夏休みの重点課題(2) 志望校のオープンキャンパスに参加しよう [高校受験]

前回は、夏休みの学習生活についてお話ししました。
今回は、夏休みの間にぜひ行ってほしい、学校見学について取り上げます。



■第一志望校だけでなく、複数の学校を見学しよう

夏休みには、多くの学校がオープンキャンパス・オープンスクールを行います。第一志望校の見学にはぜひ行ってください。子どもと保護者のかたでは、見る観点が違いますので、二人で行くのがいいですね。理科実験や、ネイティブの先生による英会話などの授業体験、部活体験などは、人数制限があるため、人気のある学校はすぐいっぱいになってしまいます。ホームページなどをチェックして、関心のある学校の催しには早めに予約を入れておきましょう。

また、できれば第二志望、第三志望校もこの時期に見ておくことをお勧めします。第一志望1校だけだと、客観的に見ることが難しいためです。たとえば部活体験などで、先輩に「来年一緒にやろうぜ!」なんて言われると、子どもはすぐその気になって、他の学校が目に入らなくなってしまいがちです。他の学校も見ることで、第一志望校のよさを再認識したり、逆に、考え直すべき点を発見したりするケースがよくあります。



■学校見学・授業体験のポイント

授業見学や授業体験の場合は、先生と生徒の言葉遣いや距離感、質問に対する先生の答え方やアドバイスの仕方などに注目してください。先生と生徒のやりとりを通して、その学校の校風が見えてきます。
子どもが理科系の教科が好きなら、実験室の数や設備もポイントですね。ただし、設備だけでなく、実際によく活用されているかどうかも、よく観察して確かめてください。
校舎内を歩いて見学できるなら、校舎の新しさや立派さだけでなく、雰囲気を見てください。たとえば掲示物。定期テストの成績上位者がずらっと貼り出されている学校もありますし、さまざまな部の試合やコンテストの成果が華やかに掲示されているところもあります。生徒手作りの部活動やボランティアのポスターが多いところもあれば、掲示物そのものが少なくてすっきりしている学校もあります。机が見事なまでにまっすぐに並べられ、掃除が行き届いているとか、雑然としているけれど活気があるとか、教室を見てわかることもあります。それらは良し悪しではなく、その学校の校風や文化の表れです。その環境の中で、我が子がのびのびと高校生活を送れそうか、という観点で見ることが大切です。



■部活は、入部後の生活まで想像してみる

子どもの第一志望校の志望理由は「部活体験で、先輩が優しくしてくれたから」というのが非常に多いんですね。「先輩と一緒に、この部でがんばりたい!」という具体的な目標ができるのは、とてもよいことで、志望校が一気に身近なものになります。
ただし、「体験」はあくまでも「体験」です。その高校に入ったとしても、部活体験どおりの毎日が待っているとは限りません。その部が週何回活動しているのか、試合やコンテストの実績、運動部ならレギュラーになれそうかどうかといったことも確認しておきましょう。部活についての客観的な情報は、学校案内の資料やホームページなどで調べることもできます。
試合やコンテストの実績だけが大切だとか、レギュラーになれなければ意味がないといっているのではありません。実績にこだわらず、和気あいあいと活動する部が合っている子もいますし、たとえレギュラーになれなくても、強豪チームという環境に身を置くことで人間的に成長していく子もいます。体験の手ごたえと、客観的な情報をもとに、入学後の生活を想像してみることが大切なのです。
逆にいえば、子どもが大好きなスポーツの強豪校であこがれていたのに、その部の練習を実際に体験してみたら、ギスギスした雰囲気であまり好きになれなかった、といったこともあります。「体験」と「客観的情報」は、両方とも必要です。



■志望校見学は、目標を具体的にする

「この学校に行きたい!」という思いを抱くと、子どもたちの勉強への意欲は明らかに変わってきます。夏休みに志望校を見学すると、目標がぐっと具体的になるのです。
保護者のかたは、我が子を伸ばしてくれそうな環境を自分なりの観点で見極めるとともに、子どもの中に生まれつつある目標や意欲を見守り、サポートしてあげてください。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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