幼児期の食事のお悩み解決します!【前編】栄養バランスやメニューで気を付けたいこと
幼児期は、乳児期同様に成長と発達の最も大切な時期です。管理栄養士の太田百合子先生に栄養バランスやメニューで気を付けたいことについてお話を聞きました。
主食:副菜:主菜=3:2:1
一日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかが一目でわかる食事の目安を知るには、食事バランスをコマの絵で示した食事バランスガイドが有名ですね。一日トータルだとわかりにくいと思われる場合は、1回の食事で主食(炭水化物):副菜(ミネラル):主菜(タンパク質)の割合が、3:2:1になるようにすると、特別な知識や面倒な計算をしなくても、おおよそ栄養バランスが整った献立になります。
特に幼児期に不足しがちな栄養素は、鉄分やカルシウム、ビタミンです。1食でバランスよく摂取するのは難しいですが、おやつにヨーグルトや牛乳、食物繊維を摂るなど、1週間トータルして栄養を補えるように考えた食事が望ましいですね。
幼児期には、かむ力を鍛える献立を
食事は栄養だけでなく、「かたさ」など食感のバランスにも気を配ってほしいと思います。幼児期は、咀嚼(そしゃく)力を鍛えてほしい時期です。よくかむと食材本来のうま味を感じられることに加え、満腹中枢が刺激される、歯並びがよくなる、消化がよくなるといった多くのメリットがあります。カレー・ハンバーグ・グラタンなど、子どもが好きで、やわらかく食べやすいメニューばかりを作るのではなく、ぜひ歯ごたえのあるものを食卓に出してあげてください。たとえば、豚ロースは、幼児にとっては食べにくいですが、お肉をたたいて、筋を切るなど下ごしらえをするとおいしく食べられます。よくたたいてとんかつに、衣をつけてポークピカタにしてもよいですね。
太田先生に聞きました 幼児期の食事のお悩みQ&A
【食べる量にムラがある場合は?】
Q. 日によって食べる量にムラがあり気になります。
A. 食べるときと食べないときの差が大きいのが幼児期の特徴です。1週間のトータルでおおよそのバランスがとれていれば心配いりません。また個人差が大きいですから、母子健康手帳にある幼児の身体発育曲線に身長と体重を記録して、わずかでも右肩上がりに増えていて、体重が上限・下限ラインから外れていないようならそのお子さんの適量と思ってください。
【毎日の献立は子どもの好きなメニューにすべき?】
Q. うちの子どもは苦手なものや食べ慣れないものはあまり食べません。毎日の献立は子どもの好きなメニュー中心にすべきですか?
A. 子どもの好きなメニューばかりにする必要はないと思います。幼児期は味覚が発達する大事な時期です。さまざまな食材や料理法を経験させてあげましょう。ただ、人間には、初めて食べたり飲んだりするものを警戒する本能が備わっています。これを新奇性恐怖と言いますが、子どもの「食わず嫌い」も、この影響から起こることがあります。そのときに、一緒に食卓を囲む人がおいしそうに食べると恐怖心が薄らぎます。ですから、一度嫌がっただけで出すのをあきらめないでほしいですね。見る回数、食べる回数が増えるとおいしく感じるようになるはずです。
【おやつはどう選べばよい?】
Q. おやつの量や選び方で注意すべきことを教えてください。
A. 3回の食事で不足しがちな栄養素を摂るのが理想です。カルシウム(牛乳・チーズ・小魚など)、食物繊維(さつまいも・寒天・りんごなど)などを補えるおやつだとベストです。量は、個人差はありますが約200kcalを目安にするとよいでしょう。食事に影響しないように、食べる時間もある程度決めておくとメリハリのある生活になります。
【市販のお総菜を食卓に出す際の注意点は?】
Q. 夕食に市販のお総菜を出すこともありますが、どのような点を注意すればよいですか?
A. 市販のお総菜は、塩分過剰のものが多いので、野菜を加えるとちょうどよい味になりますし、栄養バランスもよくなります。たとえば、アレンジは下記のとおりです。
・ひじきの煮物 → 小松菜をゆでて刻んだものをあえる
・切り干し大根の煮物 → ゆでたニンジンの千切りを加える
・ポテトサラダ → 千切りにしたレタス、トマトを加える
・インスタント味噌汁 → お湯を分量より多めに入れ、ゆでたキャベツを加える
次回は、子どもの好き嫌いへの対応を教えていただきます。