恐怖を植え付けるしつけ法は有効か? 子どもの心に寄り添う専門家の答えは……
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しつけのために読んだ絵本が、子どもに恐怖心を植え付けてしまった、という経験はないだろうか。「地獄の絵本を読み聞かせてから、鬼を怖がり一人でトイレに行けなくなってしまった」と悩む年長女子の保護者の悩みに、教育評論家の親野智可等氏がアドバイスをする。
【質問】
私が地獄の絵本を読み聞かせてから、「地獄ってあるの? 鬼が来ると怖いからトイレの外で待っていて」などと言ってきます。悪いことをしたりウソをついたりしないように、しつけのために読んだのですが、ちょっと心配な気もしてきました。こういうしつけ方はやめたほうがよいのでしょうか?(年長女子の母親)
【親野智可等氏からのアドバイス】
大人でも目を背けるような残虐な絵が満載の絵本、これが子どもたちのしつけに有効だとマスメディアが喧伝(けんでん)しました。テレビで母親たちが、「言うことを聞かないときに『地獄の鬼が見ているよ』というと素直に言うことを聞きます」、「『泣き止まないと鬼が来るよ』というとすぐ泣き止みます」とうれしそうに話していているのを聞くたびに、わたしは悲しい気持ちになりました。
このように、恐怖をもとにしつけたり、相手をコントロールしたりするのはやめるべきです。ただでさえ、子どもは怖がりです。地獄の絵本でしつけるなどという方法は、心理的な暴力であり、物理的に子どもを叩く暴力・体罰と同じです。手間暇がかかっても、なぜそうしてはいけないのか、なぜそうするとよいのか、子どもが納得してできるように心を込めて教えてあげてください。
もし私が相談者だったら、「地獄なんてないよ。鬼なんていないよ。たとえ鬼が来たとしてもママが追い返しちゃうから大丈夫。ママが守ってあげるから大丈夫」と言ってあげます。
子ども時代の一日一日を、安らかな気持ちで、安心して、明るく楽しく幸せな気持ちで生きられるようにしてあげたいと思います。
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