適性検査型? 英語入試? 入試スタイルから見直す学習法[中学受験 4年生]

近年、適性検査型入試・総合型入試、国・算・英の3教科入試、英語1教科入試など、入試のスタイルが急速に多様化しています。今回は、いま知っておきたい入試の変化と、入試スタイルに応じた学習法についてお話しします。

「総合型入試」増加の背景は?

ここ数年の間に、従来とは異なる入試を導入する学校が急増しています。例えば、公立中高一貫校の適性検査に近いスタイルは「適性検査型入試」「総合型入試」「思考・表現力入試」など、学校により、呼び方はさまざまです。文章を読む、講義を聴くなどし、それに関連する問題に答えたり、自分の考えを書いたりするものが多く、国・算・理・社の基礎的な学力とともに、思考力・表現力が問われます。
また、国語・算数のみの2教科入試や、自分の得意なこと、興味・関心のあることについて自己アピールを行うプレゼンテーション型の入試も注目されています。

その背景には、大学入試改革に伴う学力観の変化があります。勉強がよくできる子はもちろん、習い事や趣味など勉強以外に夢中になっていることがある子など、多様な資質や可能性をもつ子どもにも門戸を開きたい。そのような考え方のもとで入試を行う学校が増えているのです。

総合型入試に大切なのは国・算・理・社の基礎力

総合型入試に必要なのは、各教科の基礎的な学習です。読む・書く力、計算力など、国語・算数の基礎力はもちろん、理科・社会の基礎的な知識に加え、考え方も問われることがほとんどです。小学校の授業を大切にすると同時に、自分の考えを言葉にする記述力や表現力を養うことが大切です。
総合型入試の場合、小学校で習う基礎事項を使った応用問題にも慣れておく必要はありますが、特殊な知識やテクニックを知らなければ解けないような問題はあまり出ないといえるでしょう。その点、受験勉強の負荷は、従来の4教科入試より少ないといえそうです。

英語力を生かせる英語入試も増加

英語入試も増加しています。例えば東京都市大付属中は2015年度、大妻中野中は2016年度、市川学園市川中では2017年度から、国語・算数の他、理科・社会の代わりに英語を選択できる「グローバル入試」や「英語選択入試」を導入。宝仙学園中理数インター、清泉女学院中など、英語1教科で受けられるグローバル入試を導入したところもあります。

従来、英語入試は、学校が定める条件(例:帰国後1年以内など)にあてはまる帰国子女のみが受けられるもの、というケースがほとんどでした。しかし、近年は習い事として英会話を楽しんでいる、幼少期に海外経験がある、短期留学や国内のインターナショナルスクールに通った経験があるなど、子どもたちの英語との関わり方も多様化しています。グローバルな人材が求められる今、子どもの英語力やコミュニケーションへの意欲を、入試で積極的に評価する学校が増えているのです。
ただし、英会話の初歩を少し学んでいれば対応できる入試もあれば、英検2級程度の力が必要とされる入試もあり、求められる英語力は学校によってかなり差があります。英語入試を検討するなら、過去の入試問題を見て、その学校の入試で英語が武器になるかどうか、慎重に見極める必要があるでしょう。

どこをめざすか? 5年生になる前に目標の見直しを

中学受験の勉強は、5年生から非常に難しくなります。特に難関校をめざす場合は、従来どおり4教科入試が多く、問題の難易度も高いため、相当ハードな学習が必要となります。
一方、新傾向入試の多くは、「好きなこと、得意なことを軸に、思考力を深めていける主体性のある子に来てほしい」という学校側の意図の表れといえます。ですから、好きなことがはっきりしているお子さまなら、それを入試に生かすことが可能です。
小学校5・6年生は、論理的思考力が育つとともに、自分なりの見方が育ち、個性がはっきりしてくる時期でもあります。勉強にしろ、趣味や習い事にしろ、非常に深く学ぶことができる時期といえます。
この大切な時期に、何をめざし、どのように学ばせるべきか。保護者のかたは、お子さまが5年生になる前に、中学入試スタイルの多様化も踏まえて、ぜひ一度長期的視点で目標を見直してみてください。

(筆者:森上 展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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