気になる子どものいびき…中学生でも睡眠時無呼吸症候群の可能性が?

中学生になったお子さまのいびきに驚いたことはありませんか? 身体も大きくなったし、大人みたいないびきをかくようになったなあ…と思ったこともあるかもしれません。健康な人でも体調によっていびきをかくことはあります。でも、いびきをかいている時の眠りは浅いのです。いつもいびきをかいているのなら、お子さまの身体の状態に注意する必要があるかもしれません。

いびき=呼吸がしにくくなっている と考えるべき

いびきは、喉を息(空気)が通る時、周辺の柔らかい扁桃腺などが振動する際に発生する音です。寝ている時は起きている時に比べ、重力で柔らかい組織が下に垂れ下がるようになるため、喉の空間は狭くなります。そのため、いびきは仰向けに寝ている時に発生しやすいのです。その喉の空間がより狭くなると、いびきの音はより大きくなります。つまり、それだけ空気が「狭い喉のすきまをむりやり通っている」ということの証拠です。このような状態では十分な酸素がいきわたらず、深い眠りに入ることができません。大きすぎるいびき、頻繁ないびき、一晩中続くいびき、ときどき息を止める場合にはとくに注意が必要です。

いびきの原因はいろいろ

いびきをかく原因は喉のすきまが狭くなることですが、ではなぜ喉が狭くなってしまうのでしょうか。原因には次のようなものがあります。

・あごや舌、喉の大きさによるもの

顔の大きさや身長、体重が人によって異なるように、あごや舌、喉の大きさにも個人差があります。舌が大きい、あるいはあごが小さいと、いびきが出ます。寝れば必ずいびきをかくというわけではなく、寝る姿勢によって気道が狭くなり、いびきをかくこともあります。

・肥満

肥満になって喉の周りにも脂肪がつくと、喉が狭くなります。成人男性に多い原因です。

・口呼吸(口をあけたまま寝ている)

人は普通は鼻で呼吸するものです。しかし、鼻の疾患、風邪などの病気、アレルギー鼻炎といったことで鼻がつまってしまったり、口呼吸が癖になっていたりすることがあります。口呼吸をすると喉が乾燥しやすくなり、炎症を起こしやすくなったり、歯並びなどが悪くなったりすることがあります。夜間口呼吸をしていると、深く寝て筋肉が緩んだ時に、舌が落ち込みやすくなって気道を閉塞しやすくなるため睡眠時無呼吸症候群を引きおこすことがあります。

その他、疲労、ストレスがいびきにつながることもあります。今までになかったようないびきをかくことがある場合には、一度日々の生活を振り返り、何かしら無理をしていないかどうかを振り返ってみることが重要です。

深刻な症状の場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性も

大きないびき、苦しそうないびきに加え、呼吸が止まってしまう症状がみられることもあります。その場合、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。睡眠中10秒以上の呼吸停止がある場合にはその可能性が高いので、なるべく早く医師に相談しましょう。いびき以外にも、寝起きが悪い、授業中居眠りで注意されることが増えた、精神的に落ち着かない…などの症状がある場合には、特に要注意です。ちゃんと診断して治療すればよくなりますので、成長期まっただなかのお子さまのためにきちんと対応をしていきたいですね。

プロフィール



40年間小児外科を中心に小児医療に携わる。小児外科指導医。

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