問題文と設問(3)問題を読みながら設問を解く?[中学受験合格言コラム]

国語の問題を解く第3の方法として、「問題文を読みながら設問を解く方法」がある。個人的には、かなり無理なことをやっているように思える。もっと言うならば、逆に効率が悪く点数が伸びない方法であると思える。

たとえば問題文を読んでいて、設問箇所である傍線部に差しかかる。それは傍線部の意味について問われている設問だとする。
おそらくその生徒は、傍線部の箇所を過ぎてもしばらくは問題文を読み続けるだろう。それは傍線部に対する答えが、傍線部を中心にして前後5行から10行の間にある場合が多いことを経験的に知っているからである。
はたして傍線部を過ぎた数行目に、それらしい答えがあったのでおもむろにその部分を使って答案を埋め、そして再び本文を読み続けることになる。

さて、このような方法は有効なのか? あるいはなんらかの欠点はないのだろうか?
まず考えられるのは、傍線部の前後の近いところに適切な答えがない場合であろう。
たとえば「抜き出し問題」などは、傍線部と抜き出すべき箇所の距離がかなり離れている場合がある。離れているということはそれだけ問題が難しいことを意味するが、傍線部が最初の1行にあり、抜き出すべき箇所が最後の1行の場合も有り得る。
傍線部の前後にだけ、都合よく答えが埋まっているとは限らないのだ。そんな場合どうするのか? 探すべきものを頭の片隅に置きながら、問題文を読み続けるのであろうか。

あるいはこんな問題も起こり得る。
たとえば論説文にはご存じのように、繰り返し「同じような言葉」が出てくるという性質がある。それは論説文が自分の意見を主張する文章であるため、主張をさまざまに言い換えて繰り返しているからである。そのため抜き出すべき言葉は、いくつかの同じような言葉から最適なものを選ばなければならない場合があり、結果としてなんらかの条件が設問に付くことも多い。
たとえば設問に「具体的に」という条件が付く場合がある。この時は傍線部のすぐあとに「抜き出すべき言葉」と思われるものがあったとしても、「より具体的な言葉」がそのあとにあればそちらのほうが正解となるのである。

傍線部の前後に答えがある可能性か高い試験問題は、基本的には「易しい」問題であると言える。ということを考えると、問題文を読みながら設問を解いていく方法は、問題が難しくなってくるとだんだん点数が伸びなくなってくるのである。
このようにおすすめできないやり方なのだが、意外に多くの生徒がこの方法で問題を解いているようである。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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