筆跡鑑定人ってどんな職業? 鑑定人になるために必要なこと

人が書いた文字の特徴やくせを見抜く筆跡鑑定人。この仕事をやっていこうとするとき、大切なことや求められることは何なのか、プロの筆跡鑑定人である根本美希子さんにお話を伺いました。


求められるのは、鑑定眼、道徳観、文章力

 遺言書の筆跡鑑定をすることも多い根本さん。依頼主には、遺言書における遺産相続で不利な立場にある人が多く、「どう見ても遺言者の筆跡と違う」という言葉を依頼の際によく聞くそうです。鑑定では、依頼者の希望に沿わない結果が出る場合もあります。根本さんは、依頼者が「こう言ってほしいのだろうな」というのがうすうすわかっても、もちろん、その希望に沿うようなことはしません。また、そのことでは決して悩まないとのこと。

 

鑑定眼とともに、常に正しい真実の答えを出そうとする人格と道徳観が鑑定人には必要なのです。「プロの筆跡鑑定人は、鑑定眼と文章力、そして道徳観をバランスよく持っていることが必要です。この3つがなければ、冤罪を作ってしまいかねませんから」と根本さん。

 

 

鑑定人になる近道とは?

 筆跡鑑定人になるための道として一般的なのが、警察に就職して、そのなかで筆跡鑑定の仕事を目指すこと。また、鑑定人を養成する教室があるので、そこに通うのもひとつの方法です。

 

 

まずいろいろなことを一生懸命やってみよう

 遺言書の鑑定など深刻な問題を取り扱うことが多く、判断力や道徳観だけでなく、依頼者や弁護士、裁判官にわかりやすく説明する表現力なども求められる筆跡鑑定人。実際、学校を出たばかりで人生経験が少ない人がすぐにできる仕事かというと、それは少し難しいようです。ただ、たとえば、すぐに筆跡鑑定の仕事ができず、まず他の職業についたとしても、それはマイナスにはならないようです。根本さんも「鑑定人の仕事をしたいなら、まず、いろいろなことを一生懸命やったほうがいい」とアドバイスしてくれました。「どんな仕事でも、一生懸命やったとき、そこには同じ気づきがあり、鑑定人はそれを生かせる仕事だと思います。だからこそ、縁のあった仕事や、目の前にあることをまずきちんとやってみたほうがいい。そうすれば、その分だけ身にしっかり入って、それが回り回ってちゃんと生きてきます」。

 

根本さんのご主人は、異なる業界で働き、若くはない年齢で筆跡鑑定の世界に転身しました。けれど、それまでやってきた他の仕事は決して無駄にはならず、むしろそれらがご主人の中で複合した力となり、結果、飛躍できたのだとか。筆跡鑑定人はいろいろな人生経験がプラスになる職業であり、他の仕事を経てからたどり着いたとしても、決して回り道にはならないようです。

 

 

プロフィール

根本美希子

白百合女子大学・文学部国文科卒。一般社団法人 日本筆跡鑑定人協会会長・日本筆跡心理学協会 会長。小、中学生の国語教育を経て、筆跡心理学の研究および教育に携わる。生命保険会社など多数の企業で筆跡心理学と筆跡鑑定の講師、および個人向けライフコンサルタントに従事する。

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