説明的文章では、保護者が「え~」と驚くような、間違った解釈をしてしまいます[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小5男子(性格:大ざっぱ・強気なタイプ)のお母さま
質問
国語の読解問題が苦手です。自分に合っている問題だとできるのですが、説明的文章だと「え~」と言いたくなるような間違った解釈をしています。また、常識的な言葉を知らないことも多く、ついつい「本当にこの言葉知らないの?」と言ってしまうほどです。また、辞書で調べるのを面倒くさがります。
小泉先生のアドバイス
熟語や慣用句の単語集を購入して、1冊仕上げることをおすすめします。
「説明的文章だと保護者が『え~』と驚くような間違った解釈をして」しまうことや、「常識的な言葉を知らないことも多」いことなどから、お子さまの読解問題の苦手は、語彙不足によるものだと思われます。問題文を読んでいて、いくつも知らない熟語や慣用句が出てくるのではないでしょうか。
通常であれば読めないとあきらめてしまうのですが、文章の前後関係でだいたいの意味を推測して最後まで読んでしまえるのでしょう。ある意味、読解力があるといっていいと思います。特に、ある程度知識を持っている話題の文章であれば、知らない語彙がいくつかあってもおおよその展開は追えてしまうので、「自分に合っている問題だとできる」のでしょう。しかし、あまり知識がない話題だと、さすがに展開を正しく追うことはできず、想像した内容と問題文の本当の内容が、大きくずれてしまうことになります。
これはしかたのないことで、だいたいB4で1枚程度の問題文の中に、知らない言葉はせいぜい3つぐらいまでが限度だと思います。4つも5つもあると、いくら読解力がある子どもでも、さすがに正しく読むことは難しいでしょう。また、物語文と説明的文章を比べた場合、抽象的で難しい言葉が少ない分、物語文のほうが読みやすいと思います。
さて、対策ですが、文章に出てくる知らない言葉を辞書でコツコツ調べるのは、お子さまの性格から考えても面倒くさがると思います。まして、今の段階では多くの言葉を調べる必要が出てくる可能性があると思いますので、ますます嫌がるでしょう。
1つの方法としては、入試に頻出の熟語や慣用句をまとめてある単語集を購入して、1冊仕上げることをおすすめします。毎日15分から20分程度、時間を決めて言葉を覚える勉強を始めてください。1日にやる時間はわずかですが、毎日欠かさず勉強していくと3か月程度で目に見えて効果が出てくると思います。効果が出てくればやる気も違ってきますから、言葉の勉強もそんなにつらいものではなくなってくるでしょう。
さらに、語彙が増えた分、知らない言葉が出てくる頻度が少なくなるので、知らなかった言葉を辞書で調べるのも楽になります。このように、「単語集で覚える」→「覚えた言葉を文章の中で確認する」→「文章中の未知の言葉が減る」→「未知の言葉だけ辞書で調べる」という作業を進めていけば、半年から1年の間に見違えるほどの語彙力が付いてくると思います。
6年生になると算数はさらに難しくなりますし、社会や理科にも時間をとられるようになります。国語の基礎である知識は、5年生のうちに付けておくようにしたいものです。すぐに言葉の勉強を始めるべきでしょう。ちなみに、お子さまの志望校である難関中学校の入試問題では、説明的文章は長く、かなり難しい言葉が注釈なしで出てきます。
たとえば、今年の説明的文章に出てきた言葉としては、匹敵(ひってき)、喪失感(そうしつかん)、馴染(なじ)み、隔絶感(かくぜつかん)、未曾有(みぞう)、意味深長(いみしんちょう)、形而下(けいじか)、享受(きょうじゅ)、危惧(きぐ)、重篤(じゅうとく)、前人(ぜんじん)未踏(みとう)……などがありました。
志望校を考えれば、言葉に関する知識を増やしていくことがますます大切だと思われます。