スポーツや音楽など習い事をたくさんしているため、勉強時間が足りません[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小4男子(性格:強気なタイプ)のお母さま


質問

スポーツや音楽など習い事をたくさんしているため、テレビを見る時間がなく、勉強時間も足りていないように思えます。読書は好きですが、知識の偏りがあるかもしれません。また、国語で設問の意味の取り違えや、勘違いをすることがありますが、これはどうしてでしょうか?


小泉先生のアドバイス

上位校をめざしているのであれば、習い事は中断して受験に専念せざるを得ない。

最近の習い事は、昔ながらのそろばんや習字から、水泳やサッカー、ダンスまで、本当に多種多様になってきています。そこで頭を悩ませるのが、塾との両立でしょう。特に、本格的に習い事に取り組んでいる場合は、いつやめるのか(中断するのか)、あるいは続けていくのかを考えてしまいます。

中学受験のために習い事を休むとなると、1~2年とかなり長期になりますから、中学に入ってから再開するにしてもそのブランクはかなり大きいでしょう。なるべくなら両立させたいものですが、現実問題としてはなかなか難しいと思います。上位校をめざしているのであれば、習い事は中断して受験に専念せざるを得ないかもしれません。あるいは、習い事のほうを優先するという選択ももちろんあります。

それでは、いつ頃から受験に専念すべきでしょう。お子さまの現在の学力や志望校の難易度にもよりますが、できれば5年生の4月、遅くとも5年生の夏休み明けには受験モードに入るべきだと思います。ただし、受験に集中した勉強を開始すると、最初は多少のトラブルが出てくる可能性もあります。

まず、体のほうがなかなかいうことを利いてくれないかもしれません。特に水泳やサッカーなど、激しい運動に慣れている子どもは、急にそれをやめると体をもてあましてしまいます。体を動かすことが少なくなるので、ストレスがたまり、イライラして勉強になかなか集中できないのです。そんな場合は、適度に運動してイライラをなくすようにしたいものです。ただし、普段運動をしていなくて、急に無理に体を動かすと思わぬケガをすることがありますから、十分注意してください。以前の自分のイメージがあるため、どうしても現在の体力や運動能力以上のことをやってしまいがちになります。受験生が学校の体育の時間に、無理をしてケガをしてしまうことが少なくないようですが、これも激しい運動をやめて体力が低下しているのに、無茶なことをやったためにケガをするケースだと思います。

また、習い事の中止は、精神的にもかなりのストレスを子どもにかける可能性があります。特に、ピアノが大好きな子ども、サッカー命の子どもから一時的であれそれらを取り上げることは、大きなショックだと思います。そんなにまでして中学受験することの意義を、にわかには見いだせないかもしれません。無理強いすると、激しく反発するとか無気力になるなどして、勉強にも熱が入らなくなる可能性があります。5年生(あるいは6年生)になって急に習い事をやめるなどと言わないで、ある程度気持ちを整理する時間の余裕を持って話をしたいものです。可能であれば、受験をしようと決めた時に、習い事を中断する可能性があることもきちんと打ち合わせしておくべきでしょう。

くり返しになりますが、上位校をめざすなら受験勉強を優先すべきです。子どもがかわいそうだからなどという理由で時期的に遅くなると、どちらも中途半端になってしまい結局は本人がかわいそうです。お子さまも「テレビを見る時間がな」いほど時間に余裕がないのであれば、かなり無理がきている可能性があります。国語における「設問の意味の取り違えや、勘違い」は落ち着いて問題に取り組めていないことが原因になっているとも思われます。そろそろ優先順位を決めて、やりきれないことを整理する時期になりつつあるのかもしれません。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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