2学期に備えて学習環境の見直しを [中学受験 5年生]

保護者の役割は、お子さまの成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。
5年生を対象に、2学期を見据えて夏休み後半に取り組んでほしい課題について取り上げます。



■成績が「連続して落ち続けている」教科は要注意

5年生の2学期からは、学習内容が非常に難しくなってきます。正解するためには、複数の知識や考え方を組み合わせなければならない、かなり手応えのある問題が増えてきます。ですから、今の時期にぜひ必要なのは、これまでの学習方法がお子さまに合っているか、根本から見直すことです。
一度、1学期までのお子さまの塾での成績を振り返ってみてください。どの教科でも、6割以上点数が取れていれば問題はありません。また、成績が落ちても次の週にすぐ浮上していればよいのですが、3、4週間続けて落ちているとか、ある教科が常に5割以下しか取れていないといったことがあれば、学習方法を見直す必要があります。



■「子どもがよい成績を取れる」指導法を探す

苦手教科で点数が取れないのは、指導者や指導法が合っていないせいで、お子さまが悪いわけではありません。転塾も視野に入れつつ、一度塾の先生に相談することをおすすめします。苦手教科のみ、進度がゆっくりな塾に変える、子どもに合う先生を探して個別指導をお願いする、問題集や参考書を変える、基礎のみに絞って保護者のかたが一緒に取り組むなど、さまざまな方法があります。

余談ですが、欧米の大学生は必要な単位を、取りやすい大学で取るということをよくします。「出身大学」ではなく取得単位に重きを置いた考え方ですね。中学受験においても、これと同じように割り切って考えればよいと思います。



■基礎のみに絞って、保護者が教える時は

特に国語の苦手は、基礎の習得に時間がかかりますので、時間のある夏休みの間に、保護者のかたが見てあげるとよいでしょう。300字程度の短い文章を、時間を決めて読んで、何が書いてあったか話してもらうといった基礎訓練を繰り返すだけで読解力は付いてきます。

算数なら、「一行問題」と呼ばれる文章問題や図形問題の基礎のみに絞り、「誰でもできる」「きみも絶対できる」ということを繰り返し伝えましょう。応用問題ができないことを気にする必要はありません。5年生から6年生にかけて、認知力はしだいに伸びていきますから、「いつかはできるようになるよ」でかまいません。「やればできるんだな」という感触をつかませておくことが大切です。
理科・社会は、「今は、覚えてないからできないだけ」といった言い訳が頭の中にできていて「できなくてもいいや」と思ってしまっている子がかなりいます(笑)。しかし、むしろ理・社は8割得点するくらいの習慣を付けていただきたいんですね。基本事項は今、覚えてしまうとあとが楽であること、理・社は得点源になることを伝え、得点するおもしろさを実感させてください。



■反抗期に備え、子どもが尊敬できる指導者を見つけておく

一方、そろそろ反抗期が始まっているお子さまも多いと思います。これまでのように、保護者のかたがうまく勉強させる方向に「乗せよう」と思っても、なかなか乗ってくれなくなる。子どもを変えようとしても変わりませんから、保護者のかたのほうが接し方を変えるしかありません。反抗期は自立の表れですから、より「大人扱い」するしかないのです。

この時期、親身になって指導してくれ、お子さまが尊敬できるような指導者を見つけておくことは大きな意味があります。保護者のかたが直接「これをやりなさい」と言うより、子どもが好きな先生から「この単元をもう少しがんばったほうがいいよ」などと伝えてもらったほうが素直に聞ける、というケースが増えてくるためです。塾の先生、家庭教師などの第三者を絡めることが、今後の学習にはますます必要になってくるでしょう。



■心も体も大きく成長する夏に

5年生は、体も、精神面も、大きく成長する時期です。体がのびのびと育つと同時に、心も成熟し、認知力も上がっていきます。2学期以降は、ますます勉強が忙しくなってきますが、体力が落ちると学力も思うように伸びません。スポーツ系の習い事で好きなものがあれば、一つは続けることがおすすめです。体幹がしっかりしていると、学習にも前向きな姿勢で取り組みやすくなります。夏休みの間は、ぜひ体を動かす機会を増やし、中学受験の山場ともいえる5年生の2学期に備えてくださいね。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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