歌手・今井絵理子さんが語る、バリアフリーな社会とは?
90年代後半、本格的な歌と踊りで一躍トップアイドルとなった、”SPEED”のメインボーカル今井絵理子氏。現在は、先天性聴覚障がいのある小学3年生の長男を育てる母親でもある。「歌手である私のところに聴覚障害がある息子がやってきたことには、意味があるのではないか? 自分たち親子だからこそ発信できることがあるのでは?」。そんな思いからはじめたという、バリアフリーな社会を目指す活動について話を伺った。
***
息子の子育てにあたっては、病院の先生や学校の先生、先輩ファミリーからたくさんの知恵や力をもらっています。息子との生活を通して、「障害を個性と認め合える、バリアフリーな社会になったらいいな」と強く感じるようになりました。その第一歩として、私たち親子が楽しく幸せに生活していることを知ってもらい、経験や得た知識をシェアしていく活動を始めました。
具体的には、国内外のろう学校や児童養護施設、特別支援学校などを訪問しています。時には、息子も一緒に訪問し、話をしたり歌やダンスをしたりします。障がいを公表したことを、息子が今後どのように思うかはわかりませんが、将来「ありがとう」と言ってもらえるように、心を込めて活動を続けています。
私たち親子の関係は、「一緒に学んでいる」同士のようです。手話サークルでは一から一緒に学び、ゲームや遊びをとおして一緒に覚えていく友だちの歩幅に近いかもしれません。
最近は、反抗することも多くなりましたが、正面からはぶつからずに、ユーモアで返すようにしています。反抗期も思春期も、子ども自身のせいではなく、成長の過程で自然に起こるものですから、成長の証と思って切り抜けたいものです。
それぞれに個性的なお子さまと日々向き合い、奮闘されている保護者のかたには、子育てを一人で抱え込まないでほしいです。親だから○○しなければいけない、こうあるべき、というプレッシャーを課さず、周囲のサポートを遠慮なく受けて、大切な子どもの未来を作っていけるといいですね。
出典:今井絵理子さん(歌手)が語る、家族が笑いで包まれる子育て ~笑顔でバリアフリーな社会をめざす -ベネッセ教育情報サイト