算数の解答で数字を丁寧に書くよう何度も言っているが直らない[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

考え方(式)は合っているのに、計算などのケアレスミスが目立ちます。殴り書きで数字を書いているので、0か6か判別できない数字もあります。丁寧に書くように何度も言っているのに直りません。ちなみに書道を習っていたこともあり、硬筆、毛筆ともに賞に入る実力はあるので、丁寧に書けないのではなく書かない状況です。なお、現段階では志望校を限定せず、勉強させています。

相談者:小5男子(大ざっぱ・論理的なタイプ)のお母さま



【回答】

ケアレスミスの重大さを論理的に理解させる


■早く解かなくてはという焦り


試験には制限時間がありますから、一問でも多く解きたいという焦りが受験生にはあります。その結果、読み飛ばしをしたり、雑な字を書いて点数を失ったりします。また、自分で書いた数字を読み間違えてしまうケースも少なくないでしょう。多くは字を書くのが遅い、あるいは苦手な子どもの場合なのですが、お子さまのように上手なケースも確かにあるようです。お母さまとしては当然注意しますが、なかなか直らない場合もあるでしょう。「試験は急いで解かなければならない」という大義名分があるので、ついつい丁寧さを後回しにしてしまうのです。

■どこで時間がかかっているのか


何回注意してもなかなか直らないようであれば、試験問題を解いているのを実際に観察して、何が問題なのかを一回チェックするとよいでしょう。試験を解くリズムが、何らかの原因で非常に遅い場合があります。たとえば、いわゆるステ問に引っかかって他の問題を解く時間が大幅に減少した結果、数字を殴り書きしなければならなくなっているのかもしれません。あるいは、自分の数字を読み間違えて、何回も計算し直しているのかもしれません。解くスピードに自信があれば、字を書く時間をそんなに惜しむ必要はないでしょう。恐らく何らかの原因により、すばやく書かなければならないという思いにより、数字を殴り書きしてしまうのではないでしょうか。
もしステ問に引っかかっているようでしたら、5分考えても解法のための方針が見つからなければパスするなど、試験を受ける際の方針を決めてみたらどうでしょう。試験ではその時点の最大の力を発揮することが求められ、そのためには問題を解くペースをつかませることが非常に重要になります。焦ってもダメだし、弛んでも集中力が足りずにダメになります。
解答のペースは何回も試験を解くことにより経験的につかんでいくものですから、お子さまも試験形式の問題演習を繰り返すことによりペースをつかめると思います。適切なペースをつかみ、数字を殴り書きしなくても合格点はとれるということがわかれば、しっかり数字を書くようになると思います。

■ケアレスミスの重大さを知らしめる


ケアレスミスをなくすためには、「1点でも多くとりたい」という執念が必要です。もちろん執念がカラ回りしてしまうと、「1問でも多く解く」という焦りから、読み間違えるほどの数字を書いてしまいます。そうではなくて、1点でも多くとるためにケアレスミスをなくすのであり、ケアレスミスを犯してしまったら大いに悔しがるべきなのです。「考え方は合っている」だからまあ仕方ないではなく、それを点数に結び付けられなかったことが非常にまずいことを自覚し、大いに反省する必要があります。そして、1点でも2点でも多く取ることの重要性を親子で共有すべきでしょう。そうすれば、字の汚さも少しずつ改善して、少なくとも(まあまあ)読める数字を(まずまずの)速さで書くというバランスを習得すると思います。特にお子さまは論理的な性格なので、自分自身が頭で理解すれば数字の殴り書きも徐々に改善していくと思います。

■中学受験は自立を促すよい機会


それからもう一つ。「現段階では志望校を限定せず、勉強させています」とありますが、5年生になったら、仮でもよいですから志望校は決めておいたほうがよいでしょう。また、「親が勉強させる」から「子が自分で勉強する」という意識に少しずつ変えていきましょう。
ご存じのように、中学受験は親と子が二人三脚で乗りきる試験と言われています。それは、受験生である本人がまだ幼いため、志望校についても勉強方法についても、さらには勉強する意欲さえも、親のフォローが必要な場合が少なくないからです。この傾向は学年が下になるほど強く、受験勉強を始めるころはかなりの部分を親が決める場合が少なくないでしょう。しかし、小学生も5、6年生になると(個人差はありますが)徐々にしっかりしてきます。理想としては、中学年の時は親が勉強させていたものが、徐々に本人の意思で勉強するようになり、受験間際には自分自身で受験に立ち向かうように自立させていきたいものです。
こうした子どもの「自立」は、なかなか難しいものではあります。しかし、これから充実した学生生活、さらには社会生活を送るためには、自分の頭で考え、行動できる力をぜひ培っておきたいものです。中学受験という一つの試練は、ある意味で子どもたちに自立を促すよい機会だと思います。お子さまもぜひチャレンジしてみてください。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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