「ちゃんとやってる!」と反抗する子どもに、どのように対応すればよいか[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6男子(性格:大ざっぱ・強気なタイプ)のお母さま


質問

ケアレスミスが直りません。計算はかなり速いほうで、塾でも成績優秀です。それでも、入試問題で冒頭に出題されるような計算問題で時々ミスをして、残念な結果になってしまいます。本人は十分見直しをしていると言うのですが、どうやって見直しをしているか聞くと「ちゃんとやってる!」と逆ギレされます。どのように対応すればよいでしょうか?


小泉先生のアドバイス

塾の算数の先生などの権威のある人に注意してもらう。

高学年になると、特に母親の言うことを素直に聞いてくれなくなるようです。とやかく親に言われることがなによりも嫌な年頃になるのですから、しかたがないのかもしれません。また、子どもたちの気持ちもわからないでもありません。低学年や中学年ならともかく、高学年になると入試の算数はかなり難しくなり、一般的には母親でも解きづらくなってきます。その難しい算数に食らいついて、なんとか解けるようになっているお子さまです。そんな状況でアドバイスを聞くことが、子どもにとっては「納得がいかない」こともあるのでしょう。

もちろん算数の得意な母親もいらっしゃるとは思います。事実、「塾の先生よりもわかりやすく教えてくれる」と自慢気に話してくれた6年生の男子の受験生を知っています。その子どもは難関校に見事合格しましたから、彼の母親の算数の実力は普通の塾の先生以上だったのでしょう。しかし、そのようなことは恐らく例外的なことだと思います。子どもが解けなくて困っている問題を、どれどれと気軽に教えてあげられる母親は(もちろん父親も)それほどいないはずです。もしそのような母親や父親が多ければ、塾はそんなに必要ないと思いますから……。

このように、自分より算数の力が低いであろう母親からのアドバイスには、つい「ちゃんとやっている!〔母親はわからないのだから黙っていて!〕」と言いたくなってしまいます(ちなみに、〔  〕内は私の想像で、子どもたちがそのように考えているかどうかは不明です)。あまりしつこく言うとお互いに気分が悪くなりますから、言わずにおきたいものですが、放っておいてもお子さまのケアレスミスは改善しないかもしれません。特に、お子さまの性格は「大ざっぱ」なタイプですから、細かいところをつい見逃してしまいがちです。

こんな場合は、お子さまよりも算数に関して力のある人、つまり権威のある人からのアドバイスが効果的です。たとえば父親。母親より父親のほうが怖いと感じている男の子は多いはずですから、その父親から論理的に計算ミスについて注意されれば、反省する可能性は高いと思います。ただし、父親も中学入試の算数があまり得意ではない場合は、やはり母親と同じように、あまり効果はないかもしれません。そんな場合は、塾の算数の先生からお子さまに注意してもらうよう、お願いするのもひとつの方法です。塾の先生ならお子さまも納得するはずですから、タイミングを見計らって計算ミスのなくし方を含めて、お子さまに指導してもらうのです。その先生がお子さまにとって尊敬できる先生であれば、さらによいと思います。

中学受験は、子どもに対する保護者の気配りが必要な受験です。受験生本人が当然主体ですが、それでもあれこれと気を配る必要があります。しかし、母親ご自身では手に余ることもあると思いますから、そんな場合は、他の人に効果的な指導をお願いするのがよいでしょう。自分でできないことを、無理にやる必要はありません。実際の指導は他の人にお願いして、母親はより広い視点でお子さまのフォローをすればよいと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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