国語などで、自分の言葉を使って答えさせる問題が苦手です[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

国語のテストで、物語文などを読んで文中から抜き出す問題は解くことができます。けれども、自分の言葉を使って答えさせる問題が苦手なようです。国語はどちらかといえば得意な教科なので、それ以外の部分では、それほど困っていません。

相談者:小6女子(大ざっぱ・論理的なタイプ)のお母さま



【回答】

国語をさらに得意にするには、体を使って考える練習をする


■「自分の言葉で答える問題」とは

「自分の言葉で答える問題」とは、記述問題のことでしょう。記述問題でも、問題文の文章をそのまま使えば答案が仕上がるようなものもあります。しかし、物語文なら登場人物の気持ちが問われる問題、説明的文章なら問題文の内容を言い換えたりしなければならない問題などでは、自分で考えた言葉を使う必要が出てきます。

お子さまの場合、国語は全体的に得意であり、抜き出す問題は解くことができるとのこと。文章を読んで理解することに関しては、特に問題はないのでしょう。問題文が理解できれば、テストでも半分は解けたようなものですから、国語は得意という意識があるのだと思います。しかし、本当の意味で得意にするには、もう一つ上を目指す必要があります。

■語彙(ごい)不足の場合

「自分の言葉で答える問題」が苦手な原因としてまず考えられるのは、語彙の不足です。
物語文で心情表現が示す気持ちがわかっても、それを表現する適切な言葉が浮かんでこないのであれば、記述問題では書けずに手が止まってしまうでしょう。模擬試験の時などは、その言葉の意味するものが「プラス」なのか「マイナス」なのかを考え、「プラス」なら「いい気持ち」、「マイナス」なら「イヤな気持ち」として、とりあえず答案を仕上げてしまう方法はあります。ただし、そのままにしていては、苦手は克服できませんから、必ず解答・解説を見てどのような表現を使うべきだったかを確認することが大切です。

その際、解答・解説で使われていた言葉を知らない場合が多いのであれば、やはり語彙不足ということになります。解答・解説で使っている言葉は、恐らく適切で非常によい表現だと思います。今後も使えそうな表現ということで、その都度覚えてしまえば、使えるものがどんどん増えていくことでしょう。

■言葉にすることで思考は深まる

しかし、解答解説で使っている言葉を知っていた場合が多いのであれば、「言葉の出し方」に問題があるのかもしれません。「言葉の出し方」とは、知識として頭の中にある言葉を適切に取り出して使うということですが、適切に取り出せないことがあるのです。
知っているはずなのに、言葉に出せないという子どもは少なくありません。恥ずかしがり屋で、発言したがらない場合もあります。間違えたら恥ずかしいと思い、萎縮してしまうのでしょう。あるいは、その場では思い付かなかったが、言われてみれば知っていたという子どももいます。いずれにしても、積極的に発言したり、考えたりすることが苦手な場合が多いようです。

解決方法としては、人にもよりますが、手を動かして何かを書いてみるなど、体を使って集中力を高めるのも一つの方法だと思います。たとえば、算数の図形問題を解く時に、「ああでもない、こうでもない」と図形にいろいろな線をひきながら、解法の糸口を見つけるようなものです。国語で登場人物の気持ちをとらえようとする時も、心情表現を単に眺めて考えているだけではなく、今までの自分の体験から登場人物の気持ちを推測してみたり、それらしいさまざまな気持ちを表す言葉を頭に思い浮かべたり、実際に言葉に出してみたりして適切かどうか確かめてみるのです。

人は何らかの動作とともに考えを深めていくところがありますから、言葉にするなどして一歩踏み出さないと、なかなかよい言葉にはたどり着けないのです。そして、知っているのに、取り出して使えない子どもたちは、言葉にしないで頭の中だけで考えている(あるいは思考が止まっている?)ことが多いように思えます。そうしたお子さまは、積極的に考えを言葉にする練習をすべきでしょう。

■体を使って考える練習が大切

言葉にすることで思考が深まるというのは、説明的文章の記述問題に答える場合も同じです。説明的文章の場合は、前述のように、文章のある部分をそのまま使って答えることも多いのですが、言い換えが必要になる場合もあります。特に小学生にとっては、言い換えるという作業はかなり難しいものです。そうしたことが上手になるには、「つまりこういうことだね」という具合に本質をつかむような訓練を日頃から行うとよいでしょう。

特にお子さまの場合は、性格的に「大ざっぱ」で「論理的」なタイプですから、本質をつかむのは得意なほうだと思います。問題はそれを言葉に表現することですが、一つの言葉を口にすると、そこから連想して次から次へと言葉が出てくるようになります。たとえ最初の言葉が適切でなくても、言葉を何度か出しているうちに、「これだ!」と思える言葉が出てくるものです。そうした言葉をつかまえられた時、適切な表現ができたということになるのでしょう。

自分ではわかっていても、人にそれが伝わるような表現はなかなかできないものです。大人になればなるほど、コミュニケーション能力がますます求められるようになります。だからこそ、言葉を声に出すなどして体を使って考える練習が大切なのだと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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