「好き」を核に考える力を伸ばす [中学受験 5年生]

保護者の役割は、子どもの成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。そこで、5年生を対象に、大学入試改革を見据えた中学受験準備についてお話しします。

■使いこなせる「基礎力」を付ける

新5年生、新6年生は、大学入試新共通テストへの「移行期」に大学受験を経験することとなります。したがって、新4年生ほどではないにしろ、中学入試に新テストを意識した問題が増えることは予想されます。

新テスト対応を意識した問題は課題解決型です。知識やテクニックを数多く覚えることより、基礎力をしっかりと身に付けて、自分なりに使いこなせるようにするほうが大事です。ですから、5年生から受験勉強を始めるかたや、現在成績が伸び悩んでいるかたほど、取り組む問題数を絞り「基礎」に徹することをおすすめします。考えたり書いたりすることが得意なお子さまなら、むしろ新テスト対応に積極的な学校のほうが向いているかもしれません。

■好きな分野で「とがる」のもOK

5年生は、自分の考えや好みがはっきりしてくる時期です。保護者のかたの言うことを素直に聞くとは限らなくなりますが、それは心身が成長している証拠。好きな教科や趣味、習い事があれば、それをさらに伸ばす方向へ持っていってあげてください。背伸びしたくなる年頃ですから、「得意な算数だけは、塾のトップをめざしてもいいんじゃない?」などとプライドをくすぐるのもよいですし、音楽が好きならプロのコンサートや講演を聴きに行くなど、「あこがれの存在」にふれさせることも大切です。考える力は「好きなこと」を核に育っていくのです。得意分野についてプレゼンをさせる、グループ討論をさせるといった個別入試を行う学校も増えていますので、「好き」を先鋭的に伸ばすことで、進路の選択肢も広がります。

■「しゃべる」ことで伸びる、考える力

今後は受験勉強にも「アクティブ・ラーニング」を取り入れることがおすすめです。特に、5、6年生にすすめたいのは「しゃべる」こと。たとえば、ある問題について考えを述べよといわれた場合、まず友達どうしで話し合い、それぞれの意見の「いいとこどり」をまとめると、一人で考えるよりよい文章が書けるのです。話し合っているうちに自分の考えもまとまりますし、他者の視点も身に付けることができるんですね。

ご近所に中学受験をめざす友達がいたら、家に呼ぶなりして、ぜひこのような「プチ・アクティブ・ラーニング」の機会を持ってはいかがでしょうか。課題は、子どもの興味のあるものを選びましょう。たとえばスポーツ好きの男の子であれば、サッカーや野球など、チームプレイの作戦がテーマでもいいのです。一人ひとりが、きっと監督さながらの意見を披露してくれることでしょう。ファシリテーター(進行役)を務める保護者のかたは、各々の意見のよいところをほめつつ、「でもこんな時はどうするの?」というふうに他の視点を提示してあげてください。

心身の成長の著しいこの時期、自分なりに考え、それを表現する機会をたくさんつくってあげることが大切です。それが中学入試はもちろん、お子さまのその先の未来を開くことにつながります。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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