4年生の夏休み、今後の学習の下地をつくる! [中学受験 4年生]

■4年生の夏休み、今後の学習の下地をつくる!

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。4年生の夏休みの勉強法について取り上げます。



■知的好奇心が今後の学習の下地に!

中学受験をするお子さまにとって、4年生の夏休みは最後の長期休暇、たっぷり遊べるお休みらしいお休みといえます。5年生以降の夏休みは、やはり勉強中心とならざるを得ないからです。

4年生になると、子どもたちは徐々に抽象的な思考ができるようになり、さまざまなことに興味を持ち始めます。この時期、お子さまが抱きつつある知的好奇心や探究心は、今後の学習の下地となりますので、夏休みの体験学習を通じて、大いに伸ばしてあげてください。
たとえば、生き物が好きなら、水辺の生き物観察や釣りをしに海や川へ、昆虫採集やバードウオッチングに山へと、自然の中へ出かけるのもよし。宇宙に興味があれば、宇宙センターやプラネタリウム、天文台のイベントに参加するもよし。夏休み、博物館や美術館、動物園や水族館などの文化施設では、サイエンスツアーやワークショップなど、さまざまな体験学習イベントが企画されています。遊びや旅行の計画の中に、ぜひ体験学習を取り入れてください。家族や友達と泊まりがけで出かけた記憶は、その後も宝物になりますので、宿泊行事の中に体験学習が入っていると理想的です。お子さまがいちばん好きで、得意なことがよいのです。

おもしろいからもっとやりたい、少しくらい難しくても挑戦したい!という気持ちをこの時期に持つことができると、後々それはすばらしい武器になります。お子さまが知的好奇心をのびのびと発達させるのに、今ほど適した時期はありません。



■手と感性を使う「術」の体験を

発達段階において、学問は「術」→「学」→「観」の順に深まっていくといわれています。「術」は手や全身を使って感覚的に身に付ける手順やルールで、「芸術」や「技術」の術。「学」は「学問」の学で科学的な考え方や理論、「観」は「世界観」の観で、学問分野を超えた総合的なものの見方や哲学を表します。

4年生は「術」の時代といえます。手を使ってものを作ったり、体験を通して学んだりするのに適した時期。具体的な体験が、科学的な思考や世界観の基礎となるのです。
ですから、この夏は、芸術やものづくりの体験もさせてあげられるとさらによいですね。絵を描く、工作をする、手芸や料理、音楽やダンス、お習字、パソコンのプログラミングなど、ご本人が好きなことを思いきりやらせてあげましょう。手仕事やものづくりはノウハウが確立していますから、しっかり手順を守って取り組めば、達成感や自己表現の喜びを味わうことができます。「できた!」「うれしい!」と素直に思えるのも、4年生くらいまで。思春期が始まると、自分の作品を他の人と比べたりして素直に喜べなくなるお子さまが多いので、これもこの夏しかできない貴重な体験です。



■自由研究などの宿題は夏の体験学習の成果!

自由研究をはじめとする自己表現系の宿題は、まさに夏の体験学習の成果。質の高い作品に仕上げられるよう、保護者のかたは、ぜひ積極的にアドバイスしてあげてください。研究結果のわかりやすいまとめ方、資料の集め方、写真やイラスト、表やグラフの効果的な使い方、面白い発表のしかたなど、さまざまなアイデアを出してあげましょう。ただし、ご本人が「これは僕が自分でやったんだ!」と達成感を持てるように配慮してあげること。保護者のかたのアイデアから気に入ったものを採用し、自分なりのアイデアを加えてまとめられれば、お子さま一人で考えるよりずっとよい作品となるでしょう。読書感想文や図画工作の作品作りも同様です。作家や俳優による朗読会や、美術館のワークショップなどのイベントを利用するのも、よい知的刺激を受けられるのでおすすめです。

「好きな勉強や作品作りを、思いきりやってほめられた!」という達成感、充実感を、ぜひ夏休みの成果として持ち帰っていただければと思います。



■日々の学習ペースは必ず守る

夏休みの前半と後半、塾などの夏期講習に行かれるお子さまが多いと思います。7月までの学習内容で苦手なところの復習を前半に、お盆のあとには9月以降の予習をごく簡単にやるというスタンスで、家庭学習を指導してください。少しでも先取りをしておくと、新学期の滑り出しが好調になるため、子どもたちは「勉強が得意になった!」と錯覚してくれます(笑)。この錯覚が自信のもと、とても大切なんですね。

夏期講習のない時期も、1日2~3時間程度は家庭学習のペースを守らせてください。生活のリズムをキープし、学習習慣を崩さないことが大切です。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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