筆跡鑑定人ってどんな職業? 筆跡鑑定はどんな仕事?
文字を書いた主が誰なのかを鑑定する筆跡鑑定人。これは、実際どのような職業なのでしょうか? プロの筆跡鑑定人である根本美希子さんに、実際の仕事について、いろいろと教えてもらいました。
筆跡鑑定人が鑑定する書類とは
筆跡鑑定人として仕事をしている根本さんですが、依頼主の7割は弁護士や司法書士です。あとの3割がその他の法人や個人だといいます。民間の鑑定人は民事での仕事が多く、根本さんの鑑定で最も多く扱うのは遺言書。契約書や書類などがそれにつづき、書類の中身は保険の契約書や受取人変更届け、離婚届など、多岐にわたります。ときには、嫌がらせ目的の誹謗中傷の文書や怪文書などを依頼されることもあり、チラシの裏側や車のフロントガラスに書かれた文字を鑑定することなどもあるそうです。
「資格」が存在しない筆跡鑑定人
現在、筆跡鑑定人の仕事をしている人の多くは、科捜研や科学警察研究所(警視庁の付属機関の1つ)などで筆跡鑑定をしてきた元警察官のOB、それ以外には探偵業者、文字の研究をしている大学教授、書道家などです。実は、筆跡鑑定人にはいわゆる資格というものが存在いません。そのため、警察などで鑑定に携わってきた人が、鑑定人として仕事を請負うケースが多いようです。
プロの鑑定は絶対に正しいのか
プロの筆跡鑑定人は、どんな書類であっても完ぺきに判断ができるのでしょうか。これについては、「できないこともある」と根本さんは言います。「究極を言ってしまえば、本当のことは、書いたその人にしかわからないもの。腕が立つ人ならば、限りなく実物に似せて書くことは可能でしょう。ですから、見抜けない場合もあると思います」
筆跡鑑定において、正確な結果を出すためには、鑑定すべき資料の他に契約書やパスポート、日記などできるかぎり多くの対照資料があることが望ましく、場合によってはセカンド・オピニオンを受けることも考慮したほうが良いそうです。鑑定結果を誤らないよう、筆跡鑑定人は日々鑑定眼を磨いて仕事に取り組んでいます。