政府が本腰を入れた子どもの貧困対策 拠点は学校に

政府が本腰を入れた子どもの貧困対策 拠点は学校に2015(平成27)年度の文部科学省(文科省)予算案では、教育費負担の軽減策とともに、「子どもの貧困対策」が焦点の一つになっている。政府を挙げて取り組みを始めた貧困対策とは、具体的にはどのような事業なのか。予算案から教育ジャーナリストの渡辺敦司氏が解説する。

 

***

 

文科省の説明資料によると、「学校をプラットフォームとした総合的な子供の貧困対策の推進」として前年度の約1.6倍(8億100万円増)の21億8,200万円を計上したとしています。
具体的には、
●福祉の専門家である「スクールソーシャルワーカー」(SSW)の配置拡充
●学校地域支援本部で中学生を対象とした原則無料の学習支援「地域未来塾」
●定時制・通信制など「多様な学習を支援する高等学校の推進事業」
●「補習等のための指導員等派遣事業」
などが挙げられています。

 

なぜ学校が重要かというと、就学年齢に達したほぼすべての子どもが集まること、貧困家庭に育った子どもが社会人になっても貧困に陥る「貧困の連鎖」は学力不振や学歴の影響が大きいことなどからです。何より「家庭の貧困」に対する支援が急務ですが、不利な状況に置かれた子どもを教育面でも支援して、不利な状況から脱する手助けをしなくてはなりません。そのためには、公立学校を中心とした学習支援や、児童・生徒への就学支援・育英奨学が不可欠です。

 

厚生労働省の調査では、2012(平成24)年時点の「子どもの貧困率」が16.3%と既に6人に1人、とりわけ一人親世帯では54.6%(同3.8ポイント増)と2人に1人を超える子どもが貧困状態にあるという深刻な事態が明らかになっています。どんな家庭に生まれるかは子どもの責任ではなく、不利な状況の中で学力が振るわないのも「自己責任」で片付けられる話ではありません。子どもの貧困対策にはまだまだ取り組みが必要だといえるでしょう。

 

出典:子どもの貧困対策ようやく本腰 文科省予算 -ベネッセ教育情報サイト

子育て・教育Q&A