学習習慣をどう付けるか [高校受験]
中学3年生になってひと月以上たつのに、お子さまがなかなか自分から勉強しない、受験生の自覚がない……と、イライラしている保護者のかたも多いようです。そこで、学習習慣を定着させるために大切なポイントについてお話しします。
保護者のかたの「もう」とお子さまの「まだ」
保護者のかたは「もう1学期も半分過ぎたのに」勉強しない、というように「もう」で考えてやきもきしがちです。一方、多くの中学3年生は「まだ1学期」「まだ時間はたっぷりある」と考えています。黙っていても自分から勉強を始める受験生はひと握りしかいません。「もう」と焦るより、お子さまに時間の大切さを実感させることが先決です。
計画を立てることで、時間の大切さがわかる
「時間」の大切さを実感させるのに有効なのが計画表づくりです。「年間計画」、「週間計画」、「日課表」の3つが、受験生活の基本になります。
年間計画を立てるには、やるべきこと(中1、中2の総復習、苦手単元の克服、間違えた問題への再チャレンジ……)をすべて洗い出す必要があります。それらを受験までの時間軸に沿って月ごと、週ごとに割り振っていくと、案外時間がないことが実感できます。
立てた計画が順調に推移していない場合、5月のゴールデンウィーク後は見直しに格好の時期です。計画に無理があった場合はここで立て直し、うまくいっている場合は、夏休み前に再度調整するとよいでしょう。計画は崩れやすいものですから、こまめに立て直すことが大事だと伝えてあげてください。
年間計画の基本 夏休みまでに総復習と苦手克服を
1学期 中1・中2の総復習
夏休み 中3・1学期の総復習、苦手克服
2学期以降 志望校の入試問題等を使って受験対策
これが年間計画の理想形です。2学期以降、総復習が終わっていなかったり、苦手単元があったりすると、模試の成績が上がらず、本人のモチベーションも上がりません。本人の中にあきらめの気持ちが生まれ、志望校最終決定にも影響を与える場合があります。ですから、夏休み中までに「総復習と苦手克服」は必ず済ませたいものです。また、夏休みに大量の課題を残さないため、1学期のうちに総復習をできる限り進めておきましょう。
定期テスト対策は受験勉強の一部
調査書(内申書)の評価次第で、合格の可能性は大きく変わってきます。内申点の計算の仕方や選抜方法は、各都道府県、各校によって違いますので、ぜひお子さまと一緒に各都道府県の教育委員会のホームページなどで確認してください。たとえば東京の都立高校の一般入試の場合、学力検査(入試)と調査書(内申点)の比率は7:3。定期テストでがんばって成績を上げておけば、入試で一歩リードできるのは間違いありません。
年間計画には定期テストの時期を書き込み、その前の2週間はテスト対策に集中するようにしてください。
週間計画・日課表をつくる
週間計画は、部活動や塾など、各曜日の予定を考慮してつくります。日曜日はスケジュールの遅れを調整するための予備日として、空けておくとよいでしょう。
日課表は、部活動や塾のある日とない日に分け、お子さま本人と保護者のかたで相談しながらつくってください。食事やお風呂の時間が一定しないと、学習習慣のリズムはつくれませんから、家族の協力が必要です。「この時間は勉強するよ」と宣言し、ご家族の協力を仰ぐことで、本人が「やらざるを得ない」気持ちになるというよさもあります。
保護者はポジティブな言葉がけを
学習習慣は、お子さまの「自分から勉強しよう」という気持ちしだいです。保護者のかたはお子さまの弱点のほうに目が行きがちですが、やる気が少しでも見えたら、さりげなくそれを認める言葉がけをしてあげてください。たとえば「最近がんばっている、って先生がおっしゃってたよ」など第三者の声を伝える、お子さまが取り組んでいる問題に対して「よくできたね」「よく気付くね」と、ご自分の感想を伝えるなど。お子さまがご家族が自分の努力を見ていて、応援してくれていると感じることで、学習習慣は定着していくのです。
(筆者:安田 理)