中学で英語が得意になる! 第2回 英語が得意になる方法(1) 英語の語順を知る【後編】~一般動詞~

「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能など、ますます「使う」力が求められている中学校の英語。一方、ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)の調査(2009年)によると、「英語が苦手」と答えた生徒は6割に上ぼっています。英語への苦手意識を払しょくし、英語の力を伸ばすためには、何が必要なのでしょうか?
このシリーズでは、「世界の100人の教師」に選ばれたこともある関西大学教授の田尻悟郎先生に、中学英語のつまずきやすいポイントとその解決方法について教えていただきます。

英語が苦手になる原因の一つが、「英語の語順」。前回のbe動詞編に続き、今回は一般動詞編です。多くの大人も悩まされる「三単現のs」とは、いったい何なのでしょう? 目からうろこの田尻式学習法にふれてみてください。

<中学で英語が得意になる!(動画)>



do,does,didは恥ずかしがり屋?

<2-3.英語の語順を知る 一般動詞編(動画)>

 英語の勉強でいちばん難しいのが、日本語との語順の違いを知ること。たとえば英語でいちばん多いのが、下のような語順です。

この語順を知っていると、こんな文ができます。

一つひとつの構成要素は、2語か3語ですね。語順を知って、2、3語のかたまりを覚えれば、たいがいのことが英語で表せます。

 ところで、この文ではeatのあとにsが見えていますね。これは何かというと、あるものが隠れているんです。隠れているのは、does。そのだけが見えていたんですね。

この文を疑問文にする時は、隠れていたものを前に出せばいいんです。


動詞の後ろに隠れているdoesは助動詞と呼ばれるもので、「習慣として」「定期的に」「現在」といった意味があります。動詞は、常に助動詞と一緒に使われます。
 たとえば、
can eat は、「食べることができる
will eat は、「食べるつもりだ」「食べるでしょう
という意味になります。
do  eat の場合は、「普段から食べています」「現在食べています」といった意味になります。

普通、助動詞は動詞の前に置きます。ところが、do, does, didだけは、恥ずかしがり屋で後ろに隠れてしまうんです。
ですから do eat の場合、doは隠れて見えなくなります。
does eat の場合も、doesは隠れてしまいますが、語尾のsだけが見えてしまう。これを「三単現のsといいます。



疑問文を作るには、隠れた助動詞を見つけて前に出す!

<2-4.英語の語順を知る(動画)>

動詞は必ず助動詞と一緒に出てきますが、do, does, did だけは後ろに隠れてしまう。このことをぜひ頭に入れておいてください。
一般動詞の場合、疑問文を作る時は、隠れている助動詞を見つけて前に出します。be動詞はそのまま前に出せばよかったけれど、一般動詞の場合は助動詞を見つけて前に出さなくてはいけない。

 can, will などの助動詞は最初から見えていますが、doやdoesは後ろに隠れている。中学のすべての授業が、be動詞の次は一般動詞から入るので、子どもたちは「何でdoなんかが入るの?」「何でdoesなんかが出てきたの?」と悩むことになります。
しかも、三人称単数の時、先生は「動詞の後ろにはsが付く」と教えますね。「このsは複数形のsですか?」「いや、違う」。……「じゃあ、何なの?」と聞いても、明確な答えはない。

実は、「三単現のsというのは、「普段から」「習慣として」「現在」の意味を持つdoessなんです。ですから例文は「ゴローは(普段は)毎晩、自分の部屋でフォークを使ってうどんを食べます」という意味になりますね。eatsのsにも、意味があるんです。疑問文にすると、このsが正体を現してdoesとなり、eatsのsは消える。

子どもたちにしてみれば、主語が三人称単数の時は動詞の後ろにsを付けろと言われたのに、疑問文にするとどこかからdoesが出てきて、今度は付けちゃいけないと言われる。意味がわかんない、となるのが中学1年生の時です。それに対する明確な説明がないので、難しすぎる、英語は嫌い、と言い始める。実はここがポイントだったんです。



聞きたいところをいちばん前へ出す!

<2-5.英語の語順を知る(動画)>

では、この文で、udon(だれ 何を/に)がわからない時はどうすればよいでしょうか。
udon(うどんを) ⇒ what(何を) となります。
 疑問文なので、まず隠れているdoesを前に出し、このwhatを一番前に出します。

この疑問文に対する答えは、whatを元の位置に戻してあげればいいので、

となります。

では、with a forkがわからない時は?
with a fork (フォークで)⇒ how(どのように)となります。
疑問文なので、まず隠れているdoesを前に出し、
howをいちばん前へ出します。

となります。

では、in his roomがわからない時は?
in his room(自分の部屋で)⇒ where(どこで)となりますから、
同じように、doesを前に、whereをいちばん前に持ってきて、

となります。

every nightがわからないときは、
every night(毎晩)⇒ when(いつ) となりますから、
同じように、doesを前に、whenをいちばん前に持ってきて、

となります。



主語を尋ねる疑問文は要注意!

子どもたちが最もつまずきやすいのは、主語を尋ねる文です。

Goroがわからない時は、
Goro(ゴローが)⇒who(だれが) として、いちばん前に出します。

すると、 does と eat の間にあったGoro が消えてしまったので、doesはここぞとばかりに、eatの後ろに隠れて、eats となってしまうのです。
そこで、このような文ができあがります。


このように、主語がwhoやwhat になった場合は、動詞にがつくことが非常に多いです。does と動詞は分かれずに、doesが隠れてしまうことが多いんですね。
このことは、中1で学習する学校がほとんどです。

疑問文を作る時は、
 ●聞きたいところをいちばん前に出す
 ●隠れている助動詞を前に出す
この2つの操作が必要です。そして、答える時は語順をもとに戻す。これを知らずに、単に教科書を暗記してしまっていると、応用が効きません。
中学1年生の勉強でいちばん大切なのは、語順を理解し、それを疑問文にしたり答えたりする力を付けることなんです。

次回は、英語が苦手になる原因のひとつ「文字の読み方」の克服法。カルタを使って、文字と読み方を自然に覚える方法を紹介します。


プロフィール


田尻悟郎

関西大学 外国語学部 教授。26年の公立中学校勤務を経て現職。NHK『わくわく授業』『プロフェッショナル』等に出演。2004年に「世界のカリスマ教師100人」に選ばれる。新指導要領策定や教科書開発に関わる。主な著書:『田尻悟郎の楽しいフォニックス』(教育出版)

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