夏休みに向けて 体験学習プランを立てよう! [中学受験 4年生]

そろそろ夏休みが視野に入ってくる時期です。お子さまの学習計画や旅行のプランについてあれこれ考えているかたも多いでしょう。そこで、夏休みまでにやっておきたいことと、夏休み中の課題についてお話しします。

夏休みまでに、弱点の集中治療を

夏休みに入る前に、ぜひやっておいていただきたいのは、苦手な教科や単元の「集中治療」です。これまでの学習を見直し、基礎ができていない単元のみに絞って、丁寧に復習する時間をとってください。積み上げ教科の算数だけでもOKです。「基礎もわからない」状態をそのままにしておかないことが大切です。

この夏の最重要課題は体験学習!

中学受験をするお子さまにとって、4年生の夏休みは、最後のお休みらしいお休みといえます。5、6年生になると、どうしても机の上での勉強が中心にならざるを得ません。この夏の最重要課題は、体験学習です。

今の4年生は、大学入試新共通テストを受ける第一期生。また、今後の大学入試では、AO入試や推薦入試の比率が飛躍的に増加すると見られています。つまり、今後は自分の好きなことから興味を広げ、独自の視点を持つことがこれまで以上に大きな強みとなるのです。ですから、この夏はお子さまの「好きなことを伸ばす」「好きなものを増やす」ことに力を注いであげてください。できれば夏休みいっぱいを使って、海へ山へ、動物園や水族館、美術館や博物館、劇場などの文化施設へ出かけ、夏休みにしかできない体験を思いきりさせてあげられるといいですね。

どんな体験学習を選ぶ? 具体的なモノに触れる機会を

まず、お子さまの好きなこと。特に目立って好きなものがなければ、保護者のかたご自身が理屈抜きで楽しめるものがいいですね。保護者のかたが楽しめないことを、子どもが心から好きになるケースはまれです。保護者のかたが生き物好きなら、昆虫採集や磯遊び、釣りを取り入れたキャンプもよいですし、芸術やもの作りが好きなら、一緒に工作や陶芸、音楽の演奏やダンスを楽しんだり、好きなお料理を作って食べたりできるワークショップもよいと思います。4年生は、芸術やプログラミングなど、手や体を使って技能を身に付けるのに適した時期なのです。具体的なモノに触れて手や体で学んでおいたほうが、この先、抽象的な概念を使って考える力も伸びていきます。

アウトプットの機会をつくる

同じ体験学習でも、ただ一人で作業をして終わりではなく、観察結果の発表や作品の披露など、皆の前でアウトプットする機会があるものがベター。そして、指導者が参加者の作品に点数を付けるような評価のしかたではなく、多様な視点や表現方法のよさを認めてくれるようなイベントが望ましいでしょう。同じものを見ても、気付く点は一人ひとり違うこと、自分とは違うものの見方があることに気付き、友達との違いを楽しめるといいですね。

好奇心の勢いを大切に

ただし、せっかくイベントやワークショップが楽しくても、家に帰ってからレポートを書かせるなど、「お勉強モード」にしすぎると子どもは嫌になってしまいます。「楽しかった!」「また行きたい!」「もっと知りたい!」といった、お子さまの好奇心の勢いをそがないことがいちばん大切です。

なお、夏休みの最後の1週間は「お勉強モード」に戻し、2学期の予習に充てましょう。2学期の先取りをしておくと、新学期の滑り出しが好調になり、子どもたちは「勉強が得意になった!」と自信を持つことができます。この自信が、とても大切なんですね。

好奇心は学習の下地であり、粘り強く学び続けるための強力なエンジンとなります。楽しい体験学習の計画をたくさん立て、ご家族にとって忘れられない夏にしてください。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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