心理カウンセラーに聞く 子どもとの上手なコミュニケーションのとり方
暴力はダメだという理性が働くからこそ、子どもとのコミュニケーションは言葉がメインになります。しかし、言葉をしっかり理解できていない子どもにしてみたら、親の言っていることはなんとなくわかるんだけど、自分の気持ちが伝わらないもどかしさでつい感情のコントロールがきかなくなり、暴れてしまことも。そこでまた、親は言葉でコミュニケーションを取ろうとするので、お互いに悩んでしまう。では、どのように子どもと接すればいいのでしょう。
言葉以外のコミュニケーションを
言葉でのコミュニケーションが取れない時期は、触れ合いを大切にしてください。ワーっとなっている子はそっと抱きしめてあげる。暴れてしまうのは、不安感や自分自身の居場所がないためなのです。まずは落ち着く環境を作ってあげること。これは大人もそうですが、「安心・安全な人・時間・空間」というものがないと、人間は自分をリセット、リスタートすることができません。
そういった環境を、「この子はこういうところにいたほうが安心するな」とか「こういう時間を過ごすことが安全だな」と考えてあげた中で、その環境に身を置いてゆっくり話をしたり、抱きしめてあげたり、スキンシップをとるようにしてみてください。
大人からみたら「危険」「汚い」ことも、子どもにとっては重要な体験
子どもというのは、ちょっと危険な場所だったり、大人が「なんで?」と思うようなところを気に入ったりするものです。ただ、すぐに注意するのではなく、まずは受け入れてあげましょう。
もちろん、衛生上汚いということは教えていかなければいけません。しかし、その子の興味のある部分を追求している瞬間を見守ることも大切です。そこを常に抑圧してしまうと「自分の考えで動いちゃいけないんだ」という感覚が芽生えてしまい、自立心を妨げることにもなります。
親の年齢も若く手をかけられるときはいいですが、子どもが成長したときを考えてみてください。つい過保護になり子どもの感情や思考を抑圧してしまうと、そこで自立心や自己効力感が芽生えず頭でっかちになっていく。そういった状態のままで大人になってしまうと、積極性が失われ、物事を自力で成し遂げる意欲に影響が出てくることもあります。
余裕をもって冷静に対応する
忙しいお出掛け時にグズられると、つい「時間がないのにうるさい」って怒ってしまいたくなりますよね。そういった場合、「こういうことをしたらこの子はこういうところで爆発する」と、その子のパターンを見極め、お出かけをしなくてはいけない日は、その1時間くらい前からゆとりを持って様子を見てあげるようにしましょう。
お母さんたちに多いパターンですが、女性はつい感情で話をしてしまう生き物です。そうすると子どもは「これをする=怒られる」といった意識が働いてしまいます。そして、怒られるからやらないという条件が付いてしまい、自我を出すことができなくなってしまうのです。それが将来的なアイデンティティの確立にも影響してしまう可能性があります。
怒られるというよりも「こういうことを言うと、お母さんはこうやって諭してくるから、それはいけないことなんだな」ということを、少しずつ認識させるような環境を作っていくことも必要です。