この秋は、算数の学習法の見直しを! [中学受験 5年生]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。
5年生を対象に、この秋取り組みたい算数の基礎固めについて述べます。



■計算は、思考力の基礎

5年生の2学期、特に「算数の成績が伸びない」という声をよく聞きます。
取り組む問題が非常に難しくなっているので、成績が伸び悩むのはある意味当然です。ただし、子どもが意味を理解しないまま、ひたすら解き方の手順だけ覚えているとしたら、学習法を見直す必要があります。

現在の中学受験指導では「思考力」が重視され、計算は軽視されがちです。しかし、算数の基礎は計算です。たとえば「たす」や「ひく」は線分図上で考えられるけれど、「かける」は面積の問題になる。分数のかけ算、わり算の考え方などは、大人でもきちんと理解するのが難しいものです。算数の指導法として最もよいのは、基礎の考え方や原理原則、つまり「なぜそうなるのか」を、子どもたちが興味を抱くように教えること。そして、基礎に従って手を動かし、正確に計算して答えを出す方法を身に付けることです。計算は、縦書きの筆算がおすすめです。これは、一見回り道で非効率的な教え方に見えますが、あらゆる問題への応用力も付くので、結局は「効率的」なのです。



■「思考」ではなく「試行錯誤」になっていないか

多くの塾では、数多くの入試問題に取り組ませようとするあまり、子どもの理解が不十分なまま、さまざまな問題の解き方の手順ばかり覚えさせる、といった指導になりがちです。また、解くスピードを上げさせるため、途中式を書くな、脳内で処理しなさいといった指導をするところもあるようです。意味のわからない解き方をいくら覚えても応用は利きませんし、考え方の道筋を書いて残さないと、子どもたちの頭の中には、「わからない」モヤモヤばかりが積み重なってしまいます。

その結果、問題の意味をよく考えないまま、やみくもにたしたり、ひいたり、かけたり、わったり……の作業を繰り返して、まぐれで「正解」したら喜ぶ、といった子どもも少なからずいます。これは「思考」ではなくただの「試行錯誤」であり、まったく考える力は付きません。このような場合、もちろん子どもたちが悪いのではなく、教え方のほうに問題があるのです。

また、難関校の入試では、途中式が合っていれば部分点をとれるところがほとんどですから、むしろ途中式の計算は丁寧に書く癖を付けておくべきです。



■問題数を絞り、時間をかけて教える

「解き方を覚える」のは、決して悪いことではありません。ただし、手順をたくさん覚えるのではなく、まずは基本的な問題の「着眼点」を覚えること。問題文のこの部分は、どのような図にできるか、あるいは図形問題のどこに補助線を引けば解けるか、といったことです。その後、いくつかの類似問題に取り組ませて、「こういう問題は、全部同じ考え方で解けるんだな」と気付かせてあげることが大切です。そうすれば、覚えることは少しですみます。

ただし、基礎的な着眼点を身に付けるには時間がかかります。理解しないままたくさんの問題をこなすより、1題でいいから「よくわかる」ことのほうが大切です。しかし、実際は塾の宿題や予習すべき問題が多すぎ、すべての問題について細かいステップを踏み、ゆっくりと理解させる余裕がないケースが多いのです。
ですから、ぜひ一度、信頼できる塾の先生や家庭教師に、「この単元はこれとこれだけでいい」というふうに、取り組むべき問題を厳選してもらってください。たとえば「塾のない日は、算数を1日2時間×週3日=週6時間」というふうに時間を決め、その時間内にゆっくり取り組める量に絞りましょう。



■よいところをすかさずほめる

文章問題は、1行問題と呼ばれるやさしいものから教えるとよいでしょう。少し長い問題は1行ずつ小分けにして、細かいステップを踏む「マイクロ・ティーチング」でいきましょう。

優れた先生が教える様子を聞いていると、実にほめ方がうまいと感じます。点数や結果をほめるのではなく、子どもが「うまくいったかな」と思っているようなタイミングをとらえて、すかさずほめる。「そこによく気付いたね」「その考え方、とてもいいよ」「すごいね!」というふうに。また、以前は途中式をぐちゃぐちゃに書いていた子どもが、計算を丁寧にするようになったなど、努力が見えたらすかさず認めてあげてください。「わかった!」という実感、そしてご両親や好きな先生が自分の努力を見ていてくれるといううれしさを味わうと、子どもたちの学ぶ力はぐーっと伸びていくのです。


プロフィール

森上展安

森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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