完璧主義で苦手を苦手と言えない我が子が心配……/小学生保護者のお悩み解決隊#6

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苦手なことやわからないことを周りに相談できず、一人でなんとかしようとするものの時間がかかるばかりで進まない。解けない問題があったら、その先に進めない。完璧主義なお子さまの様子にお悩みのかたもいらっしゃるかもしれません。自分を追い込んでいるようにも見えて、心配にもなるでしょう。

そこで、苦手を苦手と言えない完璧主義なお子さまへのお悩みをマンガ化。子どもの発達や学習支援に詳しいマインEラボ・スペース代表で公認心理士・臨床発達心理士の山﨑衛先生にアドバイスをいただきました。

この記事のポイント

完璧主義で苦手を苦手と言えない我が子が心配……

自分一人でなんとかしようとする姿勢や完璧を求める姿勢は一生懸命さの表れではあるものの、度を超えると本人が苦しくなってしまわないか心配ですよね。
うまく肩の力を抜いて自信を持たせてあげるには、どうすればいいのでしょうか。

苦手なことやうまくできないことを抱え込んでしまわないようにするには?

教えてくれるのは、マインEラボ・スペースにて子どもの発達や学習支援事業を行う山﨑衛先生です。

Q.苦手を抱え込んでしまう子に保護者のかたができるサポートは?

山﨑先生:まず気を付けたいのは、苦手を抱え込んでしまう子は、自分から保護者のかたに
「これができない」と相談してくることはあまりない
ことです。
手伝おうとしても嫌がるなど、なかなか手助けもしにくいお子さまもいます。「自分はできるんだ」という思いや、「自分でやらなければダメなんだ」と思い込んでしまっているのですね。
その結果、助けを求められないまま自分を追い込んでいってしまいます。この状態が続くと、マンガのように登校しぶりなどにつながってしまうこともありますので、お子さまがつらさを抱えていないかどうかを注意深く見ていくことがまず大切です。

お子さまへの気付きとして、以下のようなサインを見落とさないことが大切です。

  • テストや宿題に取り組む際に、順番通りに解くことにこだわり、難しい問題で時間をとられてしまい、わかる問題を解く時間がなくなってしまった。
  • 宿題になかなかとりかかれない。
  • 宿題を終えるのにとても時間がかかる。
  • 一つまちがいがあると、やる気をなくしてしまう。
  • 手伝おうとするととても嫌がる。
  • できないことがあると学校に行きたがらない。
  • 宿題ができないから学校に行きたくないという。
  • 腹痛や頭痛を訴えることが増えた。

日頃、このような状況が見られないかどうかを見ていくと共に、家では特に、お子さまが苦手な学習に取り組んでいる時は要注意です。

苦手を見つけたら、ただ指摘するのではなく、どこまでできているかを見極めたうえで「ここまでできているね」と認める言葉をかけてあげてください。そのうえで「もうちょっとだよ」「あとこれだけできれば大丈夫だよ」と背中をそっと押してあげましょう。
宿題で悩んでいる問題がある場合などは、ヒントを出す形で保護者のかたがサポートしてあげるのもいいですね。

「できる」「できない」と0か10で白黒つけるのではなく、できている部分を認めてあげることでお子さまの自信も自己肯定感も高まります。そのくり返しがあれば、完璧であることにこだわりすぎず、苦手がある自分を受け入れられるようになるはずです。

ケース別の具体的な声かけ例やサポート例は次のとおりです。

・お子さまの苦手な分野に取り組んでいる時
「わからない時は、声をかけてね」
「ここまでできたら声をかけてね」
「ヒントをあげようか?」

・一人で取り組もうとして行き詰まっている時
「わかるところから先にやってもいいんだよ」
「『手伝って』と言ってもいいんだよ」
「ここまでよく一人でがんばったね。がんばり屋さんだね」

・間違えてやる気をなくしてしまっている時
「ここまではよくできているよ。もう一息だよ」
「間違えて悔しかったね。ここまではできているから大丈夫だよ」
「間違いに気付けることが大切だよ」
「次に正解を出すための大切な経験だよ」

教えてもらうのを嫌がるようなら、
せめてヒントを出して気付かせてあげるなど、お子さまが受け入れられるところまでサポートをしてみたり、長時間取り組んでいるようならおやつで休憩をとるなど、少し思い詰めた気持ちを落ち着けてあげるようブレークタイムをとるのもいいでしょう。

苦手は誰にでもあるもので、苦手をゼロにすることは難しいでしょう。大切なのは「苦手はあるけど、これはできる」と苦手のある自分を肯定的に受け入れることです。
そのためには、学習以外の場面でも日頃から自分のいい面に気付いたり、「役に立っている実感」を持てたりすることが重要。お子さまが無理なくできることをお手伝いしてもらうのも効果的です。
水やりやお風呂洗い、ポストに郵便物を取りに行くことなどどんなことでもOK。「ありがとう、助かっているよ」との家族からのメッセージを伝えることで、自己肯定感を高め、苦手に向き合う意識も変わってくるでしょう。

また、私の経験からも、保護者のかたの意見はなぜか聞いてくれないというお子さまも多いものです。宿題やテストなどは学校で出されるものですので、担任の先生の許可がないと、勝手にやり方を変えてはダメだと思い込んでしまっていることもあります。そのため、担任の先生のアドバイスは素直に受け入れることもあるので、相談してみてもよいと思います。

Q.学校生活も心配です。先生ともうまく連携して、サポートをもらうには?

山﨑先生:担任の先生やスクールカウンセラーに相談してみましょう。
スクールカウンセラーは、お子さまだけでなく保護者のかたも相談できます。スクールカウンセラーは、学校の中を巡回していることも多いもの。実際に学校でどう過ごしているかを知らせてもらったり、お子さまへのさりげない声かけをしてもらったりすることもあるかもしれません。
また、保護者のかたでは判断の難しい発達特性についても詳しく、必要に応じて専門機関やテストなどにもつないでもらえます。

なお、担任の先生、スクールカウンセラーどちらに相談したほうがいいということもありません。担任の先生であれば、個人面談の際に「実はこんなところが気になっていて」と見守りやサポートをお願いできるといいですね。
スクールカウンセラーであれば、学校から配布されるプリントなどを確認のうえ、相談可能日時に予約を入れましょう。

担任の先生であれスクールカウンセラーであれ、相談をすることで、お子さまを見守り、必要な声かけやサポートをしてくれるかたを増やしていきましょう。担任の先生はもちろん、担任の先生以外にも、学校の中にお子さまを受け止めてくれる存在がいてくれると安心です。保護者のかたも、悩みを抱え込まず、相談に行ってみてくださいね。

まとめ & 実践 TIPS

数多くの子どもの発達や学習支援を行われてきた経験をもとにアドバイスをお聞きしました。苦手に気付いてあげること、できることを認めてあげること。それにより、お子さまの自己肯定感を醸成(じょうせい)し、苦手なこともある自分をまるごと受け入れられるようにしてあげられるといいですね。担任の先生やスクールカウンセラーとも連携しながら、お子さまをサポートしていきましょう。

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プロフィール

監修:

山﨑衛 やまざきまもる

マインメンタルヘルス研究所代表取締役社長。子どもの心の発達・成長を支援する専門機関マインEラボ・スペース代表。公認心理師。臨床発達心理士。特別支援教育士。

プロフィール

さざなみ

マンガ:

さざなみ

子供の個性や成長と真剣に向き合う育児エッセイが共感を呼びSNSで話題となる。『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!』書籍化。
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