算数では解答を見直すように常々言っているが、思い込みで計算ミスを見逃します[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

掛け算がまだ曖昧なため、算数で初歩的な計算もミスをします。常々、見直すようにと言っておりますが、一通り問題が終わり再度見直しても、思い込みでミスを見逃しているようです。どのように指導すればよいのでしょうか?

相談者:小4男子(大ざっぱなタイプ)のお母さま



【回答】

見直し方法を具体的に教えるとともに1点の重さを伝える。


■「どこ」で「どんな」ミスをするのかに注目

ケアレスミスが多い場合は、単にミスを叱ったり見直しするように注意したりするだけではなかなか直らないものです。「どこ」で「どのような」ミスをするのか、そしてどうしたらそれを直せるかなどを一緒に、しかも具体的に考えてあげるとよいでしょう。

まず、ミスをしがちなところというのは、決まっている場合が少なくありません。たとえばお子さまの場合は、「掛け算が……」とありますが、その他にも繰り下がりの引き算でつい間違えてしまうとか、割り算で桁ずれを起こしてしまうことなどもあるかもしれません。そうしたところは正しい計算方法を再確認するとともに、ミスが出やすい箇所であることを意識させることが大切です。


■具体的な見直し方法を教える

具体的な見直し方法も教えてあげたいものです。検算方法はいくつかありますが、一番簡単なのは、出てきた答えを代入して正答かどうか見分けるやり方です。たとえば年齢算で「今、道子は8歳、お父さんは38歳。お父さんの年齢が道子の年齢の3倍になるのは何年後か」という問題を解く場合を考えてみましょう。こうした問題は計算して、たとえば「7(年後)」という答えが出てきたら、それぞれの7年後の年齢を出して3倍になるかどうかを確かめれば、出てきた答えが正しいことがすぐにわかります(下の式参照)。方程式の問題などが、代入することで答えが正しいかどうかわかるタイプの問題です。


  

(38+7)÷(8+7)=3(倍)


ただし、代入して検算ができないタイプの問題は、もう一度計算をたどる必要があります。その場合、差が出てくるのが“筆算をきちんと書いているかどうか”ということです。計算は長く複雑になればなるほど、筆算はきちんと見やすく書く必要があります。問題用紙の隅にコチョコチョと書きなぐるのではなく、「問2はココ、問3はココ」という具合に、あとから見てもわかるように計算はまとめて書いておくことがポイントです。計算が途中で他の場所に飛んだり、他の計算と混じったりしてしまうと、ミスを誘発する原因になります。また、新たに筆算が必要になるようであれば、時間の無駄になってしまうでしょう。ケアレスミスを犯す子どもたちは、筆算をぐちゃぐちゃに書いていることが多いので、これを直すだけでもケアレスミスがグンと減る可能性があります。


■出てきた数値が答えとしてふさわしいかを見分ける

検算しなくても、答えがおかしい場合はすぐ見分けられる感覚も大切です。たとえば先ほどの年齢算、「30(年後)」という数値が出てきたとします。すると、道子は38歳になり、父親の年令はその3倍とすると114才になります。これを常識的におかしいと思えるかどうかです。こうした直感は算数でも非常に大切で、たとえば出てきた小学生の身長が身長3mだったり、歩く速さが分速200mだったり、あるいは三角形の1つの角が180度を超えていたりした時に「これはおかしい」と思える感覚を身に付ける必要があるのです。このような感覚をさらに研ぎ澄ませていくと、「答えはだいたいこのくらいかな」という見当さえついてきます。

こうした感覚は問題数をこなすことで身に付いてきますが、長さ、体積、速さなど身のまわりのだいたいの数値を把握しておくことも大切です。たとえば牛乳パックは大きいほうで1リットルだという感覚があれば、1リットルの具体的な大きさがつかめます。そうすることで、1リットルは一辺が10㎝の立方体の大きさであって、一辺が1㎝でも、100㎝でもないことが直感的にわかるのです。こうした感覚はとても大切で、単位を換算する時にも間違いを起こすことが少なくなります。


■すぐ始めたいケアレスミス対策

ケアレスミスに関する悩みを持つお子さまや保護者のかたは、非常に多いと思います。特に性格的に大ざっぱなお子さまは、さまざまなミスを連発することが少なくありません。今回はその対処策をいくつか挙げましたが、性格的な要因も関係するせいか、改善するまでに時間がかかることが少なくありません。ご相談者のお子さまは4年生でまだ入試本番までには時間はありますが、すぐにでもケアレスミス対策を始めるべきでしょう。

それからもう1つ。今回申し上げた方法を実践することは有効だと思いますが、その際、「1点でも失いたくない」という気持ちをお子さま自身が持たれることも重要です。試験は、1点の差によって合否が決することがあります。また、1つのケアレスミスで5点、10点、場合によってそれ以上の点数が失われていく恐ろしさもあるのです。

そうしたことが理解できれば、ケアレスミスがいかに残念なことか実感でき、どうにかしてそれらを少なくしようという気持ちもわいてくることでしょう。ミスを防ぐテクニックも大切ですが、1点を大切にする気持ちも重要だと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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