサイン」を発するはずですから見逃さないようにしましょう。
反抗期の言動と混同して見落としてしまうことも
子どものSOSサインが「つらいから助けてほしい」といった言葉で表される場合はわかりやすいのですが、そうとは限りません。特に思春期にさしかかると、なかなか親に相談できず、問題が大きくなるまで一人で抱え込んでしまうケースもあります。
子どもが自分のことを話したがらない場合でも、無意識的なSOSサインとして言動が変化することがよくあります。「普段とは様子が違う」と直感したら、いつも以上に子どもの様子に気を配ってください。それが問題解決への第一歩となることもあります。
注意したいのは、SOSサインとして表れた言動を押さえつけようとしないことです。子どもがイライラしたり、口答えをしたり、好ましくない言動を見せたら、叱りたくなる場合もあるかもしれません。そうした対応が子どもをますます追い込み、やがてSOSサインすら発せない状態にまで悪化させてしまう恐れがあります。
また、「反抗期だからしかたない」などと考えて放っておくのもよくありません。それが反抗期としての態度の範ちゅうに収まるものなのか、それとも一人では解決しきれない問題に苦しめられてSOSサインを発しているのか、判断は容易ではありませんが、言葉やふるまいから注意深く観察する必要があるでしょう。状況によっては、信頼できる学校の先生などに相談することも考えてください。
SOSサインはどのような言動として表れる?
それでは、SOSサインにはどのようなものがあるのでしょうか。
◎学校に行きたがらなくなった/友達と遊ばなくなった
友達関係や勉強など、学校生活にトラブルを抱えていることが疑われます。また学校生活に問題はなくても、家族関係などによるストレスから気力が低下し、登校を拒否したり、友達と遊びたがらなくなったりする場合もあります。
◎よく眠れなくなった/食欲がなくなった
不眠や食欲低下は、うつ状態の代表的な症状です。こうした症状を抱えながら勉強や部活動に打ち込むことは難しく、悪化すると登校を拒否するようになることも考えられます。ストレス性の場合は、原因を取り除くことが欠かせません。
◎イライラするようになった/無口になった/表情が暗くなった
常に心の中に不満や不安があり、家族や友達とのコミュニケーションを楽しむ余裕がなくなっているのかもしれません。家族と目を合わせなくなったり、返事が素っ気なくなったりした場合も注意信号です。
◎弟や妹につらく当たるようになった
以前はかわいがっていた弟や妹などにつらく当たったり、いじめたりするようになった場合、ストレスのはけ口として自分より弱い存在を攻撃していることが考えられます。
◎否定的な言葉が増えた
「自分はダメな人間だ」「がんばっても意味がない」など、ネガティブな言葉を発するようになった場合も要注意です。何らかの要因により自尊心が低下しているのかもしれません。
子ども一人では対処できない場合は周囲の大人がサポートを
上記のような姿が見られたからといって、必ずしも心に深刻なトラブルを抱えているとは限りません。成長過程で言動が変化することは多々あるものです。
しかし、子どもが非常につらそうにしていたり、長く続いたりする場合は、親子関係や友達関係、勉強、部活動など、子どもを取り巻く環境の中に強いストレスの要因がないかを見直してあげてください。何らかの問題が見つかり、子ども一人では対処できないと判断される場合は周囲の大人がサポートする必要があります。
ただし、子どもが親の介入を望まないこともあるでしょう。そういう場合は、あえて見守ることもサポートの一つとなるかもしれません。それでも、「本当につらくなったら、すぐに教えてね」などと伝え、避難できる場所があることを教えましょう。
また、どうしても解決の糸口が見つからない場合、メンタルクリニックなどの医療機関への受診をおすすめします。医療機関では、本人や保護者のかたを対象としたカウンセリングを通して、心の不調の原因を突き止め、それを取り除くためのサポートを行うことになります。