成績が上位の子どもたちは、本の読み方を工夫していた! 「自己決定力」を養うために家庭でできること

ベネッセ教育総合研究所は、進研ゼミの会員向けサービス「電子図書館まなびライブラリー」の読書履歴と進研ゼミの実力診断テスト、アンケート調査の結果をもとに、読書が子どもの学力や学びの姿勢、感情にどのような影響を与えているのかを発表しました。その結果は、「小学生の読書量と国語の学力、どれくらい関係する? 学力を伸ばすだけでなく、心の安定にも効果あり?!」でお伝えしましたが、今回はベネッセ教育総合研究所の邵勤風と野﨑友花から子どもが本を身近に感じ、好きになるおすすめの読書法についてお伝えします。

この記事のポイント

読んだ本の感想をシェアすることで表現力や思考力を育む

子どもの成長には、夢中になる体験が重要です。まわりのことが見えなくなるくらい没頭し、集中することで、知的好奇心を育むことができます。当然ながら、「夢中体験」は学習にも好影響をもたらします。保護者のかたは、勉強以外のものに熱中している子どもの姿を見ると、つい心配になってしまいがちですが、むしろそうした体験こそが大事なのです。さまざまな体験の中でも読書は本で描かれている世界に夢中になれる、身近な「夢中体験」のひとつです。

本選びの際に大事にしてほしいのは、子ども自身が好きな本を選ぶことです。保護者のかたは、「いろいろな本をバランスよく読ませなければいけない」などと気負わず、例えば、スポーツが好きな子はスポーツの本を、虫が好きな子は虫の本を読んでいる姿を見守ってあげてください。本そのものが苦手な子には、文字数が少なく、挿絵が充実したものでもよいでしょう。

子どもが保護者のかたが読んだことのない分野の本に夢中になっていたら、ぜひ親子でコミュニケーションを取る機会として捉えてみてください。保護者のかたが「おもしろそうね。どんな話なの?」と尋ねてあげてほしいのです。

誰かに本の説明をする体験は、表現力や思考力を伸ばす貴重な機会になります。お母さんが説明を聞いたら、「次はお父さんに教えてあげて」と促し、その次は「弟にも教えてあげてね」と家庭の中に本を紹介する活動を取り入れてみる。相手に合わせて説明の仕方を変えることで、コミュニケーション能力を養う機会にもなるでしょう。
そうした活動の中で子どもをほめてあげることで、また本を読みたくなり、前編「小学生の読書量と国語の学力、どれくらい関係する? 学力を伸ばすだけでなく、心の安定にも効果あり?!」でもお伝えした学習効果も期待できます。

本の読み方の工夫が、表現力や思考力にも効果的

読書をさらに効果的にするならば、本の読み方に着目してみてはいかがでしょうか。データから成績上位の子どもは、「登場人物の気持ちになりながら読む」「だれが?なぜ?を考えながら読む」「どこが大切か考えながら読む」傾向にあります。そうした読み方をしている子どもは、「人の気持ちがわかるようになった」「長い文章が読めるようになった」「新しいことをすでに知っていることと結び付けて考えるようになった」と回答する割合が高いのです(図1・図2)。

読み方に少し気を付けるだけで、効果があります。本の感想を子どもと話すときに、読み方を工夫すると、より深く理解ができたり、本の世界をより楽しめることを伝えてあげるとよいでしょう。

【図1】学校の成績(自己評価)別 本の読み方

*アンケート調査はまなびライブラリー利用者を対象にしている。
*「あなたが本を読むとき、次のことはどれくらいあてはまりますか」とたずねた結果。「とてもあてはまる」の%
*「学校の成績(自己評価)」は、「あなたの学校での成績は、だいたいどれくらいですか」とたずねた結果。「まん中以下」は「まん中くらい」+「まん中より下」+「下のほう」と回答した子どもの合計
*「上のほう」と「まん中以下」で差が大きい上位3項目について、ポイント(pt)差を示している

【図2】子どもが感じている読書の効果(本の読み方別)

*アンケート調査はまなびライブラリー利用者を対象にしている。
*「本を読んでいて、次のことをどれくらい感じますか」とたずねた結果。「とても感じる」の%。
* 図1の読み方「登場人物の気持ちになりながら読む」について、「あてはまる(とても+まあ)」群と「あてはまらない(あまり+まったく)」群に分けた上で、差が大きかった上位3項目を示している。読み方「どこが大切かを考えながら読む」のグラフも同様である。

読み聞かせなど小さい頃から本にふれる経験を

子どもが自然に読書をするようになるには、小さい頃から本にふれる経験を積んでいくことが有効です。

幼児期から小学校1・2年生にかけては読み聞かせをし、本を身近に感じられるようにしましょう。3・4年生くらいになると自力で読むようになり、5・6年生では好みもはっきりし、自分で本を選べるようになっていきます。中には、難易度の高い本に手を伸ばす子どもも出てくるでしょう。

とはいえ、「この学年だからこんな本を読まなければいけない」と型にはめる必要はありません。高学年になって絵本を読んでもいいですし、小さい頃から一見難しく感じるような本を読んでもいい。大きくなってからも読み聞かせをしてあげてもよいと思います。
また、読むペースも自由でよいのです。子どもに合った読み方を見つけていけるとよいですね。

本選びの中で自己決定する力を高めていく

読書の大切さを保護者のかたにお伝えすると、「この本を読みなさい」「これが勉強になるよ」と、いわゆる名作文学やご自身が知っている児童書などを子どもの好みを聞かずにすすめることがあるかもしれません。

しかし、子どもにとっては自分で本を選ぶ経験も大切です。書店や図書館に行き、たくさんの本の中から自由に選ぶことで、主体性や興味・関心などいろいろな力を育むことにつながっていきます。子どもは本選びを通じて、物事を自ら決定することを体験できます。

ただし、子どもだけでは楽しい本の存在に気づけないこともあるので、それに気づけるように保護者のかたが促していくことも重要です。本という楽しみに出合えるような環境づくりをしてあげましょう。例えば、「これ、おもしろかったよ」と紹介をしたり、一緒に選んだりすることを大切にしてください。

子どもが読み終えて、それを話しにきたときには、「私も読んでみようかな」「どこがおもしろかったの?」など話を聞くことで、子どもは読書のおもしろさをいっそう感じられるようになっていきます。
大切なことは、子どもの本への抵抗感をなくし、知識を得られたりいろいろな人の考え方を知れるツールだと思えたりすること。こうした雰囲気づくりを日常的に行えるとよいですね。

まとめ & 実践 TIPS

子どもには夢中になる体験が重要です。そして、夢中になる体験として、読書は非常に有効です。大事にしてほしいのは、子どもの好きな本を読む姿を見守っていくこと。ときには、親子で本の感想を伝え合う体験などをすることで、子どもの思考力や表現力の育成につなげていくことができます。また、小さい頃から読み聞かせなど読書にふれる体験も大事にしてください。自分の読みたい本を決める自己決定を通じて、主体性や興味・関心を育むことにつながります。子どもが本に関心をもてる環境を整えていきましょう。

前編:小学生の読書量と国語の学力、どれくらい関係する? 学力を伸ばすだけでなく、心の安定にも効果あり?!

≪出典≫
ベネッセ教育総合研究所による読書効果の研究・分析のニュースリリースの関連資料
https://berd.benesse.jp/special/bigdata/ebookanalysis.php

ベネッセ教育総合研究所の教育研究知見を元にした子育て・学びに関する記事の一覧
https://benesse.jp/special/berd.html

進研ゼミの会員向けサービス「電子図書館まなびライブラリー」
https://benesse.jp/zemi/library/

プロフィール

邵 勤風(しょう きんふう)

ベネッセ教育総合研究所 学び・生活研究室 主任研究員。初等中等教育領域を中心に、子ども、保護者、教員を対象とした意識や実態の調査研究に多数携わる。
これまで担当した主な調査は、「学習基本調査・国際6都市調査」(2006年~2007年)、「第3回子育て生活基本調査」(2007年~2008年)、「小学高学年の学びに関する調査2019」など。近年、子どもの主体的な学びを支える学び方や周囲の支援に関心を持ち、学び方に関する理論研究や実証研究に取り組んでいる。

プロフィール

野﨑 友花 (のざき・ゆか)

ベネッセ教育総合研究所 学び・生活研究室 研究員。主に「子どもの生活と学びに関する親子調査」を担当。専門は教育社会学。これまで教師の指導文化に関する質的研究や、子どもの学力・生活実態を把握する量的調査に携わる。近年は、保護者の教育意識・行動や子どもの成長・発達プロセスに関する研究に取り組んでいる。

プロフィール

ベネッセ教育総合研究所

株式会社ベネッセコーポレーションの教育、調査、研究機関です。子ども、保護者、先生、学校などを対象に、教育に関連する調査、研究を行い、その研究成果や調査報告書、各種データを無償で公開しています。

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