説明文をひとりよがりの考え方で解き、誤答することが多い[中学受験合格言コラム]

説明文をひとりよがりの考え方で解き、誤答することが多い

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


質問者

小5女子(性格:理論的なタイプ)のお母さま


質問

入試問題によく出る説明文の正答率が低いです。試験に出る問題にはある程度の規則があり、それにあてはめて解くとよい、と思うのですが、なかなか自分の考えを捨てきれず、ひとりよがりの考え方で解き、誤答することが多々あります。


小泉先生のアドバイス

既に存在している方法論を参考書や問題集から体系的に身に付ける。

ご質問の中に、「試験に出る問題にはある程度の規則があり、それにあてはめて解くとよい」とありますが、まさにそのとおりだと思います。ただし、それらは「ある程度の原則」であるために、いくつか困った点があるように思います。

まず、授業で教えにくいという点です。たとえば問題文を読む時、「しっかり読みなさい」と言いますが、具体的にどのように読めばいいかしっかり指導しません。あるいは、「大切なところに線をひきなさい」と言っても、それではどのようなところが大切なのかしっかり指導しません。もちろん、指導されている先生もいるとは思いますが、あくまでも“個人的な方法論”であって、「公式」としては教えづらいと思います。

なぜ教えづらいかといえば、国語には読み方・書き方、あるいは解法に関して、「公式」と呼べるものがほとんどないからです。算数のような“公式集”があれば先生も生徒も本当に楽になると思うのですが、私の知る限りありません。また、「ある程度の原則」であるため、例外が出てきやすいというのも教えづらい理由のように思います。例外が出た時に、「先生の教えてくれた方法が使えない」と非難されたら、教えるほうとしてはやはり嫌だと思うでしょう。特に、学校教育のような公教育では「例外の多さ」は歓迎されないでしょうから、どうしても踏み込んで教えにくいのだと思います。

しかし、そうした理由で生徒に教えることなく「やりなさい」では、お子さまのように「独りよがりの考え方」で、場合によっては誤答してしまうかもしれません。そもそも、一人ひとりが考えて方法論を編み出すのでは、効率が悪すぎます。国語の勉強の目的は、「読み・書き」を学ぶことだけではなく、それ以上に「考えること」だと思います。つまり、読み・書きはあくまでも基本であって、それを使っていろいろなことを学び、考えることに国語学習の本質があるのだということです。

さて、いくつか問題点を述べてきましたが、お子さまの成績を伸ばす方法についても述べたいと思います。まず、「公式集はない」と言いましたが、各先生方の手法を載せた読み方・解き方の本はあります。特に大学受験向きの参考書や問題集によいものがありますが、中学受験用に絞れば、拙著『まとめ これだけ! 国語』(森上教育研究所スキル研究会)『お母さんが教える国語』(早川尚子著・ダイヤモンド社)がよいと思います。これらの本をお子さま(あるいは保護者のかた)が読んで、読み方や解き方を学び、その方法論を身に付けましょう。もちろんこれらを「公式」と呼ぶには、例外が少なくないとは思います。しかし、多くの場合、問題を解くのに役に立つ手法です。そして、もし例外があったとしても、それらの手法に基づいて考えていくほうが、解法の糸口が見つけやすいと思います。やみくもに我流で解くのではなく、既に存在している方法論を参考書や問題集から体系的に身に付ける。このような効率的かつ体系的な学習がお子さまの国語力を伸ばしていくと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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