高校受験 志望校に合格するために必要な中学生の勉強時間は? 平均時間や効率よく勉強するポイントも解説

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受験生をもつ保護者は、子どもが勉強していないと「このままで大丈夫?」「高校に合格できる?」と心配になるもの。高校受験で志望校に合格するためには、一体どのくらいの学習時間が必要なのでしょうか? 受験生の1年間の勉強スケジュールも含め、保護者による受験のサポート方法を解説します。

この記事のポイント

中学生の平均的な勉強時間

一般に中学生はどのくらい勉強しているのでしょうか?

中学生の学校以外での勉強時間を調べたものに、東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2020」があります。まずはこの調査結果をもとに、中学生の平日の平均勉強時間と受験生である中学3年生に必要な勉強時間を見ていきましょう。

【中学1年生、2年生の平均勉強時間】

中学1・2年生は学校の宿題や授業の予習・復習、テスト対策を中心に学習を進めていきます。「子どもの生活と学びに関する親子調査2020」の調査結果によれば、中学1・2年生が平日に勉強する平均時間は以下のようになりました。

<中学1・2年生 平日の平均勉強時間>※休校時以外・成績上位層

「自分の希望する高校や大学に進みたい」と考える中学生は、この段階でも他の中学生よりやや多く勉強する傾向が見られます。

【中学3年生の平均勉強時間】

中学3年生の平日の平均勉強時間は、2時間26分。学校の授業やテスト対策以外加えて高校入試対策をする生徒が多いため、中2や高1の平均勉強時間より多くなっているのが特徴です。

<中学3年生 平日の平均勉強時間>

中学3年生では、特に内申書(調査書)に大きく関わる定期テストの対策をしっかり行う必要があります。定期テスト前は、平日でプラス1〜2時間、休日でプラス3時間を1つの目安として取り組むとよいでしょう。

また、夏以降は部活動に割く時間も減り、入試本番が近づくほど勉強時間が長くなるもの。以下を目安に、お子さまの生活に合った勉強時間を検討してみてください。

<中3の勉強時間の目安>

効率よく勉強するためのポイント

効率よく勉強するには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。

【ポイント1】生活時間の使い方をチェックする

最初のポイントは、お子さま自身が1日をどのように使っているのかを確認すること。「さあ、受験勉強を始めるぞ!」と意気込んで「1日6時間」と計画を立てても、実際には学校、塾、学校の宿題や復習、食事、入浴、睡眠など、さまざまな時間が必要になってきます。移動時間も見落とされやすい時間です。

そこで、24時間の予定を書き込める手帳やカレンダーアプリを使い、1〜2週間ほど「何にどのくらい時間を使っているか」を記録してみてください。お子さまと一緒に保護者も生活時間を記録してみると、さまざまな気づきを得られるかもしれません。

【ポイント2】受験勉強に使える時間を計算して目標を決める

生活時間の記録ができたら、次は受験勉強でそれぞれの科目に使える時間を計算してみてください。「実は何もせずぼーっとしていた時間」やテレビやスマートフォンを見る時間を少し減らせば、意外に多くの勉強時間を確保できるでしょう。

得意科目は30分、苦手科目は1時間など、科目によってどのくらい時間をかけるのか検討することも忘れずに。

1日に使える受験勉強時間が分かったら、勉強したい分量や目標から1日(または1週間)のやるべき勉強を決めましょう。こうすることで、「今日は何の勉強をしよう」と悩む必要がなくなり、効率よく受験勉強を進められます。

【ポイント3】タイマーを活用し、こまめに休憩をはさむ

効率的な受験勉強のポイント3つめは、タイマーの活用とこまめな休憩です。

タイマーは時間管理に欠かせないツール。スマートフォンにもタイマー機能はありますが、ついSNSを開いて遊んでしまうお子さまもいます。そうした子には、タイマー機能しかないものを新しく買ってあげるとよいでしょう。

テンキー式のデジタルタイマーは学習塾でも使われていますし、最近話題になっている中央のつまみをひねるだけでセットできるタイプは「簡単にセットできて見やすい」と評判です。

勉強する時間やサイクルがまだ決まっていないお子さまには、集中力が続きやすい30〜50分程度を目安に休憩をはさみつつ勉強するようアドバイスしてみてください。

勉強時間を増やすために、やったほうがよいこと・やってはいけないこと

「受験生になのに、全然勉強しない…」というタイプのお子さまは、「勉強しなさい」と言うよりも生活習慣を調整していくことで勉強時間を増やせる可能性があります。

勉強時間を増やすためにやったほうがよいことと、やってはいけないことを4つずつ見ていきましょう。

【やったほうがよいこと】

・朝型か夜型かを見極める

受験生になると「朝勉強」のために朝型生活を始める場合があります。朝は騒音や友達からの連絡もなく集中しやすい時間帯。朝早く起きるのが得意なら、朝食前の朝勉強を取り入れることで勉強時間を増やせるでしょう。

しかし、もともと夜型生活のほうが体質に合っているというお子さまもいます。無理に朝勉強をさせると睡眠不足になって、逆に効率がさがってしまうので気をつけてください。

夜型のお子さまの場合は、夕方以降の勉強時間を充実させる学習法が向いているかもしれません。

・生活リズムを整える

勉強時間を増やすには、勉強時間を生活リズムの中に組み込むことが大切です。毎日同じ時刻に起きる、毎日一定の時間は机に向かうなど、行動の面からリズムを作っていくとよいでしょう。

リズムが身につくまで2週間〜1か月ほどかかるかもしれませんが、根気強く取り組めば夏以降の勉強時間を確保しやすくなりますよ。

・湿度や温度を調整する

部屋の湿度や温度は、意外と集中力に大きな影響を及ぼします。暑すぎる・寒すぎるという状況では熱中症や風邪などで体調を崩す可能性もあります。

快適な環境は、湿度40〜60%、室温は25度前後が一般的。これを目安に、お子さまの様子に合わせて設定してあげてください。

・スキマ時間を勉強時間へ

移動時間や作業の合間のちょっとしたスキマ時間に、新聞や本を読んだり英語のリスニング学習をしたりする社会人の姿をよく目にするでしょう。受験生も、そうしたスキマ時間を上手に使えば効率よく受験勉強を進められます。

スキマ時間の学習に向いているのは、暗記学習や計算練習、簡単なリスニング学習など。たった3分でも、1日10回やれば勉強時間を30分も増やせます。

【やってはいけないこと】

・睡眠時間を削る

勉強時間を増やすという点で最もやってはいけないのが、睡眠時間を削ることです。定期テスト前などはひたすら暗記をしようとして、つい一夜漬けに手を出してしまう受験生もいるでしょう。

しかし、睡眠時間を削れば睡眠不足になります。睡眠不足は集中力や理解力、判断力を低下させ、「机には向かっているけど勉強はしていない」時間を増やすことになりかねません。

きちんと勉強できる時間を増やしたいなら、睡眠時間は最優先で確保しましょう。1日7〜8時間ほどが目安ですが、必要な睡眠時間には個人差が大きいもの。お子さまの様子を見ながら調整してあげてください。

・勉強中に歌詞のある音楽を流す

音楽を聴きながらの勉強は一定のリズムをつくったり気分転換になることもあるので、決して悪いものというわけではありません。ただ、歌詞のある音楽は言葉を使う勉強と相性が良くないのも事実です。

お子さまの好きなアーティストの歌でやる気が出る場合でも、流すのは勉強開始時や休憩時の1〜2曲に限定するのがおすすめ。集中力を妨げないために、勉強中は音楽をかけないか、音楽をかけるにしても歌詞のないものを選びましょう。

・体調の悪い日に無理に勉強する

勉強時間を確保しようとして、体調が悪いのに無理に勉強しようという受験生もいます。心身に大きな負担がなければ多少は良いでしょう。しかし、できれば早めに休み、体調が回復してから勉強を再開するよう伝えてあげてください。

勉強の遅れを取り戻すための「予備日」(勉強のノルマを設定しない日)をつくっておくのも効果的です。

・小休憩時に布団に入って仮眠する

勉強時間を増やしたいときの仮眠には十分注意してください。仮眠自体は適切にとれば勉強の効率を上げてくれる優れもの。しかし、「布団に入って寝る」など本格的な寝方をしてしまうと、一気に2〜3時間分が失われるだけでなく生活リズムも崩れてしまいます。

仮眠は「椅子に座ったまま机の上で15分程度」にしましょう。

もし数時間の仮眠が必要なら、睡眠不足になっているのかもしれません。夜の睡眠時間を見直しつつ、夕方以降の仮眠・カフェイン・強い光を避けて眠りやすくする工夫が必要です。

やる気をアップし、集中して勉強するには

「受験勉強を頑張っているけど、いまいちやる気が出ない…」

そんなときは、勉強する環境や学習法を見直したり、お子さま自身の頑張りを「見える化」したり、ちょっとした気分転換を図ったりするとよいでしょう。

【視界から誘惑の強いものをなくす】

やる気や集中力を削ぐ第一の原因は、勉強部屋にあるマンガ・ゲーム・スマートフォンかもしれません。そうした誘惑の強いものは、勉強中のお子さまから見えない場所に片付ける必要があります。

箱の中にしまう、棚にしまって布をかけるなど、お子さまと一緒に何をどこに片付けるか相談しつつ、勉強しやすい環境を整えていきましょう。

【やる気がなくても10分は机に向かう】

人間、いつもやる気が出るとは限りません。大人も子どもも「やらなきゃいけないのに、気が乗らない」ということはよくあるものです。

それでも「まずは10分机に向かう」ことが大切です。簡単な計算問題を解く、教科書を音読する、前日の復習をするなど、お子さまにとって負担が少ない勉強ではずみをつけたら「案外そのまま30分勉強できた」という声も聞かれます。

毎日机に向かう習慣づけにもなるので、「やる気がなくても、まずは10分」と応援してあげてください。

【勉強した時間や内容を毎日記録する】

受験勉強は長丁場の戦いになるため、お子さま自身「何をしているのだろう」と感じたり、「いつまでやっても終わらない」と項垂れてしまったりすることもあるかもしれませんね。

お子さまが受験勉強の道のりの中で今どこにいるのかを分かりやすくするには、勉強時間、テストの成績、偏差値などを記録し、グラフにして見えるところに貼っておくとよいでしょう。

勉強時間の積み重ね自体がお子さまの自信につながり、受験勉強を開始してから今までの大まかな傾向をつかむこともできます。「これだけ頑張ってきたんだ」という実感が、お子さまのやる気や集中力を高めてくれるでしょう。

保護者にとってもお子さまの褒めポイントが分かりやすくなりますので、積極的に活用してください。

【適度に運動する】

ずっと机に向かっていると、お子さまの体力が落ちてくるかもしれません。そんなときは、早足での散歩をしたり体操をしたりするなど、受験勉強の妨げにならない範囲で適度な運動を生活にとりいれましょう。

軽い運動は気分転換になり、やる気を高める効果もあると言われます。

お子さまの勉強サイクルに合わせて、「散歩行かない?」「一緒に買い物に行く?」など、声かけをしてあげると運動のきっかけになりますよ。

子どもの勉強をサポートするときの親の関わり方は

お子さまが受験生になると、「まだゲームで遊んでいる」「勉強を始めてもすぐに飽きてしまう」といった気がかりなことが増えてくるもの。とはいえ、お子さまの勉強時間をいきなり数時間増やすのも大変なことです。

子どもの勉強をサポートする際は、ぜひ次のような点を意識してみてください。

【しっかり褒める】

まずはお子さまの時間の使い方を見守り、塾や自宅学習のあとは褒めたり労ったりすることが大切です。特にテストの成績を伝えてきたり「今日は3時間勉強した」などの報告を嬉しそうにしてきたりした場合は、褒めてもらいたい合図。「すごいね」「がんばったね」とたくさん褒めてあげましょう。

テストの成績が思わしくなくて落ち込んでいる場合は、「対策がんばってたよね」「今度はここの対策が必要かもしれないね」「前の成績より伸びてるよ」などと励ましてあげてください。

【一緒に解決策を考える】

もし時間の使い方や学習法、テスト結果などで悩んでいる様子なら、一緒に原因を探って解決策を考えてあげるとお子さまも自信を取り戻しやすくなります。

受験勉強自体にやる気が起きない場合は、学習の動機が見つけられていない可能性も。さまざまな高校の公式サイトやパンフレットを見ながら、「この高校に行ったらどんなことができるのか」「どんな施設や学校行事があるのか」などを一緒に見てみましょう。6月以降は学校説明会も開催されていますので、高校の様子を実際に見にいくのもおすすめです。

【スマホ利用のルールを一緒に決める】

スマートフォンやタブレットの使い方が気になる場合は、家庭内でのルールを決めるという手もあります。

東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2018」の調査結果によれば、携帯電話・スマートフォンの利用に関するルールを定めていると回答した中学生がいるご家庭では、平日に平均69分の利用時間となっているようです。

「勉強中は通知を切る」「使わない時は見えない場所にしまう」など、なぜそのルールが必要なのかも含めて、お子さまとよく相談しましょう。

【子どもの体調管理をサポートする】

夏休みは熱中症対策、冬休みは感染症対策といったように、体調管理の面で保護者ができることは多くあります。勉強する部屋の温度・湿度、水分補給、衣類による体温調整、手指用アルコール消毒液の利用など、季節に応じた対策をサポートしてあげてください。

季節の影響以外にも、勉強や遊びで夜更かしをして寝不足になっていないかどうかも気をつけて。つい頑張って睡眠時間を削ってしまう受験生がいますが、睡眠不足は勉強の効率を低下させるだけでなく心身の不調にもつながることがあります。

睡眠不足に陥らないよう、夜は快適に安心して眠れる環境を整えてあげましょう。

まとめ & 実践 TIPS

受験勉強は長期間におよびます。調子よく進められることもあれば、体調を崩したりやる気が落ちたりすることもあるでしょう。

子どもが勉強しないと気になるものですが、口を出し過ぎるのは得策ではありません。たくさん褒めたり悩みの解決をサポートしたりするなどしつつ、見守ってあげてください。

お子さまが無理をしすぎていないか、健康管理をサポートしてあげることも大切です。

出典:
東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究「子どもの生活と学びに関する親子調査」
https://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5438

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