多忙な高校生活に慣れていくために、保護者にできること
高校生活がいよいよスタートします。中学時代よりも人間関係も活動範囲も広がることで、これからの3年間で、お子さまはさらに大きく成長することでしょう。ただ、中学校と高校ではさまざまな変化があるため、お子さまが高校生活に慣れるまで少々苦労することもあるかもしれません。これから始まる高校生活のポイント、そして保護者だからできるお子さまへのサポートについてご説明いたします。
高校1年生のキーワードは「多忙」です
4月から始まる高校生活では、中学校までとさまざまな点で異なります。お子さまはきっと「あこがれの制服を着て登校する」「新しい友達をたくさんつくる」など、高校生活を前向きにとらえていることでしょう。もちろん高校生活は楽しく、さまざまな刺激にあふれているはずです。しかし、保護者のかたには新生活を楽しむお子さまを冷静に見守ってあげてほしいと思います。それは高校生活がとても多忙であり、お子さまがその多忙さに慣れるまでに少し家庭での配慮が必要だからです。
高校生活の多忙さの一番の理由は、授業の変化です。つまり、授業のスピードが速く、内容も難しくなること、そして多くの学校では予習を前提に授業が進むことにあります。中学生の時は授業中にきちんと聞いておけば、それだけで授業の内容が理解できたという生徒も、高校に入ると、予習にしっかり取り組んで授業に臨み、その日のうちに復習をしないとわからなくなる、ということは珍しくありません。高校の中には「平日の家庭学習時間のめやすは、学年+2(または3)時間」と明言しているところもあります。つまり、1年生であれば3時間または4時間の家庭学習が必要だということですが、高校の学習に慣れていないうちは、授業の予習・復習に取り組むだけで、2、3時間はかかってしまうこともよくあるようです。
授業が終わって、すぐに帰宅すれば予習・復習もそれほど負担にはならないかもしれません。しかし、実際には多くのお子さまは部活動に入っています。高校の中には、何らかの部に入ることを求められているところもあります。もちろん、部活動は楽しい時間であり、お子さまの人間的な成長を促す大切な場です。部活動でがんばった経験は、受験勉強の粘りや集中力につながると考える高校教師は少なくありません。しかし、特に運動部の場合、入部したばかりの1年生の体力では、練習についていくだけでも数か月はかかると言われています。また、春、夏には大会なども目白押しで、週末も練習や試合などに出かけることになります。こうした部活動の忙しさもお子さまにとってはなかなかハードです。
疲れ具合は食欲と睡眠に表れがちです
最近は、公立高校でも学区を超えた入学が増えており、通学に1時間以上かけている生徒も少なくないようです。お子さまが長時間の電車通学などをしている場合、多忙さはさらに増すでしょう。
多くの場合、高校生活の多忙さには、時間と共に慣れていくものです。それは体力がついていくというだけでなく、予習・復習の取り組み方、部活動の練習の仕方などの要領がわかってくるからです。大人にとっての仕事と同じことが言えます。ただ、慣れるまでにはどれくらい時間がかかるかはお子さまによって異なりますし、3か月、6か月とかかることもあるようです。
お子さまが多忙さに慣れるために、保護者のかたに心がけていただきたいのが、生活習慣のリズムを整えることです。特に、起床・就寝時間、そして食事の時間を可能な範囲で固定することは、お子さまの健康面のサポートにつながります。ご両親共に働いているご家庭では、食事の時間を毎日同じにすることは難しいかもしれません。その場合は、起床・就寝時間ができるだけ一定に(睡眠時間が不足しないように)なるように配慮すればいいでしょう。
高校の勉強や部活動、通学にどうやって慣れるかは、お子さま本人の問題ですし、少々苦労しながらも慣れていくことで得られるものもあります。保護者のかたにできることは、生活面での間接的なサポートなのです。
また、保護者のかたが心配しすぎて、「勉強で無理してない?」「部活は大丈夫?」などとストレートに、何度も尋ねると、お子さまは「親も心配している」「無理しているように見えるのだろうか」と不安をあおってしまうことがあるようです。表情や態度に問題がなければあまり根堀り葉堀り聞かず、できるだけ普段通りに過ごせるようにしてあげるといいでしょう。よく「心の不調は睡眠、食欲の変化としてあらわれる」といわれます。しっかり食事がとれて、夜眠れているかを、まずは体調面から見守ってあげてください。